みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
今回は 親友・親戚にお金を貸す際の借用書についてお話しします。
突然ですが、みなさんに質問です。
親友からこんな相談受けたことありませんか?
「ちょっとだけなんだけど、お金貸してくれない?」
相手が親友なら、「契約書に署名してください」と言うのは、少し気が引けるかもしれません。
親や兄弟姉妹、親戚が相手なら、なおさらです。

しかし、お金の貸し借りは、どれほど仲の良い関係でも、後になって認識の違いが生まれやすいものです。
「えっ!?もらったものだと思っていた」
「返す時期は決めていなかったね?」
「一部は返したはずだよ」
このような話になると、貸した側も借りた側も気まずくなります。
親しい関係だからこそ、将来お金のことで関係を悪くしないよう、最低限の記録を残しておくことが大切です。
今回は、正式な金銭消費貸借契約書ほど堅苦しくなく、それでも貸した事実と返済の約束を残せる方法をご紹介します。
結論|借用書と銀行振込記録をセットで残す
いきなり結論から言ってしまいますね。
親友や親族にお金を貸すとき、実務上使いやすい方法は、次の2つをセットにすることです。
- お金を借りる人に借用書を書いてもらう
- 現金ではなく銀行振込でお金を渡す
借用書とは、借りる人が「確かにこの金額を借り、決めた方法で返します」と記載する書面です。

契約書という名称ほど仰々しくありませんが、貸した金額や返済期限を後から確認できます。
さらに銀行振込を利用すれば、通帳や取引履歴に、いつ、誰に、いくら送金したのかが残ります。
つまり、借用書で約束の内容を残し、振込記録で実際にお金を渡した事実を残すということです。
この2つがそろえば、後から「貸した」「借りていない」という、できれば開催したくない話し合いを防ぎやすくなります。
口約束だけでは、なぜ困るのか
お金の貸し借りは、必ずしも書面がなければ成立しないわけではありません。
口約束であっても、返す約束をして実際にお金を渡せば、貸し借りが成立する場合があります。
ただし、問題になるのは、後からその内容を証明できるかどうかです。
例えば、友人に現金で10万円を渡したとします。
後日、相手から「お祝いとしてもらった」「返す約束はしていない」と言われた場合、貸した側は、貸付けであったことを説明しなければなりません。

現金には、残念ながら「私は貸付金です」という名札は付いていません。
仲が良い間は問題がなくても、転職、病気、結婚、離婚、相続など、生活の変化をきっかけに、お金の話が表に出ることがあります。
記録を残すことは、相手を疑うためではありません。
お互いの記憶違いを防ぐための確認メモと考えるとよいでしょう。
借用書に書いておきたい6つの項目
借用書に難しい法律用語を並べる必要はありません。
ただし、少なくとも次の内容は記載しておきましょう。
借りた人と貸した人の氏名・住所
誰が誰から借りたのかを明確にするため、借主と貸主の氏名、住所を記載します。
親子や兄弟姉妹の間でも、省略しない方が安心です。
借りた金額
借りた金額は、「金100,000円」のように明確に書きます。
大切なのは、誰が読んでも金額を特定できることです。
お金を借りた日
実際にお金を受け取った日、または銀行振込が行われた日を記載します。
借用書を作成した日と、お金を渡した日が異なる場合は、混同しないよう注意しましょう。
返済期限と返済方法
特に重要なのが、いつまでに、どのように返すかです。
例えば、次のように具体的に記載します。
- 令和○年○月○日までに一括で返済する
- 毎月末日に2万円ずつ返済する
- 貸主が指定する銀行口座へ振り込む
「余裕ができたら返す」「落ち着いたら返す」では、返済時期がはっきりしません。
相手を急かしたくない場合でも、いったん期限を決めておき、事情が変わったときに双方で見直す方が分かりやすいでしょう。
利息の有無
無利息で貸す場合は、「利息は付さない」と明記します。
親族間だから自動的に無利息になるわけではありません。
後の認識違いを防ぐため、書面ではっきりさせておきましょう。

そのまま使える借用書のひな形
親族や親しい友人に、無利息でお金を貸す場合のシンプルな例です。
借 用 書
私は、令和○年○月○日、○○ ○○様から、
金○○円を借り受けました。
上記借入金については、令和○年○月○日までに、
○○ ○○様が指定する銀行口座へ振り込む方法により
返済します。
なお、本件借入金には利息を付さないものとします。
令和○年○月○日
借主
住所 〒
氏名 印
貸主
住所 〒
氏名 印
借主本人に内容を確認してもらい、氏名や日付を自筆で記入してもらうと、本人が作成した書面であることを説明しやすくなります。
実印でなければ無効になるわけではありません。
まずは、本人が内容を理解し、自分の意思で署名することが重要です。
お金は現金手渡しより銀行振込がおすすめ
借用書を作っていても、実際にお金を渡した記録がなければ、後から説明が難しくなることがあります。
そのため、貸付金はできるだけ銀行振込で渡しましょう。
銀行振込であれば、振込日、金額、振込先、振込人名義が取引履歴に残ります。

貸した後は、次の資料をまとめて保管しておくことをおすすめします。
- 借用書の原本
- 振込明細や通帳の記録
- ネットバンキングの取引履歴
- 返済を受けた際の記録
- LINEやメールでのやり取り
LINEやメールも、貸し借りの経緯を確認する資料になることがあります。
ただし、機種変更やアカウントの削除で見られなくなる可能性もあります。
LINEだけにすべてを背負わせず、借用書と銀行振込記録を基本にし、メッセージは補足資料として残しましょう。
返済を受けた記録も残す
意外と見落とされるのが、返済を受けた後の記録です。
返済を現金で受け取ると、いつ、いくら返したのか分からなくなりやすいため、返済も銀行振込で行うのがおすすめです。
やむを得ず現金で返済を受ける場合は、貸主が受領書を渡しましょう。
受 領 書
私は、令和○年○月○日、○○ ○○様から、
借入金の返済として金○○円を受領しました。
返済後の借入金残額は、金○○円です。
令和○年○月○日
貸主
住所
氏名 印
返済のたびに残額を記載しておけば、双方が現在の返済状況を確認できます。
「たしか、あと3万円くらいだったと思う」という、少し不安な家計簿状態も防げます。
借用書だけでは足りないケース
次のような場合は、簡単な借用書だけで済ませず、詳しい金銭消費貸借契約書や公正証書の利用を検討した方がよいでしょう。
- 貸す金額が大きい
- 分割返済が長期間に及ぶ
- すでに返済が遅れている
- 相手の収入が不安定である
- 相手にほかの借入れが多い
- 担保や保証人を付けたい
- 相続人との間で問題になる可能性がある
- 返済されない場合の法的手続を見据えたい
親しい相手だから簡単に済ませたい、という気持ちは自然です。
しかし、金額が大きい場合ほど、最初から丁寧に書面を作ることが、結果として相手との関係を守ることにつながります。

借用書を書いてもらう上手な伝え方
「借用書を書いて」と言うと、相手を信用していないようで伝えにくいかもしれません。
そのようなときは、次のように説明すると自然です。
お互いに後で記憶違いにならないように、簡単な借用書だけ作っておこう。
返済の予定も整理しておいた方が、お互い安心だと思うから。
借用書は、貸した人だけを守るものではありません。
借りた人にとっても、借りた金額、返済期限、返済残額を確認できる書面になります。
つまり、借用書は信用していない証拠ではなく、お互いを守るための共通メモです。
まとめ|親しい相手だからこそ記録を残しましょう
ということで、今回は 正式な金銭消費貸借契約書ほど堅苦しくなく、それでも貸した事実と返済の約束を残せる方法をご紹介しました。
今回のお話 いかがでしたでしょうか。
親友、親戚、親子、兄弟姉妹。
近い関係だからこそ、お金の話は曖昧にしないことが大切です。
正式な契約書までは大げさだと感じる場合でも、少なくとも次の対応をしておきましょう。
- 借用書を作る
- お金は銀行振込で渡す
- 返済も銀行振込で行う
- 借用書や振込記録を保管する
- 金額が大きい場合は詳しい契約書を検討する
書面を作る目的は、相手を疑うことではありません。
お金のことで「言った・言わない」にならないようにし、大切な関係を守るためです。
当事務所では、親族間・知人間のお金の貸し借りについて、事情に応じた借用書や金銭消費貸借契約書の作成を承っています。
借用書の作り方や親族間のお金の貸し借りにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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