「家族信託」は契約書より「設計図」が9割!行政書士が教える、失敗しない5つの設計ポイント

相続

みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
本日は 最近密かなブーム(私の中で)にある家族信託についてのお話をします。

最近、テレビや雑誌の特集で「家族信託(かぞくしんたく)」という言葉を耳にする機会が増えてきませんか?
「認知症による資産凍結への備え」として、今、密かに注目を浴びている仕組みです。

「実家が空き家になってしまうのを防ぎたい」
「親の預金を介護費用としてスムーズに使いたい」

そんな切実な悩みを解決できる手段として期待されていますが、実はこれ、「とりあえず契約書を作れば安心」というものではありません。

家を建てる時に図面なしで工事を始めないのと同じで、家族信託も「設計」が間違っていると、いざという時に全く動かない仕組みになってしまいます。

今回は、契約書を作る前に絶対にやっておくべき「設計(デザイン)」について、プロの視点から解説します。

そもそも「家族信託」ってなに?

設計の話をする前に、そもそも家族信託とは何か、一言で説明します。

家族信託は、「親の財産を管理するための『専用の財布』を親子で作る仕組み」です。

通常、預金や不動産は「名義人(親)」しか動かせません。
もし親御さんが認知症などで判断能力を失うと、銀行口座は凍結され、不動産も売却などの契約ができなくなってしまいます(これが「資産凍結」の恐怖です)。

そこで、元気なうちに「信託」という新しい財布を用意します。

  • 委託者(親): 財布にお金や不動産を入れる人
  • 受託者(子): その財布を預かって管理する人
  • 受益者(親): 財布から出る利益(生活費など)を受け取る人

ポイントは、「管理する権限(鍵)」だけを子供に渡して、「利益(中身の価値)」は親のままキープできること。
これにより、親が認知症になっても、子供が代わりに堂々と「親のために」お金を下ろしたり、実家を売却して介護費に充てたりできるようになります。

なぜ「契約書」よりも「設計」が大事なのか?

成年後見制度などは、法律で「やれること・やれないこと」がある程度決まっています。
一方で、家族信託は「ルールを自分たちで自由に決められる」のが最大の特徴であり、メリットです。

しかし、自由だからこそ、「どういうルールにするか(=設計)」をしっかり決めておかないと、穴の空いた財布になってしまいます。
契約書作成は、あくまで決まった設計を文字にするだけの作業。
大事なのはその手前の「5つの設計ポイント」です。

失敗しないための「5つの設計ポイント」

ここからは、私がご相談を受けた際に実際にヒアリングしている「設計の5つの柱」をご紹介します。
これを見ながら家族会議をすれば、失敗しない信託の設計図が描けますよ。

①【キャスト(Who)】誰に託し、誰が予備になるか?

まず決めるのは「登場人物」です。
「信頼できる長男に任せる」で終わりではありません。

  • 委託者(親): 財産を預ける人
  • 受託者(子): 財産を管理・処分する人(実務を回す人)
  • 受益者(親): 生活費や介護費など利益を受ける人

★ここが落とし穴! 「仲が良いから」という理由だけで受託者を決めるのは危険です。
受託者には「帳簿をつける」「年に1回報告する」といった地味ですが重要な事務作業が発生します。
性格が「どんぶり勘定」な人だと、後々他の兄弟から「あいつ、使い込んでるんじゃないか?」と疑われ、トラブルの火種になりかねません。

また、もし受託者(子)が病気や事故で動けなくなったら、信託自体がストップしてしまいます。
必ず「後継受託者(予備のプレイヤー)」を決めておくのが鉄則です。

【家族会議でここをチェック!】

  • 受託者候補は「平日昼間に役所や銀行と電話できますか?」
  • 受託者候補は「書類仕事や記録をつけるのが苦じゃないですか?」
  • もしもの時の「予備(後継者)」は誰にしますか?

②【目的(Why)】何のために信託するのか?

ここが「設計」の背骨になります。
目的は、ざっくりでも良いので「何のためにやるか」を1〜2行で言語化して固定します。

  • 認知症対策: 親の判断能力が落ちても、家賃・修繕・売却が止まらないようにしたい
  • 介護費用の確保: 実家を売って、施設費用を捻出できるようにしたい

★ここが落とし穴! 目的がふんわりと「相続対策」だけになっているケースです。
信託はあくまで「財産管理・運用の仕組み」です。
日々の管理(家賃・修繕・支払い)まで落とし込まないと、現場で動けない仕組みになってしまいます。

【家族会議でここをチェック!】

  • いま一番困るのはどれ?「管理が止まる」「お金が出せない」「揉める」
  • 親が元気なうちに、将来絶対に“止めたくないこと”は何ですか?

③【財産(What)】「何」を信託の箱に入れるか?

全財産を信託に入れる必要はありません。
「管理が止まると困るもの」だけを選んで入れればOKです。

  • 不動産: 実家(空き家化の恐れがあるなら必須)、賃貸アパートなど
  • 金銭: 管理に必要な現金

★ここが落とし穴! よくある失敗が「不動産だけ信託して、お金(支払い原資)を入れ忘れる」パターンです。
不動産の管理には、固定資産税や修繕費、火災保険料がかかります。
「信託した不動産の経費は、信託したお金から払う」のが原則。
お金の箱が空っぽだと、税金の支払いでいきなり詰まってしまいます。

【家族会議でここをチェック!】

  • その財産が凍結すると、何が困りますか?(家賃が入らない、売れない等)
  • 年間で必ず出ていくお金(税金・保険・修繕積立)はいくらですか?

④【権限(How)】受託者はどこまでやっていいのか?

ここが設計のど真ん中、エンジンの部分です。
受託者(子)にどこまでのフリーハンド(権限)を与えるかを決めます。
分かりやすく3段階で考えると良いでしょう。

  1. 日常運用(迷わずOK): 賃貸の更新、修繕手配、税金支払い
  2. 大きい判断(条件付き): 大規模修繕、借入、建替えなど
  3. 不可逆な判断(特に慎重に): 不動産の売却

★ここが落とし穴! 「売却の権限」が曖昧だと、いざ介護費用が必要な時に「売っていいのか?」と迷い、結局売れない事態になります。
逆に自由すぎると他の家族が不安になります。
「◯◯万円以上で売却」「売却時は◯◯の同意が必要」など、ルールを決めておきましょう。

【家族会議でここをチェック!】

  • 将来、実家を売る必要があるのはどんな時?(介護費不足、空き家、修繕不能など)
  • 売却OKにするなら、条件はどうしますか?(誰に相談する?いくら以上?)

⑤【出口(Ending)】いつ終わり、残った財産をどうするか?

信託には必ず「終わり」が来ます。
出口戦略も最初に決めておきます。

  • 終了時期: 親(委託者)が亡くなったら終了、など
  • 帰属権利者: 最後に残った財産(家やお金)を誰にあげるか

実は家族信託には「遺言書」と同じ機能(財産の承継先を決める機能)を持たせることができます。 「自宅は長男に、残ったお金は次男に」といった分け方を、信託契約の中で決めておくことができます。

【家族会議でここをチェック!】

  • この信託はいつまで必要ですか?(親の生前だけ?配偶者の代まで?)
  • 最後に残った財産は「誰に・どう渡したい」ですか?

【実践ツール】3分で完成!家族信託「設計図」たたき台メーカー

ここまで解説した5つのポイント(Who・Why・What・How・Ending)。
「頭では分かったけど、ウチの場合はどうなるの?」と思われた方も多いはずです。

そこで、簡単な入力だけで「家族会議にそのまま使える設計メモ」が作れるミニツールをご用意しました。
個人情報は保存されませんので、今の頭の中の整理として、ぜひ試してみてください。

家族信託「5点設計」ミニシミュレーター

5つの項目(Who/Why/What/How/Ending)を埋めるだけで、
家族会議用の「設計メモ」が作れます。

Step 1
Step 2
Step 3
Step 4
Step 5

※このツールは思考整理用です。実際の契約書作成や税務判断は専門家にご相談ください。

まとめ:家族信託は「オーダーメイド」の安心

ということで、今回は 家族信託の契約書を作る前に絶対にやっておくべき「設計(デザイン)」についてお話をしました。
今回のお話 いかがでしたでしょうか。

「5W1H(誰が・なぜ・何を・どうやって・いつまで)」 これを決めるのが、家族信託の設計です。

「意外と決めることが多いな…」と思われたかもしれません。
でも、ここをしっかり話し合っておくことが、将来の家族の安心と円満に直結します。

ご家族ごとに資産状況も、家族構成も、悩みも違います。
だからこそ、設計図は完全なオーダーメイドになります。

「我が家の場合はどう設計するのがベスト?」
「ウチの資産状況だと、何を入れるべき?」

そう迷われたら、ぜひ行政書士やまもと事務所にご相談ください。
ハンコを押す前の「設計」から、じっくり伴走させていただきます。

行政書士やまもと事務所
🏠 岡山県倉敷市
🌐 https://tora-no-maki.com

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