岡山県「人手不足対策設備導入等支援補助金」採択結果から見えること

補助金

ここ数年、どの業種でも耳にするのが「人手不足」という言葉。
特に地方においては、若年層の人口減少や高齢化が進む中で、事業の継続そのものに直結する深刻な課題となっています。

こうした状況に対応するため、岡山県産業振興財団が公募したのが「人手不足対策設備導入等支援補助金」。
当事務所にも「この補助金の申請をしたいんですけどご協力頂けますか」というお問い合わせをいただいたことがあり、関心の高さを実感していました。

そんな人手不足対策設備導入等支援補助金はすでに募集が終了していますが、先月、その採択結果が公表されました。
採択率はわずか15.5%と非常に狭き門。
採択された事業者の所在地や業種の傾向を分析すると、来年度以降チャレンジする方にとって参考になる点が多くあります。

今回は、この採択結果をもとに「どのような企業が採択されたのか」「どんな業種が有利なのか」について、行政書士の視点から考察してみたいと思います。

人手不足対策設備導入等支援補助金の概要

まずは補助金の制度概要を整理しておきましょう。

  • 対象者:岡山県内に拠点を置く中小企業者
  • 補助対象経費:人手不足対策につながる設備やシステムの導入費用(例:製造ラインの自動化設備、在庫管理システム、セルフレジ等)
  • 補助率:2/3以内
  • 補助金額:100万円〜1,000万円
  • 募集期間:令和7年5月13日まで(すでに終了)

この制度の目的は「人手不足に悩む中小企業が、省人化・効率化に向けて一歩を踏み出すための後押し」です。
特にAIやIoT、ロボットといった最新技術の導入を積極的に後押しする傾向があります。

採択結果について

岡山県産業振興財団が公表した採択結果によれば、

  • 申請数:529件
  • 採択数:82件
  • 採択率:約15.5%

と、非常に狭き門であったことが分かります。

採択事業者の一覧は以下の公式ページで公開されています:
採択事業者一覧(PDF)

ここからは、採択事業者を「地域」と「業種」に分けて詳しく見てみましょう。

地域別の採択件数

集計すると、以下のようになりました。

所在地件数
岡山市21
倉敷市16
津山市6
備前市5
赤磐市5
玉野市4
勝央町4
浅口市3
美作市3
真庭市2
和気町2
瀬戸内市2
鏡野町2
総社市1
高梁市1
里庄町1
矢掛町1
奈義町1

岡山市と倉敷市が突出していますが、これは事業所数自体が多いことに由来し、偏りというよりは母数の大きさを反映した結果といえるでしょう。

業種別の採択件数

業種ごとの結果は以下のとおりです。

  • 製造業:50件(61%)
  • 建設業:12件
  • 卸売業・小売業:10件
  • サービス業(分類されないもの):5件
  • 農業・林業:1件
  • 漁業:1件
  • 生活関連サービス業・娯楽業:1件
  • 宿泊業・飲食サービス業:1件
  • 学術研究・専門・技術サービス業:1件
業種分類件数
製造業50
建設業12
卸売業・小売業10
サービス業(他に分類されないもの)5
生活関連サービス業・娯楽業1
宿泊業・飲食サービス業1
学術研究・専門・技術サービス業1
漁業1
農業・林業1

製造業が圧倒的に多く、次いで建設業・小売業と続きます。
宿泊業・飲食業などのサービス業はわずか1件にとどまりました。

採択事業者からみる考察

製造業が圧倒的に強い理由

製造業は全体の約6割を占め、圧倒的多数を占めています。
その理由は補助金の趣旨に直結しているからです。

  • 人手不足=製造ラインの自動化・省力化で解決できる
  • 投資効果が数値化しやすい(例:「1日8時間×3名の作業をロボットで代替」など)
  • 社会的インパクトが大きく、採択する側も成果が見えやすい

つまり、製造業は「補助金を出す意義を示しやすい業種」であり、狭き門でも突破しやすいポジションにあるといえます。

建設業・小売業は一定の採択あり

建設業は12件、小売業は10件と、製造業ほどではないものの一定数が採択されています。

  • 建設業では「重機の効率化」「現場管理のIT化」などが対象になりやすい
  • 小売業では「セルフレジ」「在庫管理システム導入」「EC化」など、人手不足に直結する投資が評価されている

このことから、「現場の省人化」をわかりやすく数字で示せるかどうかが採択の鍵といえます。

サービス業は極めて厳しい

宿泊業・飲食サービス業からの採択はわずか1件でした。

  • 接客や調理など「人が担う部分」が多いため、設備投資との親和性が低い
  • 省人化の事例としては「セルフオーダー端末」や「配膳ロボット」などがあるが、導入効果を定量的に示すのが難しい
  • 補助金の趣旨に合致しているか疑問を持たれやすい

したがって、サービス業で採択を狙うなら「数字」と「導入効果の見える化」が不可欠です。
また、そもそもこの補助金を申請するのではなく、IT導入補助金や小規模事業持続化補助金などの別の補助金を狙うのが良いケースなどもあるかもしれませんね。

農林水産業の採択は貴重

農業・林業1件、漁業1件という少数ながら採択があります。

  • ドローン散布や自動収穫機など、人手不足が深刻な農林水産分野における実証的な取り組み
  • 他の補助金(農水省系)が中心となる分野だけに、産業振興財団の補助を得られるのは貴重

「農林水産業も門前払いではない」という実績が確認できたのは重要なポイントです。

地域的な偏りはなし

地域別にみると岡山市・倉敷市が多いものの、それは事業所数が多いことの裏返しであり、地域的に優遇・冷遇されているわけではありません。
津山市、備前市、赤磐市、美作市といった県北・県東エリアからも幅広く採択されています。

したがって、地域的要素よりも「業種」「計画内容」が採択の決め手であることが分かります。

採択されなかった業種の背景

医療・福祉系事業者はゼロ。
これは対象外の可能性が高く、学校法人・医療法人は文科省・厚労省からの補助制度があるため、別枠での支援が行われていると考えられます。

「うちの業種は対象外かも?」と思った場合でも、まずは公募要領を確認することが重要です。

採択率15.5%の意味

全体の採択率は15.5%。
これは一般的な中小企業向け補助金の中でもかなり低い数字です。
つまり、申請の大半は落選しているということ。

  • 書き方が甘い計画
  • 効果が曖昧な投資
  • 設備投資が「人手不足解消」と直結していない

このような計画は採択されにくいといえます。
「ただ欲しい設備を書いただけでは通らない」ことが明確に示された結果といえるでしょう。

来年度に向けて準備すべきこと

来年度も同様の補助金が公募される可能性があります。
今回の採択結果を踏まえると、次のような準備が必要です。

  • 数値で示すこと
     「何人分の労働力を削減できるのか」「作業時間がどれだけ短縮されるのか」を明確に。
  • 設備導入の必然性を説明
     単なる設備更新では不可。
    「これがなければ人手不足を解消できない」というストーリーを作る。
  • 地域性・社会性を加える
     「地域雇用の維持」「地域産業の持続」に貢献する内容は評価されやすい。
  • 公募要領を熟読
     対象外業種や経費の範囲を確認することは必須。
     特に医療・福祉・教育系はそもそも補助金の対象外というケースが多い。
  • 早めのGビズID取得
     補助金申請の必須要件。
     直前で慌てないよう準備しておく。

当事務所のご紹介

当事務所では、補助金申請に必要となる事業計画書の作成やブラッシュアップをサポートしております。
特に「採択される計画書」には、ただの願望ではなく、数値・根拠・社会性を盛り込むことが不可欠です。

  • 自社で作った計画を第三者目線でチェックしてほしい
  • 補助金の書き方が分からないので一から相談したい

といった方は、ぜひお気軽にご相談ください。

倉敷市を拠点に、岡山市・総社市・浅口市など岡山県全域に対応可能です。
地域に根ざした行政書士として、事業者の皆さまのチャレンジを応援します。

行政書士やまもと事務所
🏠 岡山県倉敷市
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