こんにちは。行政書士の山本です。
今日は、日常生活でも意外と重要な「解約」と「解除」の違いについて、わかりやすく解説していきます。
契約書を作成する場面や、契約内容を見直すときに知っておくととても役立つ知識ですので、ぜひ最後までご覧ください。
「解約」とは?
解約とは、契約関係を将来に向かって終了させることをいいます。
それまでに発生している契約上の効果(支払い義務やサービス提供など)はそのまま残り、
今後は契約関係が続かない、という意味になります。
と言っても、「よく分からん」と思う方も多いですよね。
日常生活で起きる例を交えて以下にご紹介します。
日常生活の具体例
- スマホの契約をやめるとき
たとえば、携帯電話会社との契約を解約して他社に乗り換える場合がこれにあたります。
解約日までは利用でき、それ以降はサービスが停止します。 - フィットネスジムの退会
ジムを退会する際も、通常は「解約」となります。
申し出た月の末日まで利用でき、翌月以降はサービスが提供されなくなります。 - 賃貸マンションの退去
引越しのために賃貸借契約を解約すると、通常は通知後1か月後などに契約が終了します。
このように、解約は将来に向かって契約を終わらせる手続きであり、
過去にさかのぼって契約を無かったことにはなりません。
「解除」とは?
一方で、解除とは、契約を最初からなかったことにする(またはその効果を消滅させる)ことを意味します。
特に次の2種類が存在します。
- 法定解除:契約違反(債務不履行)があった場合に解除できるもの
- 約定解除:契約書で定めた条件が発生したときに解除できるもの
「法定解除やら約定解除って言われてもなんですかww」って方ほとんどですよね。
安心して下さい、私も半分分かっておりません(苦笑い)
ここも日常生活での具体例を交えて解除とはどういう時に使う言葉なのか解説します。
日常生活の具体例
- 通販で注文した商品が届かない場合
ネット通販で商品を注文したのに届かない場合、購入者は「契約を解除」して代金返還を請求できます。 - 中古車購入後に重大な故障が判明した場合
購入後すぐに車の重大な欠陥が発覚した場合、売買契約を解除して代金の返還を求めることができます。 - エステの高額契約に不当な勧誘があった場合
違法な勧誘によって契約したエステの長期契約も、消費者契約法に基づき解除できる場合があります。
このように、解除は契約をなかったことにする効果を持つため、解約とは大きく意味が異なります。
実務での注意点【日常生活の実例つき】
実務上、「解約」と「解除」を曖昧に使うと、大きなトラブルに発展することがあります。
契約書を作成したり、申込手続きをする際には、「解約」と「解除」の意味をよく理解しておくことが必要です。
日常生活の具体例
- スポーツジムの退会
「退会=すぐに利用できなくなる」と思っても、実際は翌月末まで利用料が発生することも。
解約は将来に向けた終了なので、すぐに支払い義務がなくなるわけではありません。 - 訪問販売での商品購入
訪問販売で購入した商品を返品したい場合、「解約」ではなく「クーリング・オフ(解除)」が必要です。
正しい手続きができないと、代金を取り戻せないリスクもあります。
(ちゃんとした手続きを取らないとクーリング・オフできませんよ) - 賃貸マンションの中途解約
中途解約の際に違約金が発生する条項があると、単なる解約では済まず、費用(違約金)が発生するケースもあります。
また、特定商取引法や消費者契約法では、
「契約後一定期間内であれば無条件に解除できる」ルール(クーリング・オフ)が設けられていることがありますので、
適用できるかどうかを事前によく確認することも大切です。
まとめ
「解約」と「解除」は似ているようで、法律上は大きく異なる概念です。
| 項目 | 解約 | 解除 |
|---|---|---|
| 効果 | 将来に向かって契約を終了 | 契約を遡ってなかったことにする |
| 主な場面 | サブスクの退会、賃貸の解約など | 債務不履行時の契約解除、クーリング・オフなど |
| 契約の有効性 | それまでの契約効果は有効 | 契約自体を無効にすることが多い |
契約を締結する際には、どちらの権利をどう定めるかによって、
万一のときに大きな違いが生まれます。
また、すでに紛争が発生している場合には、速やかに弁護士など専門家にご相談されることをおすすめします。
行政書士は契約書の作成・チェックなど、トラブルを防ぐ「予防法務」のサポートができますので、契約前に不安な点があればお気軽にご相談ください。


