犬・猫は飼い主が亡くなったら誰が引き取る?今から考えたいペット終活

相続

みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
今回は 飼い主が亡くなった後のペットについてお話します。

犬や猫などペットと一緒に暮らしていると、ふとこんなことを考えることはないでしょうか。

「もし自分が先に亡くなったら、この子は誰が引き取るんだろう?」

まだ元気だから大丈夫。
家族がいるから、誰かが何とかしてくれる。
犬好きの妹がいるから、そのときは頼めばいい。

そう考えている方も少なくないと思います。

しかし実際には、飼い主が亡くなったからといって、自動的に誰かが犬や猫を引き取ってくれるわけではありません。

そして、「引き取ってくれそうな人がいる」ことと、「実際にその人が引き取れる」ことは、まったく別の話です。

今回は、飼い主が亡くなったとき犬や猫はどうなるのか、そして大切なペットのために今から何を決めておけばよいのかについて、行政書士の立場からお話しします。

飼い主が亡くなったら、犬や猫はどうなる?

まず知っておきたいのは、飼い主が亡くなった場合に、「この人が犬を引き取る」「この人が猫を飼う」と法律上、自動的に決まるわけではないということです。

家族や親族の誰かが引き取れるのであれば、その人にお願いすることになるでしょう。

しかし、想定していなかったケースは多々あります。

  • 誰も犬や猫を飼える環境ではない
  • 家族が引取りに反対している
  • 高齢の犬や猫で医療費がかかる
  • 多頭飼いなので全頭を引き取るのは難しい

その場合は、新しい飼い主を探したり、動物愛護団体などへ相談したりする必要が出てくる可能性があります。

実際、2024年度には全国で犬と猫を合わせて約3万9,000頭が自治体に引き取られています。

環境省_統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」 [動物の愛護と適切な管理]

つまり、「何も決めていなくても、誰かが何とかしてくれるだろう」という前提で考えるのは、少し危険なのです。

「家族がいるから大丈夫」とは限りません

たとえば、飼い主である母親が愛犬と二人で暮らしていたとします。

母親が亡くなったとき、子どもがいたとしても、以下のような事情があるかもしれません。

  • 長男はペット禁止のマンション
  • 長女の家族に犬や猫のアレルギーがある
  • 仕事で長時間家を空ける
  • すでに別のペットを飼っている

特にアレルギーについては、本人が動物好きかは別問題です。

実は私自身も、高校生の頃に犬を飼っていました。
ところが、飼い始めた当初はアレルギー反応が出てしまい、蕁麻疹ができて病院に行った記憶があります。

幸い、その後は一緒に暮らすことができましたが、「犬や猫が好きだから飼える」とは限りません。
家族の誰かにアレルギーがあれば、本人が引き取りたいと思っていても難しい場合があります。

だからこそ、「家族がいる」=「誰かが引き取れる」ではないという点は、あらかじめ考えておく必要があります。

「妹が飼ってくれるはず」は、本当に大丈夫?

ペットの終活について考えるとき、よくありそうなのが、「もしものときは妹が飼ってくれることになっています」というケースです。

では、その妹さんに、正式にお願いしたことはありますか?

「前に話したことがある」
「犬好きだから大丈夫だと思う」
という程度では、実際にそのときになって困る可能性があります。

たとえば、以下のようなことを考える必要があります。

  • その人がペット可の住宅に住んでいるか
  • 配偶者や家族も了承しているか
  • 10年後でも引き取れるのか
  • 高齢になった犬や猫でも世話できるのか
  • 毎月のフード代や医療費を負担できるのか

人の生活環境は変わります。
結婚するかもしれません。
引っ越すかもしれません。
子どもが生まれるかもしれません。
健康状態も変わります。

「今なら引き取れる」という人でも、数年後には難しくなっているかもしれません。
だからこそ、「たぶん引き取ってくれる」から、「正式にお願いして了承をもらう」へ進めておくことが重要です。

この話は「墓じまい」にも通じるところがあります

ここまで書いていて思うのですが、この話は墓じまいにも少し似ています。

親世代は、「自分が亡くなったら、子どもがこのお墓を継いでくれるだろう」と考えていることがあります。
しかし、その子どもが一人っ子で、結婚相手の家にも先祖代々のお墓があったらどうでしょうか。

自分の実家のお墓を管理する。
配偶者側のお墓も管理する。
遠方に住んでいれば、墓参りや維持管理の負担も増えます。

親にとっては、「昔からそうしてきたから、子どもが継ぐのが普通」と思っていても、子ども側からすれば、大きな負担になっている場合があります。

ペットも同じです。
飼い主本人は、「家族だから、この子を大切にしてくれるはず」と思っていても、引き継ぐ側には引き継ぐ側の生活があります。

相続も、お墓も、ペットも、「家族だから何とかしてくれる」と考えてしまいがちです。

しかし、本当に大切なのは、自分の中だけで決めるのではなく、引き継ぐ相手と元気なうちに話をしておくことだと思います。

犬や猫に直接お金を相続させることはできません

では、「引き取ってくれる人に迷惑をかけないように、犬のために100万円残しておこう」と考えた場合はどうでしょうか。

ここにも注意点があります。

法律上、犬や猫は人ではありませんので、相続人になることはできません。
そのため、「愛犬に100万円を相続させる」という形では財産を渡せません。

そこで実務上は、「犬を引き取って世話をしてくれる人に一定の財産を渡す」といった形を検討することになります。

ただし、ここでも重要なのは、お金だけ残せば終わりではないという点です。

  • 誰が引き取るのか
  • いつから引き取るのか
  • 何に使うお金なのか
  • 途中で飼えなくなった場合はどうするのか

まで整理しておかないと、後になってトラブルになる可能性があります。

大切なのは「死亡」だけではありません

ペット終活というと、「自分が亡くなった後のこと」だけを考える方が多いと思います。

しかし、実際にはもっと身近な問題があります。

たとえば、以下のようなケースなど。

  • 突然入院する
  • 交通事故に遭う
  • 長期療養が必要になる
  • 高齢者施設へ入所する
  • 認知症などで十分な世話が難しくなる

飼い主は生きていても、ペットの世話ができなくなるということは十分に考えられます。

犬や猫からすると、「飼い主が亡くなった」場合も、「飼い主が突然入院した」場合も、突然いつもの人が帰ってこなくなるという意味では同じです。

だからこそペット終活は、死亡後の相続だけではなく、入院や事故を含めて考える必要があります。

ペットのために決めておきたい4つのこと

では、具体的には何を準備しておけばよいのでしょうか。

個人的には、ペット終活では少なくとも次の4つを整理しておくことが大切だと考えています。

1.人 ― 誰が引き取るのか

まずは引受人です。

「家族の誰か」ではなく、誰にお願いするのかまで決めます。

できれば第一候補だけではなく、「その人が難しくなった場合はどうするか」という第二候補まで考えておくと安心です。

2.お金 ― 飼育費をどうするのか

ペットを飼うには、当然お金がかかります。

フード代だけではありません。
以下も考える必要があります。

  • 医療費
  • ワクチン
  • トリミング
  • ペット用品
  • 薬代
  • 高齢になった場合の治療費
  • 最後のお見送り

引き取ってもらうのであれば、飼育費まで相手任せにしないという視点も重要です。

3.情報 ― この子のことを残す

新しい飼い主にとっては、その子の生活習慣は分かりません。

たとえば、以下のような習慣などがあります。

  • 何を食べているか
  • 何時に散歩するか
  • 持病はあるか
  • どんな薬を飲んでいるか
  • かかりつけの動物病院
  • 苦手なこと
  • 好きなこと

飼い主にとっては当たり前でも、引き継ぐ人には分からない情報です。

だからこそ、「この子の取扱説明書」のような情報を残しておくことも大切です。

4.書面 ― 約束を形にしておく

そして最後が書面です。

引受人との合意内容を契約書にしたり、必要に応じて遺言を作ったりします。

大切なのは、最初から「遺言書を作ろう」と考えるのではないということです。

まず、人。
次に、お金。
そして、情報。
それを整理したうえで、最後に契約書や遺言という形に落とし込みます。

当事務所のペット終活でも、この「人・お金・情報・書面」の4点を整理する考え方を基本にしています。

ペット終活は「自分の終活」だけではありません

「終活」と聞くと、「まだ自分は元気だから早い」と思う方もいるかもしれません。
しかし、ペット終活は必ずしも、「自分が亡くなる準備」だけではありません。

むしろ、自分に何かあったとき、この子が困らないように準備することです。

犬や猫は、自分で新しい飼い主を探せません。
銀行からお金を引き出せません。
動物病院へ電話することもできません。

だから飼い主が元気なうちに、「この人にお願いする」「飼育費はこうする」「この子の情報はここにある」と決めておく必要があります。

終活は、残される側の負担を減らすことでもあります

先ほどの墓じまいの話にもつながりますが、終活とは、自分の希望を残すことだけではありません。
残された人が、「これ、どうすればいいの?」と悩まなくて済むようにすることでもあります。

ペットについても同じです。何も決めずに亡くなれば、残された家族は、「誰が飼う?」「お金はどうする?」「病気はあるの?」「何を食べていたの?」と一から調べなければなりません。

逆に、誰に頼むか。
お金をどうするか。
必要な情報は何か。
これらが整理されていれば、残された家族の負担も大きく減ります。

そして何より、大切な犬や猫が突然行き場を失うリスクを減らすことができます。

岡山・倉敷でペットの将来が気になる方へ

ということで、今回は 飼い主が亡くなったとき犬や猫はどうなるのか、そして大切なペットのために今から何を決めておけばよいのかについてお話ししました。

当事務所では、飼い主の入院・事故・万一に備える「ペット終活」をサポートしています。

「まだ何も決めていない」という方でも大丈夫です。

  • 誰にお願いするか
  • 引受人にどう確認するか
  • 飼育費をいくら準備するか
  • ペットの情報をどう残すか
  • 契約書や遺言をどう作るか

現在の状況をお聞きしながら一緒に整理します。

「もし自分が突然入院したら、この子はどうなるんだろう?」
「家族が引き取ってくれると思っているけど、ちゃんと話したことはないな」
少しでも気になったら、それが考え始めるタイミングかもしれません。

ペット終活は、縁起の悪い準備ではありません。
大切な家族である犬や猫が、これからも安心して暮らせるようにするための準備です。

行政書士やまもと事務所
🏠 岡山県倉敷市
🌐 https://tora-no-maki.com

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