行政書士として業務を行っていると、日々さまざまなご相談をいただきます。
その中には、法律的な知識だけでなく、家族関係・人の想い・これまでの背景といった
「言葉にしにくい部分」が強く影響する場面も少なくありません。
特に相続に関するご相談は、法律の問題と人の感情が深く絡み合う分野。
そして、この分野においては、行政書士ができることと、できないことが明確に分かれています。
今回は、私が行政書士として大切にしている「線引き」と「スタンス」についてお話します。
行政書士ができること
行政書士は、権利義務や事実証明に関する書類の作成を専門とする国家資格者です(行政書士法第1条の2)。
相続に関して言えば、
- 相続人関係図の作成
- 法定相続情報一覧図の取得手続き
- 財産内容の整理
- 遺言書文案の作成支援
- 遺産分割協議書の作成(※合意ができている場合)
こうした 「状況整理と書面化」 は行政書士の領域です。
いわば、相続における “土台づくり” を担う役割です。

行政書士ができないこと(弁護士との違い)
一方で、相続人同士の意見が対立している状態、つまり 「揉めている」「話がまとまらない」 という段階になると話は変わります。
弁護士法第72条により、
争いのある法律問題について、代理・交渉し、解決を図る行為は弁護士の専任業務
と定められています。

つまり、
| 行為内容 | 担当できる専門家 |
|---|---|
| 状況の整理・書面準備 | 行政書士 |
| 条件交渉・代理人として介入 | 弁護士 |
| 調停・訴訟・強制執行 | 弁護士 |
行政書士は 「合意ができた内容を文書にする」 ことはできますが、「合意を作るために調整する」ことはできません。
この線引きは、法律上も、実務上もとても重要なポイントです。
なぜ線引きが大切なのか
これは、「行政書士ができないから」ではありません。
むしろ、相談者にとって最も良い解決のために、線引きが必要だからです。
もし、行政書士ができない領域に踏み込んでしまえば、本来であれば弁護士が進めるべき解決の道筋を、かえって遠回りさせてしまうことがあります。
できることを正しく行う方が、相談者にとっての最短ルートになる場合があるのです。
私が大切にしているスタンス
行政書士として仕事をしていると、
「間に入って話をまとめてほしい」
「相手と調整してほしい」
といったご相談をいただくことがあります。
そうしたご相談をお断りするとき、正直に言えば、少し胸が痛みます。
せっかく頼りにしてもらっているのに申し訳ない。
できることなら助けになりたい。
そう思います。
ですが、できないことを“できる”と言ってしまうことは、相談者の方を守ることにはなりません。
だから私は、
行政書士にできることは、丁寧に。
行政書士ではできないことは、無理に抱え込まない。
必要な局面では、迷わず適切な専門家に橋渡しする。
この考えを大切にしています。
行政書士は 「相談の入口」 となり、状況を整理し、言葉にし、形にします。
そして必要なときには、その整理された情報をもとに、弁護士など他の専門家にバトンを渡します。
それは 「手放す」ことではなく、守るための選択 だと考えています。
まとめ
相続をはじめとした法律相談では、どの専門家に相談すべきか という判断がとても重要です。
- 書類整理・状況の把握 → 行政書士
- 条件調整・争いの解決 → 弁護士
迷っている段階でも、まとまっていなくても大丈夫です。
まずは現状を一緒に整理するところから始めましょう。
お気軽にご相談ください。
相続手続き全体の流れについては、こちらの記事で詳しく整理しています。
→(相続手続きページ)
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