はじめに:「え、なんでこんなに高いの?」から始まった疑問
「弁護士さんに契約書の作成をお願いしたら、30万円って言われたんですけど…
行政書士さんって、同じ契約書を3万円とかで作るんですよね?
これって、一体何が違うんですか?」
こういったご相談、実は意外と多くいただきます。
もちろん、契約書の内容や目的によって金額が変わるのは当然です。
でも、同じ「契約書作成」という看板がついていても、作業の中身や法的な関わり方には決定的な違いがあります。
その違いこそが、報酬額の差に直結しているのです。
今回は 行政書士としての視点から、
「弁護士と行政書士の契約書作成ってどう違うのか?」
そして「なぜそんなに金額が違うのか?」という素朴な疑問にお答えしてみたいと思います。
契約書の報酬が違う一番の理由は、「その後に何ができるか」
まず押さえておきたいのは、弁護士と行政書士では、法的にできることがまったく異なるということです。
弁護士は「もし揉めたら」も全部込み
弁護士が作る契約書は、単に紙を作るだけではありません。
- もしトラブルになったとき
- 内容に争いが生じたとき
- 裁判や交渉に発展したとき
こういった場合にも、そのまま代理人として依頼者のために動けるのが弁護士の強みです。
つまり、契約書の報酬には「将来の安心」や「訴訟対応込みの設計」が含まれていると考えてよいでしょう。

行政書士は「揉めないように整える」専門家
一方で、行政書士が対応できるのは「争いがない状態での契約書」です。
つまり、将来のトラブルを未然に防ぐための整備が主な役割です。
すでに揉めているケースや、トラブルが発生している案件については、
そもそも行政書士は関与することができません(これは法律で明確に定められています)。
この「対応できる範囲の違い」こそが、報酬額に大きな差を生む要因です。
実際にあった話:弁護士に相談 → 自作をすすめられる → 不安で行政書士に相談
実際に、私のもとにこんな相談が寄せられたことがあります。
ある方が、ある商品に関する契約を結んだものの、後から「これって本当に大丈夫なのか…?」と不安に感じ、弁護士に相談されたそうです。
弁護士さんは非常に丁寧に話を聞いてくださり、状況を整理したうえで、
「ウチで正式に対応するとなると、費用はそれなりにかかります。
ただ、そこまで複雑な内容ではないので、ご自身で解約書を作成して対応された方がよいかもしれませんね。」
といったアドバイスをもらったとのこと。
しかし依頼者の方は、「自分で書くのはやっぱり不安で…」と感じ、どうすればよいか迷った末、知人の紹介を通じて私のところにご相談に来られました。
書類の内容を詳しくうかがったところ、「現時点で相手との争いにはなっておらず、内容も比較的シンプル」ということが確認できたため、
行政書士として適法な範囲で書面整理のお手伝いをさせていただいたという流れです。
行政書士が作れる契約書、実は“トラブルを防ぐため”のものなんです
改めて整理すると――
はじめからトラブルが起きることを前提にした契約書の作成には、行政書士は関与できません。
たとえば:
- すでに相手と揉めている
- 相手が訴えると言ってきている
- 解約を巡って対立している
こういったケースでは、弁護士に相談すべき領域になります。

一方、行政書士が作成できる書類は、以下のようなものです:
- 事前に合意した内容を形にする【契約書】
- 再発防止を目的とした【誓約書】
- 誤解を防ぐための【覚書】
- 特定の約束を明文化した【念書】
- サービス内容を明示する【約款】
これらはすべて、「争いがない前提」でトラブルを防ぐために作る書面です。
「これは行政書士に頼める書類なのか?」
「それとも弁護士に相談しないといけないのか?」
迷うこともあると思います。そんなときは、どうぞ気軽にご相談ください。
内容を確認した上で、
- 行政書士で対応可能な場合は丁寧に対応し、
- 弁護士の領域であれば正直にお伝えし、必要に応じて法律事務所をご案内します。
「行政書士の方が安いから」とは、私は言いません
私が行政書士だからといって、
「行政書士の方が安いから、とりあえず行政書士に頼んだ方がいいですよ」とは絶対に言いません。
なぜなら、契約書を誰に頼むかは“安さ”ではなく“目的”で決めるべきだからです。
たしかに、行政書士の報酬は弁護士に比べると低く設定されていることが多いです。
でもそれは、「できることの範囲」が違うからであり、価値が劣るという話ではありません。
大切なのは、契約書の目的や背景に応じて、
適切な専門家を選ぶということなんです。
まとめ:書類は“誰に頼むか”でなく“何のために作るか”で選ぼう
契約書って、ただの紙ではありません。
でも、その紙が本当に意味を持つかどうかは、
- 誰が作ったか
- どんな目的で作られたか
- 将来どんなリスクに備えているか
によって、まったく違ってきます。
大事なのは「高いか安いか」ではなく、
「この契約書が何のために必要なのか」をはっきりさせること。
そのうえで、行政書士なのか、弁護士なのか、目的に合った専門家を選ぶことが、
後悔しない契約書作成への第一歩です。

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