みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
本日は 先日話題になった民法改正についてお話しします。
日々 相続や遺言に関するご相談をいただく中で、すでに遺言書を作成されている方も一定数いらっしゃいます。
しかし実感としては、「遺言を書いている人はまだ少数派」という印象。
遺言については、まだまだ一般的になっていないのでは?と思うのが率直な感想です。
中にはこういった理由で先送りされている方もいるのではないでしょうか。
「書いたほうがいいとは思っているけど面倒そう」
「何を書けばいいのか分からない」

そんな中で、今回の民法改正は非常に大きな転換点。
これまで自筆証書遺言は全文手書き+押印が必須でしたが、今後はパソコン・スマートフォンでの作成が可能。
そして押印も不要となる方向で見直しが進んでいます。
そうなんです、遺言が“特別なもの”から“現実的な選択肢”へ変わる可能性があるという意味で、今回の改正は画期的といえるでしょう。
今回はそんな民法改正によって変わる遺言書について解説します。
改正のポイント(押さえておきたい3つ)
今回の改正内容をシンプルに整理すると以下のとおりです。
① 手書きでなくてもOK
これまで自筆証書遺言は名前のとおり、自筆が必須要件でした。
そう、どんなに字を書くのが下手でも自分自身で書かないといけなかったのです。
そんな必須だった「全文自筆」が今回の改正で不要に。
スマホやパソコンでの作成が認められます。
② 押印が不要に
また自筆証書遺言では押印が必須要件でした。
しかし今回の民法改正で押印も不要になるようです。
ハンコレス化が進む中で、ついに遺言書もハンコレスになるようです。
③ 法務局の関与が必要
スマホやパソコンでの遺言書作成が認められると気になるのが、「本人がちゃんと書いた遺言書なのか?」という点。
スマホやパソコンで作成となると簡単になりすましが出来てしまいます。
その代わりとして、対面またはウェブ会議で本人が遺言内容を読み上げ、そして法務局職員が本人確認・意思確認という仕組みが導入されます。
手軽になる一方で、「本人確認の厳格さ」は維持されるという点は押さえておきたいポイントです。

実際にあった事例から見えるリスク
スマホやパソコンで手軽に遺言書が作成出来るというのは便利な反面、リスクもはらんでます。
少し前ですが、こんなお話しがありました。
ある方から相続の相談を受けた際、「父が遺言書を残していたんです」と言われ、内容を確認させていただきました。
それは自筆証書遺言だったんですが、そこには、「すべての財産をA(相談者)に相続させる」「遺留分も含めてAに相続させる」という記載がありました。
実はこの遺言書、「このままではトラブルになる可能性が高い」です。

なぜ問題になるのか(遺留分の落とし穴)
遺言書があるんだから、そのとおり相続手続き進めていけばいいんじゃないの?
そうじゃないんです。
ここで重要になるのが「遺留分」です。
遺留分とは、他の相続人に最低限保障される取り分のこと。
つまり、遺言で「全部Aに」と書くことは可能なんですが、他の相続人は遺留分を請求できるという関係になります。
にもかかわらず、「遺留分も含めてAに」と書いてしまうと現実の法律関係とズレが生じ、結果として、相続人同士の対立や遺留分侵害額請求といったトラブルに発展する可能性があります。
自分で遺言を作ることの欠点
今回の改正で遺言は作りやすくなりますが、先ほど紹介した遺留分を侵害した遺言書など、注意すべき点もあります。
遺言書をご自身で作成する際には、特に以下の3点は要注意です。
① 法律的に実現できない内容を書いてしまう
例えば、「すべての財産を長男に相続させる」「他の相続人には一切渡さない」といった内容は一見シンプルですが、他の相続人には遺留分請求の権利があります。
そのため実際には、他の相続人から「遺留分侵害額請求」がされるや、結果的に遺言どおりに分けられないという事態になります。
つまり、“書いた内容がそのまま実現しない遺言”になる可能性があるということです。
② 書き方によって意味が変わる
遺言は書き方ひとつで意味が変わります。
例えば、「自宅を長男に任せる」「預金は適当に分けてほしい」といった表現は日常的には通じますが、法律的には非常に曖昧です。
その結果、「任せる=相続させるのか?管理だけなのか?」や、「適当にとはどういう割合か?」といった解釈の違いが生じ、相続人同士で認識が食い違います。
遺言があるのに揉めるという典型パターンです。
③ 結果的にトラブルを招く
上記①②のような問題があると、こういった流れになることも少なくありません。
- 相続人同士の話し合いがまとまらない
- 感情的な対立が生まれる
- 最終的に調停や訴訟に発展する
本来、遺言は「残された家族が揉めないためのもの」ですが、内容によっては逆に「争いのきっかけ」になってしまうこともあります。

「作れる」と「機能する」は別物
今回の改正によって、 遺言は“作りやすく”なります。
しかし、「正しく機能する遺言が作れるか」は別問題。
むしろ、不完全な遺言が増えるリスクも考えられます。
遺言で本当に重要なのは、内容が法律的に問題ないか、また実際に実行できるか、そして相続トラブルを防げるかです。
つまり、形式ではなく「中身の設計」がすべてといっても過言ではありません。
ぜひこの点注意して遺言書作成してみて下さい。
さいごに
ということで、今回は 民法改正によって変わる遺言書について解説しました。
今回のお話 いかがでしたでしょうか。
当事務所では、倉敷市を中心に遺言書の作成のサポートを行っております。
- 自分で遺言を書こうと考えている
- すでに作成しているが内容に不安がある
- 家族関係を踏まえてきちんと整理したい
このような場合は、お気軽にご相談ください。

遺言は、将来のトラブルを防ぐための大切な準備です。
その内容がしっかり機能するよう、実務の視点からサポートいたします。
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