田んぼを駐車場にしてもいい?農地を売るときにも必要になる「農地法」の基本をやさしく解説

各種許認可

みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
今回は 田舎に住んでいると意外と身近な法律、農地法を基本を解説します。

お盆休みに、実家のある高知県へ帰省してきました。
私は帰省先でもいつもどおりジョギングをするのですが、田んぼの横を走っていてちょっと驚いたことがあります。

「もう稲刈りが終わってる!」

倉敷で普段見ている田んぼとは季節感が少し違い、高知ではすでに刈り取りが終わっている田んぼがあちこちにありました。

さらに走っていると、今度は青々とした苗が植えられた水田も。

「これは二期作かな?もう2回目の田植え?」
なんて考えながら走っていましたが、さすが南国高知。

同じ時期なのに、稲刈りが終わった田んぼの近くに、若い稲が並んだ水田があるという景色はなかなか面白いものです。

そんな田んぼを眺めながら走っていて、行政書士らしくふと思ったことがあります。

それは もしこの田んぼの所有者が「もう田植えもしんどくなったから、この田んぼを友人に売ろう」と思ったら、自由に売ることができるのでしょうか。

あるいは、「もう米は作らない。この土地を駐車場にして貸そう」となった場合、自由にアスファルトを敷いて駐車場にしていいのでしょうか。

実は、そう簡単ではありません。

田や畑などの「農地」には農地法というルールがあり、売買や用途変更をする際には、許可や届出などの手続が必要になる場合があります。

今回は、農地法を初めて聞いた方にも分かるように、「田んぼを売る」「田んぼを駐車場にする」という身近なケースから、農地法の基本を簡単にご紹介します。

そもそも「農地」って何?

農地法では、「農地」耕作の目的に供される土地とされています。

代表的なのが、以下。

  • 田んぼ
  • 果樹園

ここで大切なのは、登記簿に「田」「畑」と書いてあるかだけで判断するわけではないということです。

農地に該当するかどうかについては、実際にその土地がどのように利用されているのかという現況も重要になります。

そのため、「昔は田んぼだったけど、今は何年も何も作っていないから農地ではないでしょう」と自己判断するのは注意が必要です。
見た目が草だらけになっていても、農地として扱われるケースがあります。

土地を売ったり、建物を建てたり、駐車場にしたりする前には、まずその土地が農地法上の農地に当たるのかを確認する必要があります。

なぜ農地だけ特別なルールがあるの?

普通の土地であれば、原則として所有者が売ったり貸したりできます。
ところが農地の場合は少し事情が違います。

農地は、食料を生産するための重要な土地です。
誰でも自由に農地を買えて、「今日から全部駐車場にします」「全部資材置場にします」となってしまえば、農地がどんどん減ってしまいます。

そこで農地法では、農地の売買や貸借、農地以外への転用などについて一定の規制を設けています。
農業委員会も、農地法に基づく権利移動の許可や農地転用に関する事務を担っています。

つまり農地の場合、「自分の土地だから何をしても自由」とはならないわけです。

農地法は「3条・4条・5条」を覚えると分かりやすい

農地法について調べ始めると、「3条許可」「4条許可」「5条許可」という言葉が出てきます。

初めて見ると、「いきなり数字で言われても分からんがな!」となると思います。

そこで、ものすごく簡単に整理すると次のようになります。

やりたいこと農地法の基本的な手続
農地を農地のまま売る・貸す3条
自分の農地を農地以外にする4条
農地を売ったり貸したりして、農地以外にする5条

まずは、この3つを覚えておけば農地法の入口としては十分です。

ケース1 田んぼを友人に売って、友人が農業を続ける

例えば高齢になり、「もう田植えを続けるのはしんどいから、この田んぼを農業をしている友人に売りたい」というケースです。

売った後も田んぼとして利用するのであれば、「農地を農地のまま売る」ことになります。

この場合に関係するのが、農地法第3条です。

農地の売買や貸借については、農地法に基づく農業委員会の許可を受ける方法など、法律に基づいた手続が必要になります。

つまり、「友人同士で話がまとまったから、明日からこの田んぼはあなたのものね」というだけでは終わりません。

さらに、農地については単に「買いたい」というだけで必ず取得できるわけではなく、買う側が農地を適切に利用できるかなどの要件も確認されます。

ケース2 自分の田んぼを駐車場にする

次は、「もう米作りはやめる。でも土地は売らず、自分で駐車場にして貸したい」というケースです。

この場合、所有者は変わりません。
しかし、田んぼ → 駐車場と土地の使い方が変わります。

これを農地転用といいます。

自分が所有している農地を、自分自身で農地以外の用途に変更する場合に基本となるのが、農地法第4条の手続です。

例えば、以下などが代表的な例です。

  • 駐車場にする
  • 資材置場にする
  • 住宅を建てる
  • 店舗を建てる
  • 太陽光発電設備を設置する

つまり、「自分の土地だから、明日から砂利を入れて駐車場にしよう」と工事を始める前に、農地転用の手続が必要か確認することが重要です。

ケース3 友人に売って、友人が駐車場にする

さらに少し話が変わります。

田んぼの所有者が、「自分ではもう使わないから、駐車場を経営したい友人に売ろう」となったケースです。

これは、所有者が変わる
さらに、農地から駐車場へ用途も変わる、という2つが同時に起きます。

この場合に基本となるのが、農地法第5条の手続です。

つまり、「誰が使うかが変わる+農地以外にする」のが5条と考えると分かりやすいでしょう。

土地を売って住宅を建てる場合や、農地を借りて店舗・駐車場などに利用する場合も、5条の検討が必要になります。

「許可を出せば必ず駐車場にできる」わけではありません

ここも非常に重要です。

農地転用は、申請すればどんな農地でも自由に転用できるという制度ではありません。

農地転用許可制度では、農地の場所や周辺の状況などによって転用の可否が判断されます。

特に注意したいのが、農業振興地域内の農用地区域、いわゆる「青地」などです。

こうした土地では、農地転用の前に別の手続が必要になったり、そもそも転用が難しかったりすることがあります。

また、農地転用だけクリアすれば何でも建てられるわけでもありません。
例えば住宅や店舗を建てる場合には、都市計画法、建築基準法、接道、用途地域など、別の法律の確認が必要になることもあります。

農地法だけOKでも、「建物は建てられません」ということはあり得ます。

土地関係の手続が難しいのは、このあたりです。

市街化区域では「許可」ではなく「届出」になる場合も

農地転用について調べていると、「許可が必要と聞いたけど、役所では届出と言われた」ということもあります。

農地転用の手続は土地の場所によって異なり、市街化区域内の農地については、一定の場合、許可ではなく届出による取扱いとなります。

ですから、「田んぼを駐車場にする=絶対に4条許可」と単純に覚えるのではなく、土地がどこにあるのかまで確認する必要があります。

農地を何かに使いたいと思ったら「工事前」に確認を

農地について一番避けたいのが、とりあえず工事してしまうことです。

例えば、「田んぼを使わないから、とりあえず砂利を敷いた」「資材を置く場所がないから、空いている畑に資材を置いた」「先に土地を買ってから農地転用を考えよう」といった進め方は注意が必要です。

農地転用は、計画を実行する前に必要な手続を確認するのが基本です。

ちなみに、期間限定で資材置場などとして使用し、後で農地に戻す場合であっても、いわゆる一時転用として手続が必要になることがあります。

「永久に駐車場にするわけではないから大丈夫」とも限りません。

農地法は「今の土地」と「これからの使い方」を整理すると分かりやすい

農地法というと難しい法律に見えますが、最初は次の3点を整理すると分かりやすくなります。

① 今、その土地は農地なのか
② これからも農地として使うのか、別の用途にするのか
③ 所有者や借りる人は変わるのか

これだけでも、大枠が見えてきます。

  • 農地のまま売買・貸借 → 3条
  • 自分で農地以外に変更 → 4条
  • 売買・貸借して農地以外に変更 → 5条

まとめ|田んぼは「もう使わないから自由に使える土地」ではありません

ということで、今回は 農地法の基本を簡単にご紹介しました。
今回のお話 いかがでしたでしょうか。

農地は普段何気なく見ている土地ですが、実は売ったり貸したり、別の用途に変えたりするときには農地法というルールがあります。

特に覚えておきたいのは、以下の3つ。

  • 農地のまま売る・貸す → 農地法3条
  • 自分で駐車場などにする → 農地法4条
  • 売ったり貸したりして駐車場などにする → 農地法5条

「もう田植えも大変だから、この田んぼどうしようかな」と思ったとき、農業をやめること自体は所有者の判断ですが、その後の土地利用まで自由に決められるとは限りません。

農地を売りたい。
駐車場にしたい。
家を建てたい。
資材置場として使いたい。

そんなときは、土地を売ったり工事を始めたりする前に、まず農業委員会や専門家へ確認することが大切です。

当事務所では、倉敷市を中心に、農地転用や土地利用に関するご相談を承っています。

特に、「何条の手続なのか自分では分からない」という段階でも問題ありません。
むしろ最初の段階で、「誰が・どの農地を・何のために使いたいのか」を整理するところからご相談いただいた方が、その後の手続を進めやすくなります。

農地転用の場合、土地によっては農業委員会だけでなく、市役所の都市計画担当部署などへの事前確認が重要になるケースもあります。

「土地を買ってから転用できないことが分かった」
「駐車場工事を始めてから手続が必要だと知った」
ということにならないよう、できれば売買契約や工事を行う前にご相談ください。

農地を、売りたい・貸したい・駐車場にしたい・家を建てたい・事業用地として活用したいとお考えの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。

行政書士やまもと事務所
🏠 岡山県倉敷市
🌐 https://tora-no-maki.com

LINE公式アカウントQRコード

📱 LINE公式アカウントでのご相談も受付中!

スマホのカメラでQRコードを読み取るか、以下のボタンからご登録ください。

LINEで相談する
Microsoft Teamsロゴ

💬 Microsoft Teamsでのご相談も受付中!

Teamsを使って、チャット形式でスムーズにやりとりできます。資料共有や打ち合わせ前の確認にも便利です。

Teamsで相談する
Zoomロゴ

🔵 Zoomでのオンライン面談を予約できます

空いている日時を選ぶだけで、Zoom面談のご予約が完了します。事前準備は不要、ご相談は無料です。当日は届いたURLをクリックするだけでご参加いただけます。

Zoom面談を予約する