―― 実家の掃除のついでに、ぜひ確認してほしいこと ――
はじめに|実家の片付けで出てくる「これ、どうする?」
年末年始やお正月休み。
久しぶりに兄弟姉妹が集まり、実家の掃除や片付けをされる方も多いのではないでしょうか。
先日、こんなお話を伺いました。
「今年、父が亡くなって実家が空き家になりました。
正月に兄弟で集まって掃除をする予定なんですが、
そのときに“これからどうするか”も話し合わないといけなくて……」
年末のご挨拶周りをしていると よく聞くお話ですね。

家の中の整理は目に見えるので進めやすい一方で、意外と後回しになりがちなのが、実家とセットになっている
- 田んぼ
- 畑
- 昔使っていた農地
といった「農地」の存在です。
「とりあえず今は何もしなくていいか」
そう思ってしまいがちですが、実はここで一度、知っておいてほしい法律があります。
それが 「農地法」 です。
そもそも「農地法」って何?
「自分の土地なんだから、どう使おうと自由じゃないの?」
そう思われる方も多いと思います。
しかし、日本では農地を農地以外の用途に変えること(=農地転用)については、法律で厳しくルールが決められています。

なぜそんな法律があるのか?
理由はとてもシンプルです。
- 日本は食料自給率が低い
- 耕作できる土地が限られている
そのため、「勝手に田んぼや畑を潰させない」という考え方で、国が農地を守っています。
注意したいポイント
もし許可を取らずに、
- 埋め立てる
- 駐車場にする
- 建物を建てる
といったことをしてしまうと、
- 原状回復命令(元に戻しなさい)
- 場合によっては罰則
の対象になることもあります。
「知らなかった」では済まないのが、農地の怖いところです。
まず知っておきたい「3条・4条・5条」の違い
農地に関する手続きは、よく 「3条・4条・5条」 と呼ばれます。
難しそうに見えますが、考え方はシンプルです。
| 条文 | ざっくり言うと | 具体例 |
|---|---|---|
| 農地法3条 | 農地のまま譲る | 農家さん同士で田んぼを売る・貸す |
| 農地法4条 | 自分で別用途に使う | 自分の田んぼを駐車場にする |
| 農地法5条 | 売って別用途に使う | 業者に売ってアパートが建つ |
相続した実家について、
- 駐車場にして貸したい
- 誰かに売りたい
といった場合は、主に4条・5条の許可が関係してきます。
実は重要な「青地」と「白地」という考え方
農地転用を考える際、最初に必ず確認したいポイントがあります。
それが、その土地が
- 青地
- 白地
のどちらか、という点です。
■ 青地(農用地区域内農地)
「今後も大切に農業を続けていくべき土地」として指定された区域です。
役所の図面で青色に塗られているためそう呼ばれます。
- 「今後も農業を続けるべき土地」として指定
- 役所の地図では青色で表示
この青地は原則、転用不可。
つまり 農地以外の目的で使うことが原則出来ないんです。
どうしても転用したい場合は「農振除外」 という手続きが必要になり、これはかなりハードルが高く、時間もかかります。
■ 白地(農用地区域外農地)
農業振興地域内ですが、青地には指定されていない土地です。
図面で色が塗られていないためそう呼ばれます。
- 農業振興地域内だが、青地ではない
- 地図で色が塗られていない
白地は青地よりは、転用に進みやすい土地です。

倉敷市にお住まいの方へ|青地・白地の確認方法
ご自身の土地が青地か白地かは、倉敷市のホームページで確認できます。
■ 農業振興地域制度 -倉敷市-
https://www.city.kurashiki.okayama.jp/business/agriculture/1012651/1012654/1013789/index.html
市街化調整区域という「もう一つの関所」
「農地転用」の話をすると、必ずセットで出てくるのが「市街化調整区域」という言葉です。
簡単に言うと、ここは「今はまだ、建物をバンバン建てずに、自然や田んぼを大切に残しておこうね」と決められたエリアのことです。

倉敷市内には、市街化調整区域と呼ばれるエリアが多くあります。
ここでは、
- 農地法(農地としてOKか)
- 都市計画法(建物を建てていいか)
という、2つの許可(ダブルチェック) が必要になります。
「農地転用できそう」と思っても、建物自体が建てられない というケースもあります。
倉敷市にお住まいの方へ|市街化調整区域の確認方法
ご自身の土地が市街化調整区域なのかは、倉敷市のホームページで確認できます。
■ 倉敷市統合型GIS
https://www.gis.pref.okayama.jp/kurashiki/Portal
「春になってから考えよう」では遅い理由
農地転用は、思い立ってすぐ終わる手続きではありません。
- 申請は月1回の締切
- 許可まで数か月
- 農振除外が絡むと1年以上かかることも
もし「来年中に何か動きたい」と考えているなら、家族が集まるこの正月が、実は最適なタイミングです。
まとめ|家族の話し合いに、専門家という「助っ人」を
実家の掃除をしながら、
「この田んぼ、将来どうする?」
そんな話題が出たとき、今日の記事を思い出していただけたら嬉しいです。
当事務所は、倉敷市の行政書士として地元密着で農地転用のサポートを行っています。
- そもそも建物は建てられる?
- 手続きにどれくらい時間と費用がかかる?
そんな最初の「どうしよう?」の段階から、お気軽にご相談ください。
ご家族の大切な話し合いをそっと支える存在になれれば幸いです。
農地転用「ざっくり」シミュレーター
※目安です。最終判断は「農地の所在地の農業委員会」で確認するのが安全です。
行政書士やまもと事務所
🏠 岡山県倉敷市
🌐 https://tora-no-maki.com



