こんにちは。
行政書士やまもと事務所の山本です。
今回は、昨年 当事務所で実際に対応した「海外展開に伴うディストリビューター契約書作成」の事例(匿名)を、ストーリー形式でご紹介します。
海外取引はワクワクする反面、契約の詰めが甘いと後で大きな火種になります。
「海外の商社・代理店と契約する予定がある」
「英文や現地語が絡む契約が不安」
という方の参考になれば嬉しいです。
- ご相談:海外の商社とディストリビューター契約を結びたい(2025年7月中旬)
- まずは要件確認:国・言語・契約の骨子を整理(7月下旬)
- お見積りをご提示し、ご採用(8月上旬)
- 相手方との合意を取るための「ヒアリングシート」を作成(8月上旬)
- お客様が現地へ。ヒアリングシートを元に打ち合わせ(8月中旬)
- ヒアリング結果を元に契約書案を作成。3回ブラッシュアップ(9月上旬)
- 現地国の法律家と連携し、リーガルチェック&翻訳(10月上旬)
- 日本語・現地語の併記契約書が完成(10月中旬)→納品(10月下旬)
- 11月:無事に契約締結。海外取引スタート
- ここが私の一番の注力ポイント:「お客様を深く知ること」
- 海外ディストリビューター契約で揉めやすいポイント(要注意)
- 行政書士やまもと事務所の契約書作成・チェック
- こんなときはご相談ください
- まとめ:契約書は“条文勝負”ではなく“現場理解”で決まる
ご相談:海外の商社とディストリビューター契約を結びたい(2025年7月中旬)
2025年7月中旬、岡山県内の製造業のお客様からご連絡をいただきました。
「海外展開をするにあたり、海外の商社とディストリビューター契約を結びたい。
ついては現地語を踏まえた契約書を作成してほしい」
ここで重要なのは、単に「契約書が欲しい」ではなく、“取引を成立させるために、合意内容をブレない形で固めたい”という点です。

海外取引は、言語も商習慣も法律も絡みます。
だからこそ、契約書は“揉めた時の保険”というより、揉めない運用を作る設計図として整える価値が大きいんですよね。
まずは要件確認:国・言語・契約の骨子を整理(7月下旬)
7月下旬、最初に確認したのは以下の3点です。
- 取引国(相手の所在国、販売先、対象地域)
- 契約書で使用する言語(日本語/英語/現地語、併記の有無)
- 契約内容のイメージ(独占か非独占か、販売範囲、条件、責任分担など)
ディストリビューター契約は、ここが曖昧なまま進むと後で必ず詰まります。
特に「誰が・どこで・何を・どう売るのか」は、最初に言語化しておくのが鉄板です。
お見積りをご提示し、ご採用(8月上旬)
要件が見えてきた段階で、工程と作業範囲を整理してお見積りをご提示し、ご採用いただきました。
海外案件は「翻訳」だけが課題ではなく、合意形成〜契約締結までの流れを破綻させないことが大事なので、工程ベースで進めます。

相手方との合意を取るための「ヒアリングシート」を作成(8月上旬)
今回のポイントのひとつが、ここです。
相手方と契約内容の合意を得るため、当事務所でヒアリングシートを作成しました。
口頭で決めたつもりの条件は、海外取引だと特にズレが起きやすいので、
- 抜け漏れなく論点を出す
- 後で揉めやすい項目を先に固める
- 交渉の場で議題が迷子にならないようにする
このための“質問書(ヒアリングシート)”を用意しました。
お客様が現地へ。ヒアリングシートを元に打ち合わせ(8月中旬)
8月中旬、お客様が現地に赴き、作成したヒアリングシートを元にお客様と契約相手方で打ち合わせを実施されました。
海外契約は、こちらが先に契約書案を作って投げても、うまく進まないことが多いです。
相手の「ここは譲れない」と、こちらの「ここは守りたい」を整理しながら合意形成する。
この工程を丁寧に踏むことが、結果的に最短になります。

ヒアリング結果を元に契約書案を作成。3回ブラッシュアップ(9月上旬)
9月上旬、ヒアリング結果を反映して契約書案を作成。
その後、3回ブラッシュアップを行いました。
海外案件は、だいたいこの流れで論点が出ます。
- 1回目:抜け漏れが見つかる
- 2回目:相手のこだわりが出る
- 3回目:運用を想定して整合性を詰める
条文をキレイにするというより、“現場で回る”形に落とすのが一番重要です。
現地国の法律家と連携し、リーガルチェック&翻訳(10月上旬)
お客様と契約書作成の為のやりとりを何度かさせて頂き、ようやく契約書作成!
と言いたいところですが、まだまだ完成はしません。
これからが海外契約でとても大事になる部分です。
契約書案が完成した10月上旬、現地国の法律家と連携し、契約書案のリーガルチェックと翻訳を実施。

国ごとに強行法規や商習慣があり、日本の感覚で作った条文がそのまま通用しないケースもあります。
その国の法律に抵触した契約書は契約書自体が無効とされる国もあります。
そこで今回は現地法の観点を取り入れつつ、契約としての整合性も確保しました。
日本語・現地語の併記契約書が完成(10月中旬)→納品(10月下旬)
10月中旬、日本語・現地語の併記契約書が完成。
10月下旬に納品しました。
併記契約書は、翻訳して終わりではありません。
- どちらの言語を優先するか(言語優先条項)
- 用語の統一(同じ概念が別の単語にならないように)
- 条番号や参照条項のズレ防止
こういった“事故ポイント”を潰して、初めて契約書として使える形になります。
11月:無事に契約締結。海外取引スタート
11月、お客様は無事に契約締結を完了され、海外取引がスタート。
海外取引は、契約締結がゴールではなくスタートです。
だからこそ最初の契約設計が効きます。
ここが私の一番の注力ポイント:「お客様を深く知ること」
今回、私が一番注力したのは、契約書の条文を作ることそのものよりも、まず「お客様をよく知ること」でした。
海外のディストリビューター契約は、
- どんな製品を
- 誰に向けて
- どういう価値として売るのか
という“取引の実態”を理解していないと、契約の線引きがうまくできません。
そこで私は、契約の整理と並行して、
- 製品を実際に拝見させていただく
- ホームページで仕様を細かくチェックする
- どういった顧客が購入するのか(お客様のお客様)まで想像して整理する
といったところまで踏み込みました。
正直、お客様のホームページは何百回見たことか…というレベルです。
ここまで製品を理解すると、冗談抜きで「この商品の営業マンになったらトップセールスマンになれるかも(笑)」とすら思えてきます。
でも、この作業をやったからこそ、契約書の内容も一般論ではなく、その会社の製品と販売の現場に合った“運用できる契約”に落とし込めたと思っています。
海外ディストリビューター契約で揉めやすいポイント(要注意)
ディストリビューター契約で揉めやすいのは、たとえばこのあたりです。
- 独占/非独占、対象地域(テリトリー)
- 販売目標・最低購入・実績が出ない場合の扱い
- 返品・保証・クレーム対応の責任分担
- 知的財産(商標・ノウハウ・資料)の扱い
- 競業避止(競合品を扱ってよいか)
- 契約解除・中途解約、在庫処理
- 準拠法・裁判管轄/仲裁
- 言語条項(どの言語が優先か)
「取引が進んでから詰めよう」とすると、相手のペースになりやすいので、早い段階で整理しておくのが安全です。
行政書士やまもと事務所の契約書作成・チェック
当事務所では、契約書を単に“作る”のではなく、取引の実態と合意形成の流れを踏まえて「運用できる契約」に落とし込みます。
今回のケースのように、
- 相手と合意を取るためのヒアリング設計
- 複数回のドラフト調整
- 必要に応じた専門家連携(国内・海外)
といった形で、締結まで走り切るサポートも行っています。
こんなときはご相談ください
- 海外の相手から契約書が来たが、判断ができない
- 英文・現地語が絡み、内容が不安
- 口頭やメール中心で条件が固まりきっていない
- 契約後に揉めないよう、最初から整えたい
まとめ:契約書は“条文勝負”ではなく“現場理解”で決まる
契約書は、条文をキレイに並べることが目的ではありません。
相手と自社の現場を理解し、揉めない運用を設計する。
そのためのツールが契約書です。
「今の案で押印して大丈夫か」
「何を決め切れば契約にできるか」
など、状況整理からでも対応できます。
気になる方は、お問い合わせフォームよりご相談ください。
行政書士やまもと事務所
🏠 岡山県倉敷市
🌐 https://tora-no-maki.com


