2026年1月施行 行政書士法改正|“無償だから大丈夫”が通用しなくなる両罰規定とは?

業務日誌

2025年12月26日:追記
行政書士法の改正についてはこちらの記事でも詳しく解説してます。
「改正されたらどうなるのか?」
記事なる事業者のみなさま、こちらの記事も是非チェック下さい。

■【2026年1月改正】冬休みに少しだけ学びませんか?経営者が知っておくべき「行政書士法改正」の話
https://tora-no-maki.com/gyoumu/3402/

先日、所属している行政書士連合会から会報が届きました。
普段なら「ふーん」と一読して終わることが多いのですが、今回は思わずガッツリ読んでしまったんです。

なぜかというと、そこに取り上げられていたのが 両罰規定の導入 だったからです。
来年1月に行政書士法が改正されることにより、今まで「まぁ大丈夫でしょ」と思ってやっていたことが、今後は処罰の対象となる可能性があるというのです。

この罰則は行政書士だけでなく、行政書士以外の方にも適用されるんです。

本記事では、今回の法改正の中でも注目すべき “無償だから大丈夫”が通用しなくなる両罰規定 についてご紹介します。

行政書士法改正のポイントと施行日

今回の改正では、行政書士の使命特定行政書士の役割拡大業務制限規定の明確化など複数の変更点があります。
詳しい改正内容については過去の記事で整理していますので、ぜひこちらをご覧ください。

そのうえで、今回私が特に注目したのが 両罰規定の整備

この改正は 2026年1月1日から施行される予定であり、今後は 行政書士でない者が、名目を問わず報酬を得て官公署に提出する書類を作成する行為が明確に違法となります。

名目を問わずアウトなので、「無償だから大丈夫」「名目を変えれば問題ない」という理屈は通用しなくなります。

両罰規定とは?

従来、行政書士法違反に対して処罰の対象となるのは、原則として違反行為を行った個人でした。
しかし改正後は、従業員や補助者だけでなく、法人自体も処罰対象となることになります。

いやぁーこれは行政書士の仕事かもしれないけど、内緒にしとけばバレないし「まぁいいか!」
——そう思って内緒で行政書士業務を行い、それがバレるとあなただけでなく、あなたの勤める会社も罰せられるのです。

これは依頼者保護の観点からも重要な改正といえます。

無償でも違反になる具体的な事例

今回の改正では、「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が追加されました。
この一文が意味するのは、“無償だから大丈夫”という考え方は通用しないということです。

具体的な「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という事例を以下に2つ挙げてみます。

事例① 建築士が「ついでに申請」してしまうケース

建築士が建物の設計業務を請け負った際、依頼者から「役所への許可書類の作成もお願いできますか?」と頼まれることがあります。
ここで「設計料はいただいているから、申請書類の作成はサービスでやっておきますよ」無償で書類作成を代行してしまうと、これは行政書士法違反となります。

つまり、報酬を受け取るか否かではなく、書類作成そのものが行政書士の独占業務である以上、無償であっても違反になるのです。

事例② 補助金コンサルが「無償で申請代行」するケース

補助金申請をサポートするコンサル会社の中には、
「コンサル契約を結んでいただければ、申請書類の作成は無料でやります」と案内するケースがあります。

一見すると依頼者にとってお得に思えるかもしれませんが、これも行政書士法違反です。
表向きは“無料”でも、実際にはコンサル料の中に補助金関連の申請書類の対価が含まれていると判断されれば、違法となります。

そして今回の改正後は、こうした違反行為を行った従業員だけでなく、法人全体も処罰対象になるのです。

【考察】補助金申請サポートは、本当に「行政書士の独占」なのか?

今回の行政書士法の改正により、官公署に提出する書類の作成は「いかなる名目であっても」行政書士でない者が報酬を得て行うことはできない、というルールがより鮮明になりました。

行政書士として登録し、適正な報酬を明示して業務を行っている私にとって、この「両罰規定」の導入そのものは、直接的な業務への影響はほとんどありません。
しかし、現場の一実務家として、ある一つの疑問が浮かびます。

それは、「補助金申請における全てのプロセスを、一律に行政書士の独占業務と言い切って良いのだろうか?」という点です。

「書類作成」と「経営支援」のあいだ

補助金申請には、大きく分けて二つの側面があります。

  1. 行政に提出する「書類(電磁的記録)」として形を整えるプロセス
  2. 「どのような事業計画で利益を出し、成長するか」という経営戦略を練るプロセス

今回の法改正で厳格化されたのは、あくまで「1」の書類作成の部分です。
一方で、補助金の核心とも言える「2」の事業計画策定や経営アドバイスについては、従来通り中小企業診断士や経営コンサルタントの方々が持つ専門領域であるはずです。

「軍師」としての診断士、「書記」としての行政書士

私は、これからの時代、補助金申請サポートには「役割分担」が必要だと考えています。

  • 中小企業診断士(軍師): 企業の「軍師」として、経営実態を分析し、採択後も事業が成功するための強靭な経営計画を立案する。
  • 行政書士(手続きの専門家): その計画を、行政書士法の趣旨に則り、行政に正しく伝わる法的・形式的な「書面」として完成させ、責任を持って申請を代行する。

「自社製品を売りたいために、適当に書類を埋めて出す業者」は今回の改正で排除されるべきですが、企業の未来を真剣に考えるコンサルタントや診断士のアドバイスまでを一括りに「行政書士の領域だ」と否定するのは、経営者のためにならないのではないか。
そう思うのです。

議論は続く、しかし目指すべき場所は一つ

もちろん、これはあくまで私個人の見解です。
2026年1月からの実務運用や、今後の学説・議論の中で、具体的な線引きがより明確になっていくことでしょう。

ただ、一つだけ確かなことがあります。
それは、今回の法改正の本当の目的は「誰が業務を独占するか」ではなく、「無責任な書類作成から、経営者の皆様と行政の信頼を守ること」にあるという点です。

私たち専門家は、資格の垣根を超えて、どうすれば経営者の皆様が安心して挑戦できる環境を作れるのか。その最適解を求めて、議論を深めていく必要があると感じています。

さいごに

2026年1月の行政書士法改正で導入される両罰規定は、「無償だから大丈夫」「名目を変えればセーフ」といった考え方を排除する改正です。
依頼者にとっては、信頼できる行政書士に依頼すれば安心できる環境が整うことになります。

逆に言えば、これまで無償で行っていたり、報酬の名目を変えて行っていたことが、改正後には違反となるケースが出てくる可能性があるということです。
これからは「大丈夫だろう」と思っていた行為が思わぬリスクにつながるかもしれませんので、十分注意が必要です。

当事務所では、今回の改正を踏まえ、補助金申請をはじめ各種手続について安心してご相談いただける体制を整えています。
お気軽にご相談ください。

行政書士やまもと事務所
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