みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
今回は 併存的債務引受と免責的債務引受についてお話しします。
少々難しそうな言葉ですが、分かりやすく解説しますので、最後まで読んでください。
お金の貸し借りや返金の話し合いをしていると、本人ではない第三者から、「本人の代わりに私が払います」と言われることがあります。
たとえば、家族、元配偶者、親族、知人、会社関係者など。
本人に代わって支払いを申し出るケースです。
このようなとき、つい、「代わりに払ってくれるなら安心」と思ってしまうかもしれません。
しかし、ここで注意したいのが、元々支払うべき人を責任から外してよいのかという点です。

契約書の作り方によっては、元の相手にも引き続き請求できる形にすることもできますし、反対に、元の相手を責任から外してしまう形になることもあります。
今回は、第三者が「代わりに払う」と言ってきた場合に知っておきたい、併存的債務引受と免責的債務引受の違いについて、できるだけわかりやすく解説します。
「代わりに払います」には2つのパターンがある
「○○さんの代わりに私が払います」
本人ではない第三者が支払いに加わる契約には、主に次の2つがあります。
- 併存的債務引受
- 免責的債務引受
言葉だけ見ると少し難しく感じますが、考え方はとてもシンプル。
ポイントは、元の相手の責任を残すのか、外すのかという違いです。
次の章では、この併存的債務引受と免責的債務引受について、具体例を交えながら解説します。
併存的債務引受とは?
先ずは併存的債務引受とはどういうものなのか?解説します。
併存的債務引受とは、簡単にいうと、元々支払うべき人も責任を残したまま、別の人も一緒に支払う形です。
たとえば、AさんがBさんに100万円を返さなければならないとします。
そこへCさんが現れて、「Aさんの代わりに、私も支払います」と言った場合です。
このとき、契約書で併存的債務引受にしておくと、次のような形になります。
- Aさんは、これまでどおり支払う責任を負う
- Cさんも、Aさんと一緒に支払う責任を負う
- Bさんは、AさんにもCさんにも支払いを求めることができる
つまり、支払う人がAさんからCさんに交代するのではなく、Aさんに加えてCさんも支払う側に入るということです。
イメージとしては、支払う側が増える形です。

そのため、お金を返してもらう側から見ると、請求できる相手が増える分、比較的安心しやすい方法といえます。
併存的債務引受の具体例
例1:親が子どもの返済に加わる場合
子どもが知人からお金を借りていたものの、返済が滞っている。
そこで親が、「子どもだけでは返済が難しいので、私も一緒に支払います」と申し出た場合です。
このとき、子どもの責任を残したまま、親も一緒に支払う形にするのが併存的債務引受です。

お金を返してもらう側から見ると、子どもにも親にも請求できるため、回収できる可能性が高くなります。
例2:元配偶者が支払いに協力する場合
本人がお金の返済や返金をしなければならない状況で、元配偶者が、「本人の代わりに私が支払います」と申し出ることもあります。
この場合も、元の本人を責任から外してしまうのではなく、本人の責任を残したまま、元配偶者にも支払いに加わってもらう形にすることができます。
これが併存的債務引受です。

この形にしておけば、仮に元配偶者の支払いが止まった場合でも、元々支払うべき本人に請求する余地を残すことができます。
免責的債務引受とは?
次に、免責的債務引受について見ていきます。
免責的債務引受とは、簡単にいうと、元々支払うべき人を責任から外し、別の人だけが支払う形です。
先ほどと同じように、AさんがBさんに100万円を返さなければならない場面を考えてみます。
そこへCさんが現れて、「Aさんの代わりに、私が支払います」と言ったとします。
このとき、契約書で免責的債務引受にすると、次のような形になります。
- Aさんは、支払いの責任から外れる
- Cさんだけが、Bさんに支払う責任を負う
- Bさんは、原則としてAさんに支払いを求めることができなくなる
つまり、Aさんに加えてCさんも支払うのではなく、支払う人がAさんからCさんに交代するということです。
イメージとしては、支払う人が入れ替わる形です。

そのため、お金を返してもらう側から見ると、Cさんが本当に支払える人なのかを慎重に確認する必要があります。
免責的債務引受の具体例
例1:事業を引き継ぐ場合
個人事業主が事業を後継者に引き継ぐ場合、取引先への未払い金などを後継者が引き受けることがあります。
このとき、取引先が、「今後は後継者が支払うなら、元の事業主には請求しません」と合意する場合、免責的債務引受の形になります。
ただし、取引先から見ると、元の事業主を責任から外すことになります。
そのため、後継者に本当に支払う力があるのか、信用できるのかを慎重に確認する必要があります。

例2:関係整理のために支払う人を一本化する場合
人間関係や事業上の関係を整理するために、「今後はこの人だけが支払う」「元の人には今後請求しない」と決めることがあります。
このような場合も、免責的債務引受が問題になります。
ただし、お金を返してもらう側から見ると、請求できる相手が減ることになるため、安易に選ぶべきではありません。

2つの違いを表で整理すると
ここまで説明した併存的債務引受と免責的債務引受の違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | 併存的債務引受 | 免責的債務引受 |
|---|---|---|
| 元々支払うべき人 | 責任が残る | 責任から外れる |
| 新しく支払う人 | 一緒に支払う人として加わる | 元の人の代わりに支払う |
| 請求できる相手 | 元の人にも、新しく加わった人にも請求できる | 原則として新しく引き受けた人だけ |
| お金を返してもらう側の安心感 | 高い | 引き受けた人の支払能力次第 |
| 向いている場面 | 回収できる可能性を高めたい場合 | 支払う人を完全に交代させたい場合 |
| 注意点 | 誰がどこまで支払うのか明確にする | 元の人を外してよいか慎重に判断する |
この表からも分かるように、お金を返してもらう側から見ると、基本的には 併存的債務引受の方が安心しやすい形 です。
一方で、免責的債務引受 は、元々支払うべき人を責任から外すことになります。
そのため、お金を貸した相手から、「別の人が代わりに払うので、私はもう責任を外してほしい」と言われた場合は、すぐに応じるのではなく、慎重に考える必要があります。
特に、新しく支払う人の収入や資産、支払う意思がはっきりしない場合には、元の相手を責任から外してしまうと、後から回収が難しくなる可能性があります。
「代わりに払います」と言われたときの注意点
第三者から「代わりに払います」と言われたときは、次の点を確認しておくことが大切です。
1. 元の相手を責任から外してよいのか
一番大事なのはここです。
お金を返してもらう側からすると、元々支払うべき人を責任から外すメリットはあまりありません。
特に、以下の場合は、元の相手を責任から外さず、併存的債務引受の形にしておく方が安全です。
- 分割払いになる
- 支払いが長期になる
- 代わりに払う人の収入や資産が分からない
- 元の相手との間でトラブルがある
- 途中で支払いが止まる不安がある
2. 契約書に「元の相手の責任は残る」と書く
併存的債務引受にする場合は、契約書に次のような内容を入れておくことが大切です。
第三者が支払いに加わっても、元々支払うべき人の責任は免除されない。
この一文がないと、後になって、「代わりに払う人が出てきたのだから、自分はもう関係ないはずだ」と言われる可能性があります。
「誰が支払うのか」だけでなく、「誰の責任が残るのか」まで書いておくことが重要です。
3. 本人確認をしておく
第三者が支払いに加わる契約では、本人確認も大切です。
特に、遠方の相手や、直接会って署名できない場合には注意が必要です。
確認しておきたいのは、たとえば次のような情報です。
- 氏名
- 住所
- 生年月日
- 本人確認書類
電話番号やメールアドレスまで必ず契約書に書かなければならないわけではありません。
ただし、連絡先を書かない場合でも、住所や本人確認書類などで、本当にその人が契約したと言える状態にしておくことが大切です。
4. 支払いが遅れた場合のルールも決めておく
分割払いにする場合は、支払いが遅れたときのルールも決めておきましょう。
たとえば、以下のような内容を決めておかないと、後からまた話し合いが必要になってしまいます。
- 毎月いくら支払うのか
- いつまでに支払うのか
- 振込手数料は誰が負担するのか
- 何回遅れたら一括請求できるのか
- 支払いが難しい月は事前連絡を認めるのか
- 遅れた場合の遅延損害金をどうするのか

契約書を作るときに整理しておきたいこと
第三者が支払いに関わる契約書を作る場合は、口約束だけで済ませず、内容をきちんと整理しておくことが大切です。
特に、次の点は確認しておくと安心です。
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 何のお金か | 貸したお金、立て替えたお金、返金してもらうお金など |
| 金額 | 合計いくら支払ってもらうのか |
| 内訳 | いつ、いくら渡したのか |
| 元々支払うべき人 | 本来、誰が支払うべきなのか |
| 代わりに支払う人 | 誰が支払いに加わるのか |
| 元の相手を外すか | 元の相手の責任を残すのか、外すのか |
| 支払方法 | 振込にするのか、現金で支払うのか |
| 分割払い | 毎月いくら払うのか |
| 遅れた場合 | 一括請求、遅延損害金、法的手続などをどうするのか |
| 本人確認 | 住所、氏名、生年月日、本人確認書類など |
この中でも特に重要なのは、「元の相手の責任を残すのか、外すのか」という点です。
ここがあいまいなままだと、後になって、「もう別の人が払うことになったので、自分には責任がない」と言われる可能性があります。
そのため、第三者が支払いに加わる場合は、単に「払います」と書くだけではなく、誰が、誰に、いくらを、どのような立場で支払うのかを契約書の中で明確にしておくことが大切です。
まとめ:契約書・合意書の作成でお困りの方へ
ということで、今回は 第三者が「代わりに払う」と言ってきた場合に知っておきたい、併存的債務引受と免責的債務引受の違いについて解説しました。
今回のお話 いかがでしたでしょうか。
当事務所では、金銭の返済合意書、債務承認契約書、債務引受を含む契約書など、権利義務に関する書面作成をサポートしています。
「相手が返済すると言っているが、どのような書面にすればよいか分からない」
「第三者が代わりに支払うと言っているが、元の相手を外してよいのか不安」
「分割払いの約束をきちんと書面に残しておきたい」
このような場合は、状況を整理したうえで、内容に合った契約書・合意書を作成することが大切です。
倉敷市・岡山市周辺で契約書や合意書の作成をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
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