【岡山県】令和8年度デジタル化補助金の採択率は36.2%|採択145社の業種を独自分析

補助金

みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
今回は 岡山県デジタル化による生産性向上等支援補助金の採択事業者の業種から見える特徴をお話します。

先日 令和8年度「岡山県デジタル化による生産性向上等支援補助金」の審査結果が公表されました。

公表された内容によると、申請件数は401件、そのうち採択されたのは145件です。

  • 申請数:401件
  • 採択数:145件
  • 不採択数:256件
  • 採択率:約36.2%
  • 競争倍率:約2.77倍

つまり、おおむね「3件に1件強」が採択された計算になります。
いやぁ 3件に1件強ですか。。。

「デジタル化の補助金だから、システムを入れれば比較的通りやすいのでは?」と思われるかもしれませんが、採択率36.2%という数字を見る限り、なかなかの狭き門です。

パソコンに「DX」と書いたシールを貼っただけでは、もちろん採択されません。

では、実際にはどのような事業者が採択されたのでしょうか。

今回は、令和8年度の岡山県デジタル化補助金で採択された145事業者について、当事務所が主な業種を独自に調査・分類しました。
採択事業者の業種から見える特徴とともに、今後、同様のデジタル化補助金へ申請するときに押さえておきたいポイントについても解説します。

※採択事業者一覧には事業者名のみが掲載されています。
そのため、業種については各社の公式サイトや公開されている企業情報などをもとに、当事務所が独自に分類しています。

令和8年度「岡山県デジタル化による生産性向上等支援補助金」とは

岡山県デジタル化による生産性向上等支援補助金は、岡山県内の事業者が取り組むデジタル化への投資を支援する制度です。

この補助金で重要なのは、単に新しいパソコンや設備を購入することではありません。
デジタル技術を活用することで、以下のような成果を目指すことが制度の大きな目的です。

  • 業務時間を短縮する
  • 生産性を向上させる
  • 新しい販路を開拓する
  • 売上や付加価値を増やす
  • 企業の「稼ぐ力」を高める
  • 将来的な賃上げ原資につなげる

補助対象となる主な経費

この補助金では、次のような経費が補助対象となってました。

  • システム等導入費
  • システム等利用料
  • 販促デジタル化推進費
  • 設備等購入・設置費
  • セキュリティ対策費
  • 技術指導費

そして補助上限額は200万円。
補助率は中小企業は2分の1以内、小規模事業者は3分の2以内とされていました。

制度の詳しい要件については、以下記事をご確認ください。

岡山県デジタル化補助金の採択率は約36.2%

冒頭でもお伝えした通り、今回 401件の申請に対して145件が採択されました。
採択されたみなさま おめでとうございます!

今回の補助金ですが、採択率を計算すると、145件 ÷ 401件 × 100 = 約36.2%となります。
競争倍率で見ると約2.77倍。

言い換えれば、不採択となった申請は256件あり、全体の約63.8%を占めます。

この数字からも、単に「デジタル化に取り組みます」と書けば採択される補助金ではなかったことがうかがえます。

では、実際に採択された145事業者には、どのような業種が多かったのでしょうか。

採択された145事業者を業種別に独自分類

採択事業者について、公式サイトなどから主な事業内容を確認し、当事務所が独自に業種別に分類した結果は次のとおりです。

順位推定業種採択数割合
1製造業37社25.5%
2建設・設備工事31社21.4%
3卸売・小売業24社16.6%
4飲食・食品製造16社11.0%
5専門・IT・事業サービス14社9.7%
6自動車・運輸業9社6.2%
7生活関連・その他サービス5社3.4%
8農林水産業4社2.8%
9医療・福祉3社2.1%
10観光・レジャー2社1.4%
合計145社100.0%

※飲食店と菓子・酒類などの食品製造業は「飲食・食品製造」としてまとめています。
※複数の事業を行っている事業者については、公開情報から確認できる主な事業をもとに分類しています。
※上記は当事務所による独自集計であり、岡山県等が公表している公式な業種区分ではありません。

製造業と建設・設備工事で46.9%

最も多かったのは製造業で、37社、全体の25.5%でした。
そして次いで建設・設備工事が31社、全体の21.4%です。

この2業種を合わせると、68社、全体の46.9%となります。

どの補助金でも上位を占める製造業と建設業ですが、この補助金でもやっぱりという結果になりましたね。

製造業や建設業では、以下のような業務をデジタル化によって改善につなげやすい場面が数多くあります。

  • 生産管理
  • 工程管理
  • 在庫管理
  • 見積・受発注管理
  • 現場管理
  • 図面や施工情報の共有

そのため、採択事業者の中で大きな割合を占めたこと自体は、それほど不思議ではありませんね。

それでも「半数未満」だったのは興味深い結果

一方で、設備投資を中心とした補助金では、製造業や建設業の割合が非常に高くなることがあります。
その点、今回の岡山県デジタル化補助金では、製造業と建設・設備工事を合わせても46.9%。

半数に届いていません。

裏を返せば、採択された事業者の53.1%は製造業・建設業以外ということになります。

小売業、飲食業、専門職、サービス業、自動車関連、農業など、さまざまな業種が採択されている点は注目したいところです。

なぜ幅広い業種が採択されたのか

理由の一つとして考えられるのが、この補助金が「製造設備を導入するためだけの補助金」ではなかったことです。

デジタル化の対象は、工場の生産工程だけではありません。
たとえば、以下のようなさまざまな業務がデジタル化の対象になります。

  • 受発注
  • 在庫管理
  • 顧客管理
  • 予約管理
  • 案件管理
  • 勤怠管理
  • ECサイト
  • Webサイト
  • 販売管理

業種ごとに考えられるデジタル化の例

業種現在の課題の例デジタル化の例
小売業手書きの受注・在庫確認POS・在庫管理・EC連携
飲食業電話予約・紙の注文票Web予約・注文管理システム
士業・専門職紙・Excelによる案件管理顧客・案件・進捗管理システム
自動車整備業紙の整備記録・見積書整備・顧客管理システム
農業紙の作業記録・販売管理生産記録・販売管理・EC
サービス業電話受付・手書き台帳予約・顧客・勤怠管理

「うちには工場がないから、デジタル化補助金は関係ない」というわけではありません。

むしろ、「その作業、どうして同じ内容を紙とExcelに2回入力しているんですか?」という業務が残っている会社ほど、デジタル化による改善の余地があるともいえます。

紙・電話・Excelにもデジタル化の余地がある

中小企業の現場では、現在でも次のような業務が珍しくありません。

  • 紙の注文書を見ながらパソコンへ入力する
  • 電話で予約を受け、紙の予約表へ記入する
  • 同じ数字を複数のExcelファイルへ入力する
  • 顧客情報を担当者ごとに管理している
  • 担当者しか案件の進捗を把握していない
  • 手書きの作業日報を後から集計する

一つひとつを見ると、「まあ、昔からこうしているし」と済ませてしまいがちな作業です。

しかし、5分の作業でも1日に20回行えば100分です。
それが毎日続けば、年間ではかなりの時間になります。

デジタル化による生産性向上を考えるときには、このような「小さな手間の積み重ね」を見つけることが重要です。

製造業以外でも生産性向上の効果は数値化できる

補助金の事業計画書では、「新しいシステムを導入したいです」という説明だけでは十分とはいえません。

重要なのは、システム導入によって何が変わり、どの程度の効果が生まれるのかを具体的に説明することです。

製造業であれば、以下などを使って効果を説明しやすいでしょう。

  • 加工時間
  • 生産数量
  • 不良率
  • 稼働率

しかし、数値化できるのは製造業だけではありません。

デジタル化の効果を示すために使える数字

たとえば、次のような数字があります。

  • 月間の入力作業時間
  • 1件当たりの処理時間
  • 転記作業の回数
  • 入力ミスの件数
  • 確認作業の時間
  • 予約受付にかかる時間
  • 顧客への回答時間
  • 1人当たりの対応件数
  • ECサイト経由の売上
  • Webサイトからの問い合わせ件数
  • リピート顧客数
  • 営業担当者が顧客対応に使える時間

たとえば、紙の注文書を見ながら販売管理システムへ手入力している会社であれば、受発注システムの導入によって入力作業や確認作業を削減できる可能性があります。

電話で予約を受けている店舗であれば、Web予約システムを導入することで、電話対応の時間を減らせるだけでなく、営業時間外の予約も受け付けられるようになります。

このように、「導入前」と「導入後」を数字で比較できる事業計画は、業種にかかわらず作ることができます。

「設備を買いたい」だけでは補助金の目的と合わない

今回の採択事業者で製造業・建設業の割合が半数未満だった理由として、単なる設備更新だけでは補助金の目的と合いにくかった可能性も考えられます。

たとえば製造業であっても、以下の理由だけでは、「デジタル化による生産性向上」を十分に説明できるとは限りません。

  • 古くなった機械を新しくしたい
  • 性能の良い設備に買い替えたい
  • 建設機械を購入したい
  • 車両を入れ替えたい

補助金申請では、「何を買うか」よりも、「なぜ必要なのか」「導入すると何が変わるのか」を説明することが重要です。

導入するシステムや設備によって、具体的にどうなるのかまで整理しておく必要があります。

  • どの業務課題を解決するのか
  • 何時間の作業を削減できるのか
  • 処理件数がどの程度増えるのか
  • 売上や付加価値へどうつながるのか

高性能な設備のカタログを眺めていると夢は広がりますが、事業計画書で必要なのは夢だけではなく数字です。

採択率36.2%から考える次回の補助金申請4つのポイント

採択率36.2%という結果を見ると、今後同様の補助金が実施された場合にも、しっかりと事業計画を作り込む必要があるでしょう。

特に、次の4点は事前に整理しておきたいところです。

1.現在の業務を具体的に分解する

最初に行いたいのは、現在の業務を整理することです。

「人手不足で大変です」「事務作業に時間がかかっています」という説明だけでは、課題が具体的に伝わりません。

たとえば、「営業担当者が紙の注文書を事務所へ持ち帰り、事務担当者が販売管理システムへ入力している」というところまで業務を分解すると、どこに無駄や課題があるのか見えやすくなります。

誰が、何を、どのような手順で行っているのかを整理してみましょう。

2.現在の作業時間や件数を把握する

デジタル化による効果を示すためには、現在の数字が必要です。

たとえば、以下のような数字を把握できていれば、システム導入後の削減効果を計算できます。

  • 1件の入力に10分
  • 月間300件を処理
  • 毎月50時間を入力作業に使用

現在の数字が分からなければ、「どのくらい改善するのか」も説明できません。

補助金の公募が始まってから慌てて計測するより、普段から作業時間や件数を確認しておくことをおすすめします。

3.導入するシステムと業務課題を結び付ける

高機能なシステムだから採択される、というわけではありません。

大切なのは、自社の課題に必要な機能が含まれていることです。

たとえば、「受注情報を自動的に販売管理システムへ連携することで、手入力作業を削減する」というように、課題 → システムの機能 → 改善効果をつなげて説明します。

「AI搭載」「クラウド対応」「最新DX」といった言葉を並べるよりも、自社の業務とどう結び付くのかを説明する方が重要です。

4.削減した時間を何に使うのかまで考える

作業時間が減ることは重要ですが、それだけで企業の「稼ぐ力」が高まるとは限りません。

そこで考えたいのが、「削減できた時間を何に振り向けるのか」という点です。

たとえば、以下のようなことが考えられます。

  • 営業活動を増やす
  • 顧客への提案時間を増やす
  • 新商品の開発に取り組む
  • 製造量を増やす
  • 新規顧客を開拓する
  • 顧客フォローを充実させる

「年間300時間削減できます」で終わるのではなく、「その300時間を営業活動へ振り向け、売上増加につなげる」というところまで説明できれば、デジタル化と企業成長の関係が分かりやすくなります。

岡山県のデジタル化補助金は「業種」より「何が変わるか」が重要

令和8年度の採択事業者を見ると、製造業や建設業だけではなく、小売業、飲食業、専門職、サービス業、農業など、幅広い業種が含まれていました。

このことからも、デジタル化による生産性向上は、一部の業種だけのテーマではないことが分かります。

紙の伝票。
電話予約。
手書きの台帳。
Excelへの二重入力。
担当者の頭の中だけにある顧客情報。
こうした業務が残っているのであれば、そこにデジタル化の余地があるかもしれません。

重要なのは、流行しているシステムを導入することではありません。

まず現在の仕事の流れを確認し、「どこに時間がかかっているのか」「どこで二度手間が発生しているのか」「どの業務をデジタル化すれば効果が大きいのか」を考えることです。

システム選びは、その後です。

まとめ|次回の岡山県デジタル化補助金に向けて早めの準備を

ということで、今回は 令和8年度の岡山県デジタル化補助金の採択事業者の業種から見える特徴とデジタル化補助金へ申請するときに押さえておきたいポイントについて解説しました。
今回のお話 いかがでしたでしょうか。

令和8年度「岡山県デジタル化による生産性向上等支援補助金」は、401件の申請に対して145件が採択され、採択率は約36.2%となりました。

採択された145事業者を当事務所が独自に分類したところ、製造業と建設・設備工事が合計46.9%を占めた一方、小売業、飲食業、専門職、サービス業、自動車関連、農業なども幅広く採択されていました。

今後、同様の岡山県デジタル化補助金へ申請する場合には、以下のような準備が重要になります。

  • 現在の業務課題を整理する
  • 作業時間や処理件数を数字で把握する
  • 導入するシステムと課題を結び付ける
  • 生産性向上の効果を数値で示す
  • 削減した時間を売上・付加価値向上へどうつなげるか考える

補助金の公募が始まってから「さて、何をデジタル化しましょうか」と考え始めると、どうしても事業計画書の作成が慌ただしくなります。

導入したいシステムがある場合は、公募前から現在の業務や作業時間を整理しておくと、申請準備を進めやすくなります。

当事務所では、岡山県内の事業者様を対象に、補助金の対象となりそうな設備・システムの整理から、現在の業務課題の洗い出し、事業計画書の作成までサポートしています。

「導入したいシステムは決まっているけれど、補助金の事業計画書にどう落とし込めばよいか分からない」
「自社の取り組みがデジタル化補助金の対象になりそうか相談したい」

という場合も、お気軽にご相談くださいね。

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