みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
今回は 令和8年度農業支援サービストライアル事業をご紹介します。
農業の現場では、担い手不足や農業者の高齢化が大きな課題となっています。
特に、真夏の農薬散布や広い農地への肥料散布は、体力的な負担が大きい作業です。
「できれば誰かにお願いしたい。でも費用が気になる……」
という方も多いのではないでしょうか。
そこで活用を検討したいのが、岡山県の令和8年度農業支援サービストライアル事業です。
この制度は、農業用ドローンを使った防除や施肥などの作業を初めて外部へ委託する場合に、作業料金の一部を補助するものです。
農家が高額なドローンを購入しなくても、必要な作業だけ専門事業者へ依頼できるため、スマート農業を試す第一歩として利用できます。
ドローンは空を飛びますが、導入のハードルまで高く飛ばす必要はありません。

今回は、この岡山県の農業用ドローン補助金について、対象者、補助金額、申請時の注意点を分かりやすく解説します。
農業支援サービストライアル事業とは
今回ご紹介する農業支援サービストライアル事業は、ドローンによる農作業を提供する「農業支援サービス事業体」に対して、作業料金の一部を岡山県が助成する制度。
この事業の対象として想定されているのは、次のような作業になります。
- 農業用ドローンによる農薬散布
- ドローンを使った肥料・追肥の散布
- 果樹への資材の塗布
- 水稲の斑点米カメムシ防除
- 麦の赤かび病防除
- 施設園芸における遮熱資材の散布
ポイントとしては、農業者が機体を購入したり、操作技術を一から身につけたりするのではありません。
専門事業者へ作業を委託することで、スマート農業を利用しやすくすることが目的です。

補助金を申請するのは農家ではなくドローン事業者
この補助金で最も間違えやすいのが、申請者です。
補助金を申請し、県から補助金を受け取るのは、作業を依頼する農家ではありません。
申請できるのは、農業用ドローンによる作業を請け負う農業支援サービス事業体です。
具体的には、民間のドローン事業者、JA、農作業受託を行う法人、他の農業者からドローン作業を請け負う生産者などが想定されています。
なお、この補助金を申請する事業者には、事業所または営農地が岡山県内にあること、作業の安全性を確保できること、今後も継続して農業支援サービスを提供する見込みがあることなどが求められます。
一方、サービスを利用する農業者側は、原則として補助金申請の事務負担はありません。
農家にとっては利用しやすく、ドローン事業者にとっては新規顧客を開拓するきっかけになる制度です。

対象となる農業者と作物
では、この補助金は、農業用ドローンを使う作業であれば何でも対象になるのでしょうか。
答えは、残念ながら「何でもOK」ではありません。
この制度では、対象となる作物と、サービスを利用できる農業者があらかじめ定められています。
対象者の要件は、作物の種類によって異なるため注意が必要です。
水稲・麦・大豆・野菜・花き
水稲、麦、大豆、野菜、花きでは、次のような一定のまとまりがある農業者の集団が対象です。
- 集落営農組織
- 集落協定を締結している組織
- 地図上でまとまりを確認できる集落や農業者の集団
個々の農家へバラバラに作業を提供するというより、集落や地域単位でドローン防除・施肥を行うケースが想定されています。
果樹
果樹については、認定農業者または認定新規就農者が対象です。
果樹園で行う農薬散布、肥料散布、資材塗布などのドローン作業が対象になります。

補助金額と上限額
この補助金で一番気になるのは、やはり「いくら補助されるのか」という点ではないでしょうか。
まず、補助金の上限額は、1つの農業支援サービス事業体につき年間30万円です。
ただし、作業料金の半分が必ず補助されるわけではありません。
補助額は、次の2つの金額を比べて、いずれか低い方で決まります。
水稲・麦・大豆・野菜・花きの場合
次のうち、低い方の金額が補助されます。
- 10アール当たり800円
- 税抜き作業料金の2分の1以内
たとえば、水稲のドローン防除を1ヘクタール行う場合で考えてみましょう。
1ヘクタールは100アールなので、10アールが10区画分あります。
そのため、面積を基準にした補助額は、800円 × 10区画 = 8,000円となります。
次に、税抜き作業料金の半額と比べます。
仮に税抜き作業料金が2万円だった場合、その半額は1万円です。
- 面積基準:8,000円
- 作業料金の半額:1万円
この場合は、低い方の8,000円が補助額になります。
一方、税抜き作業料金が1万2,000円だった場合、その半額は6,000円です。
- 面積基準:8,000円
- 作業料金の半額:6,000円
この場合は、低い方の6,000円が補助額になります。
つまり、「10アール当たり800円」まで補助される制度ではありますが、作業料金の半額を超えて補助されることはありません。
果樹の場合
果樹についても、考え方は同じです。
次のうち、低い方の金額が補助されます。
- 10アール当たり3,000円
- 税抜き作業料金の2分の1以内
たとえば、果樹園20アールでドローン作業を行う場合、面積基準の補助額は、3,000円 × 2区画 = 6,000円となります。
税抜き作業料金が1万5,000円であれば、その半額は7,500円です。
- 面積基準:6,000円
- 作業料金の半額:7,500円
この場合は、低い方の6,000円が補助額になります。
補助額は「低い方」で決まる
少しややこしく見えますが、計算のポイントはシンプルです。
「面積から計算した金額」と「税抜き作業料金の半額」を比べて、低い方を採用します。
補助金の計算は、つい高い方を選びたくなりますが、残念ながら補助金の世界では控えめな方が採用されます。
また、1件ごとの補助額を合計して、1つの農業支援サービス事業体につき年間30万円が上限です。
複数の農業者や組織へドローン作業を提供する場合でも、年間の補助金総額が30万円を超えることはありません。

対象は「初めて外部委託するドローン作業」
この制度では、サービスを利用する農業者が、同じ作物について同じドローン作業を過去に外部委託していないことが必要です。
例えば、過去に水稲のドローン防除を委託した農業者が、もう一度同じ作業を依頼しても、原則として補助対象にはなりません。
ただし、同じ農業者でも対象作物や作業内容が異なれば、対象になる可能性があります。
申請時には、契約予定の農業者から初回利用確認書を取得しておくことが重要です。
薬剤費や交通費は補助対象外
補助対象となるのは、原則としてドローンによる作業料金です。
ですので、農薬代、肥料・資材費、交通費、再委託の手数料などは補助対象になりません。
また、国・県・市町村の類似する補助事業と重複する経費や、金額の根拠・作業実績を確認できない経費も対象外です。
見積書や請求書を作成するときは、「ドローン作業料金」「薬剤費」「交通費」などを明確に分けましょう。
全部まとめて「一式」と書いてしまうと、審査する側も頭の中が一式になってしまいます。

契約・作業の前に申請が必要
補助金を利用する場合は、原則として県の交付決定を受けた後に契約や作業へ着手します。
作業が終わってから「そういえば補助金があった」と申請しても、さかのぼって対象にすることはできません。
やむを得ず交付決定前に着手する場合も、事業計画の承認後、事前に交付決定前着手届を提出する必要があります。
そのため、次の事項を早めに整理しておきましょう。
- 作業を提供する農業者・組織
- 作業場所と対象作物
- 作業内容と面積
- 10アール当たりの基本料金
- 契約予定金額
- 作業完了予定日
- 初回利用確認書の有無
ちなみに令和8年度の第2次募集期間は、令和8年8月5日から8月21日までです。
ただし、応募額が予算額に達した場合は、期間内でも募集が締め切られます。
早く動いた者勝ちですね。
補助金申請とドローン許可をまとめてサポートします
当事務所では、岡山県内のドローン事業者・農業支援サービス事業者を対象に、補助金申請書類の作成や事業計画の整理をサポートしています。
対象農業者の確認、補助対象経費の仕分け、事業計画書や提供先一覧表の作成など、慣れない方には分かりにくい手続きを一緒に整理します。
また、農業用ドローンによる空中散布では、飛行する場所や方法によって航空法上の飛行許可・承認手続きが必要になる場合があります。
国土交通省への申請は原則としてDIPS2.0で行われるため、当事務所ではドローン飛行許可・承認申請についてもサポートしています。
補助金の準備はできたのに、ドローンを飛ばすための手続きが間に合わない――という事態は避けたいところです。
補助金申請とドローン許可の両方を、作業予定日から逆算して進めましょう。
まとめ|農業用ドローン補助金は早めの準備が重要です
ということで、今回は 農業支援サービストライアル事業を解説しました。
今回のお話いかがでしたでしょうか。
岡山県の農業支援サービストライアル事業は、農業者が高額なドローンを購入せず、専門事業者による防除・施肥サービスを試せる制度です。
申請者は農家ではなく、作業を請け負う農業支援サービス事業体です。
補助上限は1事業者当たり年間30万円で、初めて外部委託するドローン作業であることや、作業前に申請することなどの条件があります。
補助金を新規顧客の開拓に活用したいドローン事業者の方、申請書類の作成に不安がある方、農薬散布に必要なドローン許可を確認したい方は、当事務所へご相談ください。
募集期限の直前は、書類も気持ちもバタバタしがちです。
ドローンは素早く飛んでくれますが、申請書は自動では飛んでいきません。
余裕をもって準備を始めましょう。
行政書士やまもと事務所
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