民泊と旅館。
どちらも “宿泊サービス” という点では同じですが、実は営業を始める前に必要となる手続きがまったく違います。
- 民泊(住宅宿泊事業)=届出
- 旅館・ホテル(旅館業法)=営業許可
同じ「泊まってもらう」サービスなのに、なぜ片方は届出で始められて、もう片方は許可が必要なのでしょうか?
「民泊を始めたいけど届出でいいの?」
「旅館業許可が必要なのはどんな場合?」
こういったご相談を行政書士としてよくいただきます。
そこで本日は、『許可と届出の違い』を民泊 × 旅館業の実務を例にわかりやすく解説します。
届出とは
「届出」とは、事業者が行政に対して“これから事業を始めるので通知します”と伝える手続きです。
ポイントは次の3つです。
- 届出は「行政の許可を求める行為」ではない
- 行政側は、提出された内容が形式的に整っているかを確認する程度
- 原則として提出した瞬間から事業開始ができる
つまり届出は、行政が“審査して良し悪しを判断する手続きではない”ということです。

営業許可とは
一方、旅館業などの「営業許可」とは、本来は法律で禁止されている行為について、一定の基準を満たした人だけに特別に認める制度。
行政(通常は保健所)が次のような項目を審査します。
- 建物の構造(面積・換気・トイレ等)
- 衛生基準
- 近隣環境への影響
- 運営体制
そして審査に通った場合にのみ「許可証」が交付されます。
審査 → 許可証 → 営業開始
この流れが必要になるのが、旅館業法(旅館・ホテル・簡易宿所)です。

なぜ民泊と旅館業で手続きが違うのか?
同じ宿泊サービスなのに、
- 民泊:届出
- 旅館業:営業許可
この違いは、制度の目的が全く異なるからです。
民泊の目的
民泊(住宅宿泊事業法)は、既存の住宅を活用し、宿泊施設不足を補うための“規制緩和策” として作られました。
そのため手続きは届出方式で、事業の立ち上げを迅速にできるよう設計されています。
旅館業の目的
旅館業法は、不特定多数の利用者を受け入れる施設の衛生・安全を守るための規制です。
宿泊者の安全や衛生に直結するため、行政がしっかり審査し、基準を満たした施設だけが営業できる仕組みになっています。
では届出の方が簡単なの?
「届出だから簡単そう」と思われがちですが、実務ではそうでもありません。
民泊(届出)でも必要なことは多い
- 年間 180 日以内の営業制限
- 近隣住民への事前説明
- 管理業者の選任
- 清掃・衛生管理
- 消防設備の確認
また、民泊用に住宅を改装する場合は、用途変更、消防法対応、自治体の条例遵守など、届出以外の準備が必要になります。

一方、旅館業(許可)は基準が明確
- 部屋の面積
- 換気設備
- トイレの数
- 洗面設備
- 玄関帳場の要件(簡易宿所は緩和あり)
など“審査項目が明確”なため、準備すべき内容が整理しやすいという利点もあります。
つまり、
民泊だから簡単、旅館だから難しい——ではない。
実際の難易度は「物件の状態・用途・目的」によって大きく変わる。
というのが行政書士としての実感です。
さいごに
ということで、本日は、『許可と届出の違い』を民泊 × 旅館業の実務を例に解説しました。
本日のお話 いかがでしたでしょうか。
民泊と旅館業は同じ“宿泊ビジネス”でも、法律の目的・求められる要件・事前の準備が全く異なります。
- 自宅の一部を使いたいのか?
- 空き家を活用したいのか?
- 本格的に宿泊業として運営したいのか?
目的によって届出が適切なのか、許可が必要なのか判断が分かれます。
当事務所では、民泊(住宅宿泊事業)・簡易宿所・旅館業許可のいずれも、物件調査から要件確認、行政との事前相談、申請まで一括支援しています。
「うちの物件はどっち?」という段階でもお気軽にご相談ください。
行政書士やまもと事務所
🏠 岡山県倉敷市
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