絶縁状を内容証明郵便で送るという選択肢 ~行政書士が解説~

内容証明郵便

みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
今回は 絶縁状を内容証明で送るという選択肢を相談現場の観点からお話します。

先日、「その言葉、証拠につき3:内容証明郵便を唯一の武器にする行政書士の内容証明ファンタジーという本を読んでいたところ、内容証明郵便で“絶縁状”を送るというシーンがありました。

「もうこの人とは関わりたくない」
「これ以上、家族だからという理由だけで我慢したくない」
「自分の人生を取り戻したい」

そんな気持ちから、絶縁状を考える方がいます。

以前の私は、絶縁状というと、「もう縁を切ってやる」という強い怒りを相手にぶつけるための文書、というイメージを少なからず持っていました。

しかし、実際に行政書士として絶縁状の作成相談を何件もお受けするようになり、その印象は大きく変わりました。

もちろん、相手に対する怒りや不満を抱えている方もいます。

ただ、それ以上に多いと感じるのが、「これまでの関係に区切りをつけて、これからは自分の人生を生きたい」という気持ちです。

今回は、絶縁状とはどのような文書なのか、内容証明郵便で送る意味、そして実際に相談を受ける中で感じていることについてお話しします。

そもそも絶縁状とは?

「絶縁状」とは、家族や親族、友人、知人などに対して、今後は関係を持たない意思を文書で伝えるものです。

法律上、「絶縁状」という特別な制度があるわけではありません。
また、絶縁状を送ったからといって、法律上の親子関係や親族関係そのものが消滅するわけでもありません。

それでも 自分の意思を明確に伝えることには意味があります。

「今後は連絡をしないでほしい」
「自宅へ来ないでほしい」
「金銭的な援助は今後一切行わない」
「これ以上、自分の生活に介入しないでほしい」

こういった口頭だけで伝えると、「そんなことは聞いていない」「そこまで言われたとは思わなかった」「本気だとは思わなかった」と言われることがあります。

そのため、これまで何度伝えても理解してもらえなかった場合などに、書面という形で改めて意思を示すわけです。

状況はさまざまですが、こうした場面で、自分の生活や心の平穏を守るために検討されるのが絶縁状です。

絶縁状を考える事情は人によって違います

絶縁状の相談を受けていると、その背景は本当にさまざまです。

例えば、以下のようなケースがあります。

  • 長年、親から金銭的援助を求め続けてきた
  • 子どもの頃から親との関係に苦しんできた
  • 親族から繰り返し暴言を受けてきた
  • 兄弟姉妹との金銭トラブルが続いている
  • 自宅への突然の訪問や電話に悩んでいる
  • 大人になっても生活へ過度に介入される
  • 友人からの過度な干渉

中には、「もう何十年も我慢してきました」と話される方もいます。

家族だから我慢しなければならない。
親だから見捨ててはいけない。
兄弟だから助けなければならない。
そのような思いを抱えながら、長い間、自分の気持ちを押し込めてきた方も少なくありません。

そして、何かの出来事をきっかけに、「もう限界です」と相談に来られます。

絶縁状を内容証明郵便で送る意味

絶縁状を送る方法はいくつかあります。

普通郵便でも送れますし、直接渡すこともできます。
その中で、内容証明郵便を利用する方法があります。

内容証明郵便を利用すると、「いつ、誰から誰に、どのような内容の文書を送ったのか」を記録として残すことができます。

そのため、「そんな文書は受け取っていない」「そんなことは書かれていなかった」という争いを避けやすくなります。

絶縁状の場合、以下のような意思を明確に伝えた記録を残すという意味があります。

  • 今後連絡しないでほしい
  • 自宅へ来ないでほしい
  • 金銭要求をしないでほしい
  • 今後の関係を断ちたい

内容証明郵便を送れば法的に縁が切れるわけではありません

ここは非常に重要です。

内容証明郵便そのものは、相手との関係を強制的に終了させる効力があるわけではありません。

親子関係や兄弟姉妹などの親族関係も、絶縁状によって法律上消滅するものではありません。
また、「今後一切連絡しないこと」と書いたからといって、その文書だけで相手に法的義務を負わせられるわけでもありません。

それでも内容証明郵便を使う意味はあります。

これまで口頭やLINEなどで何度伝えても理解してもらえなかった相手に対し、「私は本気で今後の関係を見直したいと思っています」という意思を明確に示すことができるからです。

絶縁状は「相手を攻撃する文書」とは限りません

絶縁状という言葉だけを見ると、非常に強い印象があります。

しかし、実際に相談を受けていると、絶縁状は必ずしも相手を攻撃するための文書ではありません。

むしろ、「もう争いたくない」「これ以上嫌いになりたくない」「静かに距離を置きたい」「自分の生活を取り戻したい」という方が多くいます。

そのため、絶縁状だからといって、「あなたのせいで人生を壊された」「二度と顔を見せるな」といった強い言葉を書く必要があるとは限りません。

大切なのは、何のためにこの文書を送るのかという点です。

完全に関係を断ちたいのか。
連絡だけやめてもらいたいのか。
金銭的要求だけを断りたいのか。
自宅への訪問をやめてもらいたいのか。
長年伝えられなかった気持ちを、最後に一度だけ伝えたいのか。
目的によって文章は大きく変わります。

【絶縁状の文例】親との関係を断つ場合

ここで一例をご紹介します。
※あくまで「文例」であり、そのまま使えるものではありません。
 実際には事情に応じて調整が必要です。

絶縁通知書

拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

さて、私〇〇〇〇は、これまで長きにわたり、生活費その他の金銭的援助を求められるたびに、できる限りの支援を行ってまいりました。

親子である以上、助け合うことも必要だという思いから、私自身が経済的に無理をしてでも応じてきたこともあります。

しかしながら、私にも自分自身の生活があり、将来があります。

これまで関係を維持するため努力してきましたが、度重なる金銭的要求や連絡により、精神的な負担も大きくなっています。

このまま関係を続けることは、私自身の生活や心身の健康に大きな影響を及ぼすと判断しました。

つきましては、今後、金銭的援助には一切応じません。

また、私の意思に反する電話、メッセージ、自宅への訪問その他の接触についてもお断りいたします。

これは一時的な感情によるものではなく、今後の自分自身の人生を考えた上で決断したものです。

これまでの関係を否定するためではなく、これからの自分の人生を守るために必要な決断であることをご理解ください。

今後は、お互いにそれぞれの生活を歩んでいくことを望みます。

以上

令和〇年〇月〇日
〇〇〇〇

実際には、その方がどのような経緯を経験してきたのかによって文章は大きく変わります。

自分で書くと感情が強くなりすぎることがあります

絶縁状は、長年抱えてきた感情を書く文書でもあります。

そのため、自分で書こうとすると、「あれも言いたい」「これも分かってほしい」「昔のことも全部書きたい」となりやすいものです。

気がつけば、数十年前の出来事まで書き続け、非常に長い文書になってしまうこともあります。
もちろん、その気持ちは自然なものです。

ただ、絶縁状は日記ではありません。

相手に何を伝えたいのかを整理しなければ、最も大切な部分が伝わらなくなることがあります。

私は作成相談を受ける際、「この文書を送ったあと、どうなりたいですか?」という点をかなり重視しています。

相手を反省させたいのか。
二度と連絡してほしくないのか。
自分の気持ちを理解してもらいたいのか。
あるいは、理解してもらえなくても構わないので、自分自身の中で区切りをつけたいのか。

ここが整理できると、文書の方向性もかなり見えてきます。

実際に相談を受けて感じるのは「縁を切りたい」だけではないということ

これまで絶縁状について相談を受けてきて、私自身が一番印象に残っていることがあります。

それは、相談者の多くが、単純に相手を嫌いだから相談してきているわけではないということです。

むしろ、以下のような方が少なくありません。

「本当は普通の親子関係でいたかった」
「できれば仲良くしたかった」
「何度も関係を修復しようとした」
「これまでも何度も我慢した」

それでも関係が改善せず、最後に、「これ以上、この関係に自分の人生を支配されたくない」と考えて相談に来られます。

その意味では、絶縁状というのは、「相手との関係を終わらせる文書」であると同時に、「これからの自分の人生を始めるための文書」でもあるのかもしれません。

絶縁状は「終わり」ではなく「区切り」なのかもしれません

絶縁状という名前だけを見ると、とても冷たく、強い文書に見えます。
しかし、実際の相談現場で感じるのは少し違います。

絶縁状を作ろうとする方の多くは、長い時間悩み、我慢し、それでも関係を続けようとしてきた方です。

その末に、「これからは自分の人生を生きたい」と考えています。

だから私は、絶縁状は必ずしも誰かを切り捨てるためだけの文書ではないと思っています。

これまでの関係に一区切りをつけ、これからの自分の人生を始めるための意思表示になることもあるのではないでしょうか。

当事務所では、絶縁状・絶縁通知書の文案作成についてご相談をお受けしています。

「何を書けばいいのか分からない」
「自分で書くと感情的になってしまう」
「何十年もの出来事をどう整理すればいいのか分からない」
「相手を責めたいわけではない。ただ、もう距離を置きたい」

そのような場合も、まずは現在のお気持ちやこれまでの経緯をお聞かせください。

文書を作ることが目的ではなく、これからどのように生きていきたいのかを整理するところから、一緒に考えていきます。

行政書士やまもと事務所
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🌐 https://tora-no-maki.com

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