おはようございます。
岡山県倉敷市の行政書士 山本です。
早いもので2025年もあと数日。
年内のお仕事も終わり、ご自宅でのんびりと過ごされている方も多いのではないでしょうか。
実は 最近「来年、行政書士の法律が変わるんでしょう? 今までやっている業務が行政書士法に違反しない?」というご質問をいただく機会が急激に増えました。
世間の関心の高さを肌で感じるとともに、「これは正しくお伝えしておかなければ!」という強い使命感を感じています。
そこで、今回は 冬休みのコーヒータイムにゆったり読んでいただけるような、「あなたの大切な会社を守るための知恵」をまとめました。
難しい法律用語はできるだけ使わずにお話ししますね。
そもそも「行政書士」って、普段何をしている人?
「名前は聞いたことあるけど、行政書士ってどんな仕事なの?」
という方も多いですよね。
実は、私たち行政書士の仕事は、「行政書士法」という法律の第一条の二で、ハッキリとこう定められています。
【行政書士法 第1条の2 第1項】
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(電磁的記録を含む。以下同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする。
……
これだけ読んでも、「官公署?」「権利義務?」「電磁的記録って何?」と、少し難しく感じてしまいますよね。
そこで、この法律の言葉を、経営者の皆様に馴染みのある言葉に翻訳して解説します。
① 「官公署に提出する書類」= 役所へのパスポート作り
「官公署」とは、国や県、市役所、警察署、保健所などの「役所全般」のことです。
ビジネスを始める際や広げる際に、役所に出す膨大な書類がこれに当たります。
- 具体例: 建設業の許可、飲食店の営業許可、電気工事業の登録など。
- 補助金もここ: 経済産業省や事務局に出す「補助金申請書」も、まさに「官公署に出す書類」の代表格です。
- いわば: あなたの会社が正々堂々と商売をするための「公式なパスポート」を整える仕事です。
② 「権利義務に関する書類」= 誰かと誰かの「約束事」を守る仕事
これは、個人や会社の間で発生する「法的な約束」を形にした書類のことです。
当事務所のメイン業務である「契約書」がここに含まれます。
- 具体例: 売買契約書、業務委託契約書、秘密保持契約書(NDA)、さらには遺言書など。
- いわば: 後々のトラブルを防ぎ、万が一の時に「会社とあなたを守るための盾(たて)」を作る仕事です。
③ 「事実証明に関する書類」= 「確かにこうですよ」という証拠作り
「事実証明」とは、目に見えない状況や経過を、法律的に価値のある「証拠」として書類に残すことです。
- 具体例: 会社の議事録、会計帳簿、実地調査に基づく図面や報告書など。
- いわば: 「うちは正しくやっています」ということを、第三者に対しても証明できる「公式な記録」を作る仕事です。
※「電磁的記録」= 紙だけじゃなく「データ」も対象です
法律にカッコ書きで書いてある「電磁的記録」とは、デジタルデータのこと。
今は紙の書類にハンコを突いて出すだけでなく、パソコンから電子申請をしたり、電子署名を使って契約を結んだりしますよね。
「紙でもデータでも、公式な書類作成は行政書士の仕事ですよ」と、法律も今のデジタル時代に合わせて定義されているのです。
「官公署に提出する書類」
「権利義務に関する書類」
「事実証明に関する書類」
こういった書類を作成するのが行政書士の業務なんです。

余談ですが、行政書士をしていると 相続や土地の変更登記などを依頼されることがあります。
実は この“登記”は行政書士の仕事ではなく、司法書士の仕事なんですね。
過去に行政書士と司法書士の違いをラーメン屋で説明した記事を書いてますので、よければこちらも是非読んでみて下さい。
2026年改正:今まで「なあなあ」にされていたことが、ハッキリ「ダメ」になります
いよいよ本題です。
2026年1月1日より、行政書士法が新しくなります。
いくつか改正ポイントはあるのですが、いま業界内外で最も注目され、話題になっているのが、行政書士法 第19条の「業務の制限」です。
新しくなる条文には、このように書かれています。
【改正行政書士法 第19条(抜粋)】
行政書士(中略)でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の二に規定する業務(書類作成など)を行うことができない。
ちなみに、これまではどう書いてあったかというと……
「行政書士でない者は、業として業務を行うことができない。」
これだけだったんです。
「名目は関係ない」という言葉の重み
今回、条文に「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という言葉がバシッと入りました。
これ、実はすごいことなんです。
今までは、
「これは書類作成代じゃなくて、経営コンサル料だからセーフ」
「事務サポート費だからセーフ」
といった、いわば「言葉のすり替え」で法律の網をくぐり抜けようとする業者(いわゆる闇コンサル)が後を絶ちませんでした。
しかし、2026年からは「どんな名前をつけても、お金をもらって書類を作ったらアウト!」と、言い逃れが完全にできなくなります。
実は「新しく禁止された」わけではありません
ここで、経営者の皆様にぜひ知っておいていただきたい真実があります。
それは、今回の法改正は「新しくルールを作って禁止事項を増やした」わけではない、ということです。
もともと、行政書士でない人がお金をもらって役所の書類を作ることは、法律で禁止されていました。
しかし、これまでの実情はどうだったでしょうか。正直にお話しします。
- 「資格はないけれど、コンサル料という名目ならいいだろう」
- 「業界ではみんなやってるから、まあ大丈夫だろう」
- 「役所もそこまで厳しく見ていないし……」
そんな「なあなあ」な処理が、一部の界隈でまかり通ってしまっていた現実があります。
今回の改正は、そんな「なあなあ」の隙間を法律がキッチリと埋めに来た、つまり「もともとダメだったことを、逃げ場がないように明文化した」ということなんです。

だからこそ、今まで「慣習だから」と目をつぶってきた業者や、それを知らずに頼んでいた一部の経営者の間で、「これからはマズいぞ……」と大きな話題になっているのです。
「え、これもダメなの?」身近に潜む3つのケース
「悪気はないけれど、実は危ない」という、よくある事例を見てみましょう。
【ケース①】補助金:営業マンの「全部やっておきますよ」
ある設備の営業マンが、「うちの機械を買ってくれれば、補助金申請の書類作成は私がおまけで全部やっておきますよ!」と提案。
→ これはアウトです。
どんなに親切な営業マンでも、資格がなければ報酬を得て書類を作ることはできません。
【ケース②】許認可:コンサルタントの「丸ごとパック」
「建設業の新規許可、コンサル料50万円の中に書類作成も全部入っています。うちは行政書士じゃないけど、経営のアドバイスの一環だから大丈夫です」
→ これもアウトです。
コンサルティングと書類作成は別物です。
改正法では「名目は関係ない」とされるため、より厳しくチェックされます。
【ケース③】自動車ディーラー:慣習的な「代行費用」
車の購入時、「登録の手続き代行」や「車庫証明の取得」として費用を払い、お店のスタッフ(非行政書士)が書類を作っている。
→ 実はこれ、長年の慣習でしたが、報酬を得て繰り返し行うことは本来、行政書士の仕事です。
改正を機に、こうした「当たり前」だったことにも厳しい目が向けられるようになります。
「何がダメで、何が良いのか」その境界線をハッキリさせましょう
もう少し突っ込んで、何がアウトで、何がセーフなのか、深堀ってみます。
判断の基準は、先ほどご紹介した行政書士法 第1条の2 第1項にあります。
行政書士は、(中略)官公署に提出する書類……を「作成」することを業とする。
ここが最大のポイントです。
法律で禁止されているのは、あくまで書類の「作成」なのです。
これは「アウト」:書類の「作成」
行政書士でない人が、報酬(コンサル料など名目を問わず)を得て、以下のようなことをするのは法律違反になります。
- 中身を代筆する: 補助金の申請書や事業計画書の文章を、コンサルタントがあなたの代わりに書き上げること。
- 空欄を埋める: 役所の提出書類のフォーマットに、ヒアリングした内容を打ち込んだり記入したりすること。
- 「妄想」で書く: 経営者の想いを聞くことなく、業者が勝手に「受かりそうな内容」を捏造して書類を仕上げること。
たとえ、最後にあなたがハンコを押したとしても、その「文章を構成し、書類の形に作り上げた」のが無資格の業者であれば、それはアウトです。
これは「セーフ」:申請という「行為」
少し意外に思われるかもしれませんが、実は「書類を役所に持っていく」「オンラインで送信ボタンを押す」という「申請する行為」そのものは、行政書士の独占業務とはされていません(もちろん、本人になりすまして虚偽の報告をするのは別の問題ですが)。
つまり、こういう状態なら法律的にクリーンです。
- 中身は経営者が作る: 社長自らが事業計画を書き、書類を完成させる。
- 助言をもらう: コンサルタントや診断士から、「この部分はもっと数字で具体的に書いたほうがいいですよ」とアドバイス(助言)をもらう。
- 申請を手伝う: 出来上がった書類を、業者が代わりに窓口へ届けたり、パソコンの操作方法を教えたりする。
なぜ「作成」がダメで「申請」に触れないのか?
法律が守りたいのは、「その書類の内容が、正しく、責任を持って作られているか」という点だからです。
コンサルタントや中小企業診断士の本来の役割は、あなたの経営を良くするための「助言(コンサルティング)」です。
一方で、その助言を元に「公的な書類」として責任を持って形にするのが、国家資格者である「行政書士」の役割です。
「作る」のは資格者。
それ以外は、あくまで「アドバイス」や「お手伝い」。
この線引きが、2026年からはさらに厳格にチェックされるようになります。

もし「行政書士法」に違反したらどうなるの?(罰則とリスク)
ここまで読んで頂いた大半の方が気になること、それは「違反したらどうなるの?」じゃないでしょうか。
「知らなかった」では済まされないのが法律の厳しいところです。
もし無資格の業者が書類を作成し、報酬を得た場合、どのようなペナルティがあるのでしょうか。
以下に整理してみました。
1. 実行した「個人」への罰則(第21条)
無資格で書類作成を行った者(いわゆる闇コンサルや、資格のない営業マンなど)には、非常に重い罰則が待っています。
- 内容: 1年以下の拘禁刑 または 100万円以下の罰金
- ポイント: これまでは「注意」で済んでいたようなケースでも、改正後は刑事罰の対象としてより厳格に扱われることになります。
2. 【2026年新設】「会社」への罰則:両罰規定(第23条の3)
ここが今回の改正で、経営者の皆様に最も知っておいていただきたい点です。
これまでは「やった本人」が罰せられるだけでしたが、2026年からは「その人が所属する会社(法人)」も一緒に処罰の対象になります。
- 内容: 100万円以下の罰金
- 意味すること: 例えば、ある企業の営業マンが「サービスで補助金申請書を作りますよ」と請け負って報酬を得た場合、その営業マン個人だけでなく、その会社(法人)も罰金を科せられるということです。
- 経営リスク: 罰金そのものよりも、「行政書士法違反で罰金刑を受けた」という事実が公になることによる、社会的信用の失墜、銀行融資への影響、公共事業の指名停止といったダメージの方が計り知れません。

役所の窓口で「誰が作りましたか?」と聞かれる日が来る?
行政書士法が改正されると もう一つ気になるのが、行政(役所)の対応。
行政書士法が改正される2026年1月からは、行政の対応はどうなるのでしょうか?
役所側(行政)の具体的な対応については、まだ詳細が決まっていない部分もあります。
しかし、行政書士法が変わるということは、書類を受け取る側の運用も変わらざるを得ません。
今後は窓口やオンライン申請の確認プロセスにおいて、以下のようなやり取りが発生する可能性があります。
役所の担当者: 「この申請書類、よく書けていますね。ちなみに、作成されたのはどなたですか?」
事業者: 「あ、外部のコンサルタントさんに全部お願いしました」
役所の担当者: 「その方は行政書士の資格をお持ちですか? 資格がない方が報酬を得て作成されている場合、この申請自体を受理できない可能性があります」
もしこのような事態になれば、せっかく準備した申請がストップするだけでなく、その業者が「無資格」だと判明した時点で、あなたの会社も調査の対象になりかねません。

行政は「適正な手続き」を求めています
今回の改正の背景には、不適切な書類による行政の混乱を防ぎたいという役所側の意図もあります。
「誰が作った書類か」がこれまで以上に厳しく問われる時代になります。
「本人(経営者)が作った」のか、「正当な資格者が作った」のか。
この二択以外は、リスクでしかありません。
まとめ:2026年を、自信を持って歩むために
ということで、今回は 2026年1月から改正される行政書士法について、解説してみました。
今回のお話いかがでしたでしょうか。
今回のお話を読んで頂いて「ドキッ」としてる事業者さんも多いかと思います。
このお話はぜひ「新年一発目の朝礼や社内ミーティング」の話題にしてみてください。
「うちは大丈夫かな?」
「今の取引先はちゃんと資格を持っているかな?」
とみんなで意識すること自体が、会社を守る大きな一歩になります。
もし、「もっと詳しく知りたい」「うちのケースはどうなの?」という倉敷市内の事業者様がいらっしゃいましたら、私が直接お伺いしてお話しさせていただきます。
また倉敷市外の事業者様にはZoomでご紹介も可能です。
経営者の皆様が、安心して本業に集中できる環境を整えるのが、私の願いです。
冬休みの間に、少しだけ自社の「書類の出し方」を見直してみてくださいね。
皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。
行政書士やまもと事務所
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