【第2回】準委任契約と業務委託契約の違い ― 「なんでも業務委託」は危険!会社の契約書でよくある落とし穴

契約書

こんにちは、行政書士の山本です。

前回は「委任契約と準委任契約の違い」について解説しました。

今回は、会社の契約書現場で非常によく使われる「業務委託契約」と「準委任契約」の違い、そして実際の“よくある誤解”を交えてお伝えします。
今回のお話は少々難しいお話ですが、分かりやすく解説しますね。

「準委任契約」とは何だった?

まずは復習です。「準委任契約」は民法656条に規定されている契約で、「法律行為以外の仕事をお願いする契約」です。

たとえば、

  • システムの保守やメンテナンス
  • ホームページの運用・管理
  • コンサルタントへのアドバイス依頼
  • 清掃業務や受付業務

こうした「作業」や「役務の提供」を頼むときに使われます。
「法律行為」ではなく“サービス”や“実務作業”というイメージです。

「業務委託契約」ってなに?

「業務委託契約」という言葉
――実は民法にも登場しません。
法律的な定義がなく、ビジネス現場ではとても幅広く使われています。

実際には、「業務委託契約」の中身は「準委任契約」または「請負契約」のどちらかに分けて考える必要があります。

「業務委託契約」は、じつは“2つのタイプ”がある

「業務委託契約」という名前の契約書をよく見ますが、実はその中身は「準委任契約」と「請負契約」の2つに分かれるということ、知っていましたか?

【やさしく言うと…】

  • 準委任契約は、「サービスや作業をしてもらう」タイプ
     例:システムの保守を月額でお願いする、受付業務を頼む、など
  • 請負契約は、「何かを作って納品してもらう」タイプ
     例:新しいホームページを作って納品、アプリ開発や建物の建築工事、など

「業務委託契約」と書いてあっても、内容によって契約の種類が全く違うんです。

委任契約(準委任)と請負契約の違いはどこ?

契約書の現場では「業務委託契約」という言葉がよく使われますが、中身は大きく2つに分かれます。
それが「委任契約(準委任)」と「請負契約」です。

比較項目委任契約(準委任)請負契約
ゴール業務そのものを遂行すること成果物を完成させて納品
成果物の有無原則なし原則あり
報酬発生のタイミング業務を遂行すれば発生成果物が完成し納品したとき
システム保守、受付業務、コンサルタントホームページ制作、レポート納品
責任の範囲善管注意義務(ベストを尽くせばOK)完成責任(結果に責任を負う)

どちらの契約になるかで、会社同士のトラブルやリスク管理が大きく変わります。

【現場のリアルな話】

実はこの違い、従業員1万人を超えるような大企業でも、きちんと理解されずに「なんとなく業務委託」で契約されてしまうケースがあるのです。
担当者は「いつもの雛形だから」「前回もこれで通ったから」と深く考えずに使ってしまう…。
でも実際には、“成果物があるのか”“サービス提供だけなのか”で契約書の内容や責任範囲が全く変わってきます。

「まさか自分たちが…」と思っている大企業ほど、意外と見落としがちな落とし穴です!

具体例を交えた比較表

契約のタイプ内容のイメージ具体例ゴール(成果物の有無)
準委任契約サービスや作業をしてもらうシステムの保守・管理受付業務コンサルティング特定の成果物がなくてもOK
請負契約何かを作って納品してもらう新しいホームページ制作アプリ開発、建物の建築工事完成したものを納品することがゴール

会社現場でよくある“業務委託”の誤解

「ウチは全部“業務委託”でまとめてます!」
よく聞くフレーズですが、これはかなりリスキーです。

なぜなら、

  • 「成果物があるか?ないか?」
  • 「作業そのものが大事なのか?納品が大事なのか?」

ここで契約の種類が全然違ってくるからです。

たとえば、

  • システム保守で「成果物は不要。日々の運用が目的」なら準委任契約
  • 新規システム構築で「きちんと納品して初めて完了」なら請負契約

間違えると「トラブル時にどっちのルールが適用されるの?」と揉めます。

ありがちなトラブル&笑える現場エピソード

  • IT会社A「全部“業務委託契約”で取引してるから大丈夫!」
  • 取引先法務部「…これ、中身は請負ですよね?こっちは準委任ですよね?」
  • 営業担当「え、違うの!?名前が業務委託だから全部同じと思ってた…」

…実はこういうやりとり、日常茶飯事です。
一歩間違えると「契約不成立」「損害賠償が思ってたのと違う金額に」なんてことも。

コンサルティング契約はどちら?という難しい話

コンサルティング契約は、多くの場合「準委任契約」ですが、
「解決策をまとめたレポートを納品する」といった成果物が明確に決まっている場合は「請負契約」と判断されることもあります。

この違いはとても難しいため、迷ったときは専門家に相談するのが安心です。

どう使い分ける?会社で契約書を作るときのポイント

  1. まず“何を頼む契約か”を整理する
    • 成果物があるか?ないか?
    • サービス提供だけ?それとも納品がゴール?
  2. 契約書のタイトルに頼らず“契約内容”を精査する
    • 「業務委託契約書」と書いてあっても、中身が大事!
  3. 法務部や専門家に必ず確認する
    • 「ネットの雛形」で終わらせず、自社に合った契約書か確認
  4. 困ったら相談!
    • 少しでも迷ったら、弁護士さんや行政書士などの専門家に早めに相談しましょう

まとめ

ということで、今回は 会社の契約書現場で非常によく使われる「業務委託契約」と「準委任契約」の違い、そして実際の“よくある誤解”を交えてお伝えしました。
今回のお話 いかがでしたでしょうか。

「業務委託契約」という言葉は便利ですが、実際の契約内容が「準委任契約」か「請負契約」かによって、法律上の扱いやリスクが大きく違ってきます。
内容をしっかり確認し、「どちらの契約なのか」をきちんと見極めることが本当に重要です。

だからこそ、「この契約はどちらなのか?」と迷ったときは、契約書作成のプロである私たち行政書士にぜひご相談ください。
一緒に、あなたのビジネスに合った最適な契約書を作りましょう!

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