補助金といえば「小規模事業者持続化補助金」や「IT導入補助金」といった、比較的身近な制度を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
ところが世の中には、思わず「へぇ、こんな補助金もあるんだ」と驚かされるものが存在します。
その一つが「スマート水産業普及推進事業」。
漁業や養殖業といった水産業の現場に、ICTやAIを活用した“スマート機械”を導入するための補助金です。
「水産業にもDX?」と思われる方もいるかもしれませんが、まさに国を挙げて進められている取り組みなんです。
スマート水産業普及推進事業とは?
◼️ 令和7年度スマート水産業推進事業の助成金交付申請の公募について
https://www.mf21.or.jp/250821_R7_smart_d
制度の概要
この補助金は、漁業者や水産業支援サービスを提供する事業者を対象に、生産性を高めるためのスマート機械の導入や活用を後押しする制度です。
農業分野で「スマート農業」が注目されているのと同じように、水産業でもデジタル技術を活用する動きが広がっています。

公募スケジュール
- 募集期間:令和7年8月22日(金)~9月26日(金)午前12時必着
- 実績報告の期限:令和8年3月6日(金)
比較的短期間の公募なので、応募には早めの準備が求められます。
補助のタイプと金額
水産業支援サービス提供タイプ
- 対象:漁業者にサービスを提供する企業や団体
- 補助率・上限額:1/3~最大2/3、上限は1,500万円
導入利用タイプ
- 対象:漁業者や漁協等
- 補助率・上限額:1/3~最大2/3、上限は500万円
教育機関(水産高校等)と連携すると補助率が上がる点が特徴的です。
補助対象となるスマート機械例
- ICTブイやセンサーで海水温や潮流を測定
- 水中ドローンで網の点検や死魚の回収を遠隔操作
- AI制御の自動給餌ロボット
- 電子操業日誌で漁場環境と漁獲量をクラウド管理
- 魚体サイズ測定カメラで魚の成長をAI解析

もう随分まですが以前、漁師をしている親戚に漁業用の機材ってどれも高額だと聞いたことがあります。
補助額が大きいのはそういった事情を踏まえているんでしょうかね。
この補助金のキーパーソン「伴走者」
伴走者とは?
伴走者とは、県の普及員や水産試験場の研究員、大学の専門家、漁連の職員などが担う役割で、漁業者と事業実施機関の間に立ち、スマート機械の導入から活用、効果検証までを支援する専門人材です。
伴走者の役割
- スマート化の事例紹介
- 漁業者からの希望があれば視察を調整
- 導入・利用のサポート
- 機器導入後の効果測定・評価
いわば「現場の伴走コーチ」であり、この制度を活用するための重要な存在となります。
岡山県には伴走者がいない
当事務所のある岡山県は残念ながら、令和7年3月末時点のリストを見ると、伴走者が認定されていません。
そのため、現状では岡山県の漁業者がこの補助金をすぐに利用することは難しい状況です。
ただし募集要領には「伴走者リストは随時更新」と記載されており、今後追加認定される可能性はあるかもしれませんね。
注意点
- 単なる機械の買い替えは対象外(趣旨に合わないため)
- 新品であること、法定耐用年数以上使用できることが条件
- 助成金の交付決定前に発注した経費は対象外
行政書士としての視点
今回ご紹介した「スマート水産業普及推進事業」は、正確には“補助金”ではなく 助成金 という位置づけです。
助成金は、条件を満たせば原則受け取れるのに対し、補助金は申請しても必ず採択されるわけではなく、審査で落ちることもあるという違いがあります。
だからこそ、このスマート水産業のように「助成金」と位置づけられている制度は、条件に当てはまれば比較的利用しやすいのが特徴です。
なお、補助金と助成金の違いについて過去にブログ記事で解説していますので、気になる方は以下をチェックしてみて下さい。
まとめ
補助金の世界は広く、身近な業種以外にも思わぬ分野で支援策が用意されています。
「スマート水産業普及推進事業」は、水産業のDXを後押しする先進的な取り組みです。
昨今、多くの産業で人手不足が叫ばれていますが、水産業も例外ではありません。
こうした状況の中で、DX化によって作業の効率化や自動化を進めることは非常に有益であり、本所関んはその大きな後押しになるはずです。
そして、水産業に限らず「補助金を調べてみたい」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。
未知の分野でも全力で調べ、皆さまをサポートいたします。
行政書士やまもと事務所では、
契約書の作成や補助金の申請などのご相談を承っております。
初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください。
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