その遺言書、本当に伝わりますか?避けたい曖昧な表現5選

遺言

みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
今回は 遺言書で避けたい曖昧な表現についてお話しします。

この記事を読んでいる方の中には、これから遺言書を書こうと考えている方もいるかと思います。

「遺言書には、自分の希望を書いておけば大丈夫ですよね?」

そう考える方は少なくありません。
たしかに遺言書は、自分の財産を誰に引き継いでもらいたいのか、その意思を残すための大切な書類です。

ただし、自分では意味が分かっている文章でも、亡くなった後に読む家族や金融機関、法務局などに、同じ意味で伝わるとは限りません。

たとえば「自宅は長男に譲る」「残った財産は家族で仲良く分ける」といった表現です。
気持ちは伝わりますが、実際の相続手続では「どの財産なのか」「誰が受け取るのか」「どの割合で取得するのか」が分からず、手続が進まないことがあります。

今回は、遺言書を作成するときに避けたい曖昧な表現を5つ紹介します。

なお、ここで紹介する表現を使ったからといって、遺言書全体が直ちに無効になるわけではありません。
問題になるのは、遺言者が亡くなった後に「結局、本人は何を望んでいたのか」という解釈が必要になってしまうことです。

1.「自宅は長男に譲る」

よくありそうなのが、次のような表現です。

「私の自宅は、長男に譲る。」

日常会話なら十分通じるでしょう。
しかし、相続手続ではいくつもの疑問が生じます。

「自宅」とは土地と建物の両方なのか。
敷地が複数の土地に分かれている場合は、そのすべてを含むのか。
「長男」とは戸籍上の誰なのか。
そして「譲る」とは相続させるという意味なのか。

不動産を記載する場合は、登記事項証明書を確認し、所在や地番、家屋番号などを使って対象を特定する方法があります。

たとえば、「遺言者は、別紙財産目録1記載の土地及び建物を、長男・山田太郎(昭和○年○月○日生)に相続させる。」というように記載します。

大切なのは「家族なら分かるだろう」と考えるのではなく、第三者が読んでも財産と受取人を特定できる文章にすることです。

2.「預貯金は妻に任せる」

「私の預貯金は、妻に任せる。」

この表現も注意が必要です。

妻に預貯金そのものを取得してもらいたいのか、それとも相続人を代表して管理や分配をしてもらいたいのか、「任せる」だけでは分かりません。
妻に取得させたいのであれば、「相続させる」など、財産を取得することが分かる表現にします。

特定の口座であれば、「遺言者名義の○○銀行○○支店普通預金(口座番号○○○○○○○)を、妻・山田花子に相続させる。」といった形が考えられます。

一方で、口座は遺言書作成後に解約したり、金融機関の統廃合が行われたりすることもあります。
そのため、すべての預貯金を妻に相続させたいのか、特定の口座だけなのかも整理しておく必要があります。

また、財産を受け取る人と、遺言の内容を実行する人は別の役割です。
手続まで任せたい場合には、遺言執行者の指定を検討する方法もあります。

3.「残った財産は家族で仲良く分ける」

遺言を書く方の多くは、家族に争ってほしいとは思っていません。

その気持ちから、「ここに書いていない財産は、家族で仲良く分けること。」と書きたくなるかもしれません。

しかし、実際に分けるための基準がありません。

そもそも「家族」とは誰でしょうか。
配偶者と子どもだけなのか、孫や同居している親族まで含むのか。
「仲良く分ける」とは均等なのか、法定相続分なのかも分かりません。

遺言書に記載されていない財産があると、その部分について相続人全員で遺産分割協議が必要になることがあります。

そこで、「その他一切の財産」についても受取人や割合を決めておく方法があります。

たとえば、「前各条に記載した財産を除く一切の財産を、妻に2分の1、長男及び長女に各4分の1の割合で相続させる。」という形です。

家族への思いやりは「仲良く」という言葉だけでなく、迷わず手続できる具体的な分け方として残すことが大切です。

4.「世話をしてくれた人に多めに渡し、あとのことを任せる」

身近な方への感謝から、「世話をしてくれた人に財産を多めに渡し、あとのことを任せる。」と考えることもあるでしょう。

しかし、「世話をしてくれた人」とは誰なのか、「多め」とはいくらなのか、「あとのこと」とは葬儀なのか、納骨なのか、財産の整理なのかが分かりません。

特に相続人ではない友人や知人へ財産を残す場合は、氏名、生年月日、住所などで相手を特定し、「遺贈する」と記載する方法があります。

また、財産を渡す代わりに何らかの役割をお願いしたいのであれば、その内容も具体的に整理する必要があります。

ただし、遺言書に書けば相手が必ず引き受けてくれるとは限りません。
重要な役割をお願いしたい場合には、元気なうちに本人へ相談し、意思を確認しておくことも重要です。

5.「愛犬と飼育費を友人に託す」

ペットと暮らしている方は、さらに注意が必要です。

「私が亡くなったら、愛犬と飼育費を友人の○○さんに託す。」
飼い主さんの気持ちは伝わりますが、この一文だけでペットの将来を十分に守れるとは限りません。

ペット自身は相続人にはなれず、直接財産を受け取ることもできません。
そのため、実際にペットを引き取る人へ財産を渡し、その人に飼育をお願いする仕組みを考えます。
方法の一つとして、飼育などの負担をお願いする「負担付遺贈」があります。

ただし、遺贈を受ける人が放棄する可能性もあります。
遺言書に名前を書くだけでは十分ではありません。

ペット終活では、少なくとも「誰が引き取るか」「飼育費をいくら残すか」「食事や持病などの情報をどう伝えるか」「どの書面で形にするか」の4点を考えておきましょう。

遺言書に加え、飼育委託契約書や緊急時の合意書、ペット終活ノートなどを組み合わせて準備しておくと、入院や事故など、死亡以外の緊急時にも備えやすくなります。

曖昧な遺言書は、家族に「解読作業」を残す

遺言書の表現が曖昧だからといって、直ちにすべてが無効になるわけではありません。

場合によっては、遺言書全体の内容や作成当時の事情などを踏まえ、遺言者の真意が検討されることもあります。

しかし、それは裏を返せば、本人が亡くなった後に家族や関係者が「本人は何を言いたかったのだろう」と考えなければならないということです。
意見が一致しなければ、家庭裁判所での手続や訴訟につながる可能性もあります。

遺言書で大切なのは、「自分には分かる文章」にすることではありません。

自分がいなくなった後、第三者が読んでも対象となる財産、受け取る人、割合などが明確に分かる文章にすることです。

法務局で保管しても、内容まで保証されるわけではありません

自筆証書遺言には、法務局で遺言書を保管してもらう制度があります。
紛失や改ざんを防ぎやすくなり、相続開始後の家庭裁判所による検認も不要になる便利な制度です。

ただし、法務局が遺言の内容について法律相談に応じたり、その内容で希望どおりの相続が実現できることを保証したりする制度ではありません。

「形式を整えること」と「内容を明確に設計すること」は別の問題です。

財産や家族関係が複雑な方、相続人以外に財産を残したい方、ペットの将来まで準備したい方は、遺言書を書き始める前に一度内容を整理してみることをおすすめします。

行政書士やまもと事務所では遺言書・ペット終活をサポートしています

ということで、今回は 遺言書を作成するときに避けたい曖昧な表現を5つ紹介しました。
今回のお話 いかがでしたでしょうか。

当事務所では、倉敷市・岡山市周辺を中心に、遺言書作成をサポートしています。
オンライン相談は全国対応です。

相続人や財産の整理、自筆証書遺言の文案作成、公正証書遺言の原案作成、必要書類の収集支援、法務局の遺言書保管制度の利用支援など、「何を書けばいいのか分からない」という段階からご相談に乗っております。

遺言書もペット終活も、元気なうちだからこそ、家族や引受人と落ち着いて話し合いながら、さまざまな選択肢を検討できます。

「まだ何も決まっていないけれど、そろそろ考えておきたい」
そんな段階でも大丈夫です。

大切な家族やペットのために、まずは今の状況や希望を整理するところから、一緒に考えていきましょう。

行政書士やまもと事務所
🏠 岡山県倉敷市
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