みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
本日は 昨年末に帰省していた際に、母から告げられた「墓じまい」のお話をします。
昨年末 久しぶりに生まれ故郷の高知へ帰省し、実家でゆっくりとした時間を過ごしてきました。
久しぶりの実家の空気、親の作る料理。
くつろいでいる時に、ふと母から切り出された言葉に、私は思わずハッとさせられました。
「私たちが死んだらあんたたちは高知に帰って来ることも無くなろうき、もう私が生きちゅう間に墓じまいしたいと思いゆうがよ」
(訳:私たちが死んだら、あなた達は高知に帰って来ることも無くなるだろうから、私が生きている間に墓じまいをしておきたいと思っているのよ)
久しぶりに実家に帰省してくつろいでいる時に こんな事言われドキッとしました。
でも、それは紛れもない事実です。
私を含め兄弟二人とも、現在は県外(私は岡山県倉敷市)で生活の基盤を築いています。
将来的に高知の実家に戻る予定はありません。
母はそれを誰よりも理解していて、「子供たちに負担を残したくない」という想いで決意してくれたのだと思います。

今回は、一人の息子として、そして行政書士として、この「墓じまい」について少しリアルなお話を書きたいと思います。
「墓じまい」は撤去して終わりじゃない。一番の難所は「人」対「人」
「墓じまい」と聞くと、お墓を解体して更地にする工事のイメージが強いかもしれません。
しかし、行政手続き上は「改葬(かいそう)」といって、現在の場所から遺骨を別の場所へ引越しさせる手続きが必要です。

実はこのプロセスの中で、もっともハードルが高く、ドロドロとしがちなのが「現在のお寺(管理者)との話し合い」です。
手続きを進めるには、現在のお寺から「埋蔵証明書(埋葬の事実の証明書)」という書類にハンコをもらう必要があります。
しかし、長年お世話になったお寺から離れるというのは、単なる事務手続きでは済みません。
離檀(りだん)をめぐるトラブルのリアル
長年お付き合いのあったお寺にお別れを告げる際、すんなり受け入れてもらえるとは限りません。
- 「先祖代々守ってきたお墓を、今の代で無くすのか」というお叱りを受ける
- 「離檀料(りだんりょう)」として、想定外の高額な金額を請求される
これらは決して珍しい話ではありません。
これまでのお付き合いの深さや、お寺側の事情(檀家が減ることへの危機感など)も絡み合い、感情的な対立に発展してしまうこともあります。
「ハンコを押してもらえない…」と膠着状態になるケースもあり、ここは法律論だけでは割り切れない、非常に神経を使う「交渉」の場でもあります。

「海に還りたい」母の願いと、散骨の現実
さて、お墓を閉じた後、取り出したお骨はどうするのか。 私の母の希望は「海への散骨」でした。
「お墓はいらん。海に撒いてくれたらそれでえい」

母らしいさっぱりとした希望ですが、これも「はい、そうですか」と近くの海に撒くわけにはいきません。
日本には散骨を直接禁止する法律はありませんが、「どこでも撒いていい」わけではありません。
水源地や養殖場の近くはNGですし、遺骨をそのまま撒くことは刑法(遺骨遺棄罪)に触れる恐れがあるため、パウダー状に粉砕(粉骨)する必要があります。
また、自治体によっては条例で規制されている場合もあり、個人で勝手に行うのはリスクが高すぎます。
母の願いを叶えるためには、専門業者への依頼や、散骨可能なエリアの調査など、しっかりとした準備が必要になりそうです。
【保存版】墓じまい(改葬)の進め方&納骨先チェックシート
ここまでお話ししてきたように、墓じまい(改葬)は感情面での配慮も必要ですが、それと同時に「淡々と進めなければならない行政手続き」でもあります。
「何から手をつければいいの?」
「どんな書類が必要?」
そんな疑問を整理するために、全体の流れと納骨の選択肢をひと目で確認できるチェックシートを作ってみました。
項目をタップ(クリック)すると詳細が表示されます。
「これは終わった」
「これはまだ」
とチェックを入れながら、現状の整理に使ってみてください。
改葬許可の申請では、「どこに移すか」が決まっていることが前提になります。申請時に「受入証明書」などが必要になるためです。
- 移転先の選定(後述の選択肢を参照)
- 家族・親族間での合意形成
寺院・霊園・自治会など、現在の管理者に墓じまいの意向を伝えます。
- 遺骨の人数の確認(何霊あるか)
- 必要書類(埋蔵証明)の発行依頼
- 墓石撤去の条件確認(指定石材店があるか等)
申請先自治体(現在お墓がある場所)の様式を確認して書類を集めます。
- 改葬許可申請書(自治体HP等で入手)
- 埋葬の事実の証明(管理者証明)
- 移転先の受入証明(契約書の写し等)
- 故人との続柄が分かる戸籍等
申請先は「移転先」ではなく、「今遺骨がある市区町村」の役所です。
- 役所の窓口または郵送で申請提出
これが「遺骨を動かしていいですよ」という許可証になります。紛失しないよう保管してください。
- 改葬許可証の受領・確認
閉眼供養(魂抜き)などの儀礼を行い、遺骨を取り出します。
- 閉眼供養の実施(寺院の場合)
- 石材店による開墓・取り出し
新しい墓地・納骨堂へ遺骨を納めます。
- 移転先へ「改葬許可証」を提出
- 納骨法要など
最後に古いお墓を更地にして管理者に返還します。これが完了して「墓じまい」終了です。
- 石材店による解体工事
- 管理者への区画返還
主要な選択肢5つ
特徴:寺院や霊園が、家族に代わって供養・管理を続けてくれるお墓です。
- 合祀型:他の方と一緒のお墓に入るタイプ(費用を抑えやすい)。
- 個別型:一定期間は個別に安置し、その後合祀されるタイプなどがあります。
特徴:屋内に遺骨を安置する施設です。天候に左右されずお参りできます。
- ロッカー型、仏壇型、自動搬送型など種類が豊富。
- 都市部に多く、交通アクセスが良い場所が多いです。
特徴:墓石の代わりに樹木や草花をシンボルにする「自然志向」のお墓です。
- 多くは「墓地として許可された場所」で行われるため、法的な安心感があります。
- 個別の区画があるタイプと、大きな木の下に合祀されるタイプがあります。
特徴:遺骨を小さな骨壺やペンダントに入れて、自宅や手元で供養する方法です。
特徴:遺骨を粉末状(粉骨)にし、海や山などに撒く方法です。
散骨は、明確な許可手続が法律で一本化されているわけではなく、自治体の条例や指針が絡むことがあります。 消費者庁のガイドラインでも、散骨の場合は地方自治体への確認が望ましい旨が触れられています。
「やるなら専門業者に任せる」「場所のルール確認をする」という慎重な設計が現実的です。
「自分たちの場合はどれが良い?」「役所の手続きが難しそう…」
とお悩みの方は、行政書士やまもと事務所までお気軽にご相談ください。
「墓じまい」の本質は「お墓をなくすこと」ではない
今回、親からこの話をされて、私は改めて考えさせられました。
「墓じまい」という言葉は、どうしても「お墓をなくす」「終わらせる」という寂しい響きがあります。 でも、本質はそうではありません。
「ご先祖様や両親の遺骨の“次の居場所”を、家族みんなが納得できる形で決めること」
これが墓じまいの正体なのだと思います。

もし、両親が亡くなった後に私たち子供だけでこれをやろうとしたら…?
親戚への根回し、お寺との交渉、遺骨の行き先探し。
想像するだけでメチャクチャ大変です。
両親が元気な(生きちゅう)間に、自分の意思で方向性を示してくれたこと。
これは本当にありがたいことですし、最大の「親の愛情」だと感じました。
遠方にお住まいの「息子世代・娘世代」の方へ
今回のお話、私と同じように「実家を出て暮らしている」皆様にとっては、他人事ではないはずです。
「親が元気なうちに、そんな話はしにくい」と思う気持ちも痛いほど分かります。
しかし、いざ動き出すと、役所への「改葬許可申請」や、散骨・永代供養先との調整など、やるべきことは山積みです。
- 手続きが複雑で何から手をつけていいか分からない
- 遠方に住んでいて、平日にお寺や役所に行けない
- お寺との話し合いが不安だ
そんな時は、私たち行政書士を頼ってください。
面倒な行政手続きの代行はもちろん、「何から話し合えばいいか」というご相談にも乗ることができます。
「後は頼んだぞ」と言われて途方に暮れる前に。
まずは次回の帰省やお盆にでも、ご家族で「これからのお墓のこと」を少しだけ話してみませんか?当事務所は、そんな「家族のこれから」を考える皆様の味方です。
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