近年、「終活」という言葉とともに耳にする機会が増えたのが「エンディングノート」。
書店や自治体でも無料で配布されており、「自分の最期に備えるノート」というイメージを持つ方も多いでしょう。
一方で、「遺言書」との違いが分かりにくいという声も少なくありません。
実はこの2つ、目的も性質もまったく異なるものです。

今回は、行政書士の立場から「遺言とエンディングノートの本当の違い」を解説します。
遺言書とは──法律が定める“最終意思”
遺言書は、民法で定められた法的効力のある最終意思表示です。
主な目的は、死後の財産の分け方や、誰に何を遺すかを明確にすること。
例えば、
- 相続人ごとの取り分(相続分)を指定する
- 特定の人に財産を遺贈する
- 遺言執行者を指定する
といった内容が代表的です。
そのため、書き方には厳格な方式があり、誤ると無効になるおそれがあります。
代表的な形式は次の3つです。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 自筆証書遺言 | 自分で全文を手書きする方式。法務局で保管可能。 |
| 公正証書遺言 | 公証人が関与し、最も確実。紛失・改ざんの心配がない。 |
| 秘密証書遺言 | 内容を秘密にしたまま公証役場で封印する方式。 |
つまり遺言書は、他人に見せることを前提とした“公的な文書”です。
家族や相続人、公証人、行政書士など、第三者が読んでも誤解のないように書かれなければなりません。

エンディングノートとは──“自分に向けた記録”
一方、エンディングノートには法律上の定義がなく、法的効力は一切ありません。
内容は自由で、形式も制限なし。書店や自治体などが作成したテンプレートを使っても、自作しても構いません。
では、エンディングノートの目的は何か。
それは、自分自身の人生や想いを整理し、家族に伝えるための記録です。
ちなみに当事務所のある倉敷市でも公式サイトでエンディングノートを公開しています。
倉敷市エンディングノート(公式サイト)
この倉敷市版ノートを読むと、行政書士としても非常に参考になる内容です。
冒頭でこう記されています。
「これからの人生を安心して過ごすために、自分の思いや希望を書き留めておきましょう。」
つまりこれは、“誰かに見せるため”ではなく、“自分のために書く”ノートなのです。
家族や介護職に伝えるための部分もありますが、中心は「自分の気持ちの整理」。
まさに“自分に向けた記録”という表現がふさわしいと言えるでしょう。
倉敷市エンディングノートに見る“心の整理”
倉敷市のノートの内容を見ていくと、次のような構成になっています。
- 私のプロフィール
- 健康や医療に関する希望
- 家族や友人へのメッセージ
- ペットや思い出について
- 万一のときにお願いしたいこと
どの項目にも、法的手続きに関する要素は一つもありません。
代わりに、「どんな暮らしを望むか」「家族に何を伝えたいか」といった、心情面・生活面が中心です。
行政書士として感じるのは、これが「心の棚卸し」であり、「自分の人生を言葉で整理する作業」になっているということ。
エンディングノートを書くことで、
“まだ自分にできることがある”
“今後の医療や介護に対して備えよう”
といった前向きな気づきを得られる方も多いのです。

遺言とエンディングノート──実はここが違う
多くの方が混同しがちな「遺言」と「エンディングノート」。
実際には次のような違いがあります。
| 比較項目 | 遺言書 | エンディングノート |
|---|---|---|
| 法的効力 | あり(民法960条以下) | なし |
| 目的 | 相続や財産分与の指定 | 思いや希望の整理・伝達 |
| 書く相手 | 他人(家族・公証人など) | 自分 |
| 作成方法 | 厳格な方式(自筆・公正証書など) | 自由形式 |
| 効力が発生する時期 | 死後 | 生前から活用できる |
| 主な役割 | 法的な“証拠” | 心の“記録” |
つまり、遺言は「他人に理解してもらうための文書」であり、エンディングノートは「自分を理解するための記録」です。
この視点こそが、現場で実感する“本当の違い”です。
両方を組み合わせることで、より確実に・より優しく
遺言書とエンディングノートは、どちらか一方だけでは不十分なことがあります。
遺言は法的に強力ですが、そこに“気持ち”は反映されにくい。
逆にエンディングノートは温かみがありますが、法的拘束力がない。
だからこそ、両方を併用するのが理想です。
例えば──
- 倉敷市のエンディングノートで思いを整理し、
- その中から「確実に実現したい内容」を遺言書に落とし込む。
こうすれば、
「想い」と「法的効力」を両立した形で、“本当に伝わる終活”ができます。

行政書士がサポートできること
行政書士は、遺言書の作成支援を行うことができます。
民法に沿った形式確認はもちろん、内容の整理や添付資料の準備など、「想いを形にする」部分もお手伝いできます。
また最近では、エンディングノートの書き方サポートを希望される方も増えています。
「何から書けばいいか分からない」
「書いた内容を遺言にどう反映すればいいか分からない」
といったお悩みに対して、法的視点からアドバイスを行います。
行政書士は、“想いを言葉にし、法律の形にする専門家”です。
倉敷市で終活を考えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
- 遺言は他人に見せる法的文書、エンディングノートは自分に向けた記録。
- 遺言は死後に効力を持ち、エンディングノートは生前の心の整理に役立つ。
- 両者をうまく組み合わせることで、家族に安心を残せる。
倉敷市のエンディングノートは、その第一歩にぴったりのツールです。
ぜひノートを手に取り、自分自身と向き合う時間を持ってみてください。
そして、法的に確実な形で残したい内容は、行政書士へご相談を。
行政書士やまもと事務所
🏠 岡山県倉敷市
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