離婚協議書には何を書く?作成前に決めておきたい項目を行政書士が分かりやすく解説

和解書・合意書・覚書・示談書

みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
今回は 離婚協議書作成前に決めておきたい事項をご紹介します。

「離婚することは決まったけれど、養育費や財産分与はどうしたらいい?」
「夫婦で話し合った内容は、口約束でも大丈夫?」
「離婚協議書には何を書けばいいの?」

協議離婚をする際、このような疑問を持つ方は少なくありません。

離婚について夫婦で合意できたとしても、養育費や子どもとの親子交流、財産分与など、離婚後も続いていく問題があります。

離婚した直後はお互いに覚えている約束でも、数年たつと、「そんな約束だったかな?」「いやいや、確かに言ったはず……」ということが起こる可能性があります。
人の記憶は、残念ながら契約書ほど正確ではありませんよね。

そこで、夫婦で合意した内容を書面として残しておくために作成するのが離婚協議書です。

今回は、離婚協議書に何を書けばよいのか、作成前に決めておきたい内容について、行政書士が分かりやすく解説します。

離婚協議書とは?

離婚協議書とは、夫婦が協議離婚をする際に、離婚に伴って話し合い、合意した内容を書面にしたものです。

協議離婚の場合、夫婦が離婚に合意し、市区町村へ離婚届を提出して受理されれば離婚は成立します。

そのため、離婚協議書がなければ離婚できないわけではありません。
公正証書を作成した場合でも、それだけで協議離婚が成立するわけではなく、離婚届の受理が必要です。

しかし、離婚届には、養育費を毎月いくら支払うのか、預貯金や自宅をどのように分けるのか、慰謝料をいつまでに支払うのか、といった細かな約束を書くことはできません。

そこで、こうした内容を離婚協議書として残しておくことになります。

離婚協議書は「作ること」より「具体的に決めること」が大切

離婚協議書について検索すると、さまざまなひな型が見つかります。
もちろん、ひな型を参考にすること自体に問題はありません。

ただし、大切なのは、ひな型の空欄を埋めて「はい、完成!」とすることではありません。
離婚協議書の目的は、離婚後の「言った・言わない」をできるだけ防ぐことです。

そのためには、「誰が誰に支払うのか」「いくら支払うのか」「いつまでなのか」「いつ支払うのか」「どの方法で支払うのか」というところまで具体的にしておくことが重要です。

2026年4月から離婚後の親権制度が変わりました

現在、離婚協議書を作成するうえで特に注意したいのが、2026年4月1日に施行された改正民法です。

改正後は、離婚後の親権について、父母の一方を親権者とする単独親権だけでなく、父母双方を親権者とする共同親権を選ぶこともできるようになりました。

そのため、以前インターネット上で公開された離婚協議書のひな型を、そのまま使うのは注意が必要です。

子どもがいる場合には、親権だけでなく、実際に子どもが誰と暮らすのか、日常の監護をどのように行うのかなど、離婚後の生活をイメージしながら整理しておくことが大切です。

離婚協議書に書いておきたい主な内容

1.離婚についての合意

まずは、夫婦双方が協議離婚することに合意していることを記載します。

必要に応じて、離婚届を誰が提出するのか、いつ頃提出するのかについて決めることもあります。

なお、離婚協議書を作成しただけでは離婚は成立しません。
協議離婚は、離婚届が受理されて初めて成立します。

2.子どもの親権・監護

未成年の子どもがいる場合には、離婚後の親権について決める必要があります。

2026年4月以降は、事情に応じて共同親権または単独親権を選択します。

また、子どもが主にどちらの親と生活するのかなどについても、できるだけ整理しておくことが望ましいでしょう。

特に共同親権の場合、「共同親権にする」という一文だけで終わらせず、離婚後の子どもの生活を具体的に考えておくことが重要です。

3.養育費

子どもがいる場合、離婚協議書の中でも特に重要になるのが養育費です。

「毎月養育費を支払う」というだけではなく、金額、支払開始時期、支払終了時期、毎月の支払日、振込先などを具体的にします。

例えば、「18歳まで」「高校卒業まで」「大学卒業まで」では、支払期間が大きく変わることがあります。

なお、成年年齢が18歳になったからといって、養育費の支払期間が当然に18歳までになるわけではありません。

大学の入学金や高額な医療費など、通常の養育費とは別に大きな費用が発生した場合についても、必要に応じて話し合っておくと安心です。

4.親子交流(面会交流)

離婚後、子どもと離れて暮らす親と子どもがどのように交流するのかについても決めることがあります。

単に「月1回」とするだけでなく、日程をどのように決めるのか、子どもの受け渡しをどうするのか、電話やオンラインでの交流をどうするのかなども検討します。

ただし、親子交流で最も大切なのは子どもの利益です。
親同士の希望だけではなく、子どもの年齢や学校生活、体調なども考えながら決めていく必要があります。

5.財産分与

婚姻期間中に夫婦が協力して形成した財産について、離婚時に分けるのが財産分与です。

預貯金、不動産、自動車、保険、株式などの金融資産、退職金などが問題になることがあります。

例えば、自動車を夫が取得するのであれば、「夫が自動車を取得し、妻へ代償金として○万円を支払う」といった形で具体的にします。

特に自宅などの不動産がある場合は注意が必要です。

「誰が住むのか」だけでなく、不動産の名義、住宅ローンの契約者、残債、今後の返済方法などを確認しておかなければなりません。

離婚届を出してから住宅ローンの存在を思い出しても、ローンの方から空気を読んで消えてくれることはありません。
不動産がある場合は、早めに整理しておくことをおすすめします。

6.慰謝料

夫婦間で慰謝料を支払うことについて合意している場合には、慰謝料の金額や支払期限、支払方法などを記載します。

分割払いであれば、「毎月○万円を毎月○日までに支払う」など、具体的にしておくことが大切です。

一方、「相手が慰謝料の支払に応じない」「慰謝料を請求するため相手と交渉してほしい」というように当事者間で争いがある場合には、行政書士による書面作成ではなく、弁護士への相談を検討する場面となります。

7.住所変更の通知や清算条項

養育費などの支払が長期間続く場合、離婚後に住所や連絡先、勤務先が変わる可能性もあります。
そこで、変更があった場合の連絡方法について取り決めることがあります。

ただし、DVなどの事情があり、住所を知らせることで危険が生じる場合は別途配慮が必要です。

また、離婚協議書の最後に「この協議書に定めたもの以外には、互いに債権債務がないことを確認する」といった清算条項を設ける場合があります。

ただし、財産を十分確認していない段階で安易に清算条項を入れるのは注意が必要です。

養育費の支払が続くなら公正証書も検討しましょう

「離婚協議書と公正証書は何が違うのですか?」

これはよくあるご質問です。

通常の離婚協議書は、夫婦間の合意を書面にしたものです。
一方、公正証書は公証人が作成する公文書です。

さらに、一定額の金銭の支払について「支払わなければ直ちに強制執行を受けても異議がない」という趣旨の強制執行認諾条項を設けた公正証書であれば、不払いが生じた際、裁判手続を経ずに強制執行ができる場合があります。

特に養育費のように長期間支払が続く場合には、普通の離婚協議書にするのか、公正証書にするのかまで検討しておくとよいでしょう。

離婚協議書に書いておきたい主な7項目

  1. 離婚についての合意
    協議離婚すること、離婚届を誰が・いつ提出するかなどを確認します。
  2. 子どもの親権・監護
    共同親権・単独親権の選択だけでなく、子どもが誰と暮らすのか、日常の監護をどうするのかも整理します。
  3. 養育費
    金額、支払開始・終了時期、毎月の支払日、振込先、進学費用や医療費などを具体的に決めます。
  4. 親子交流(面会交流)
    回数だけでなく、日程の決め方、受け渡し方法、電話やオンラインでの交流方法なども検討します。
  5. 財産分与
    預貯金、不動産、自動車、保険、株式、退職金などを、誰がどのように取得するのか決めます。
  6. 慰謝料
    支払う場合は、金額、支払期限、支払方法を明確にします。争いがある場合は弁護士への相談が必要になることがあります。
  7. 住所変更の通知・清算条項
    住所や勤務先が変わった場合の連絡方法や、離婚後に追加の請求をしないための清算条項などを検討します。
ポイント
離婚協議書は、「項目を書くこと」よりも、 誰が・いくら・いつまでに・どの方法で と具体的に決めておくことが重要です。

離婚協議書は行政書士に依頼できる?

行政書士は、協議書や各種契約書などの「権利義務に関する書類」を作成する専門家です。

そのため、以下の場合には行政書士へ離婚協議書の作成を相談することができます。

「夫婦で話し合いはできているけれど、文章にするのが難しい」
「養育費や財産分与について決めたものの、内容に漏れがないか不安」
「離婚協議書と公正証書のどちらがよいのか分からない」

お話を伺いながら、支払期限や養育費の終了時期、財産の分け方などを一つずつ確認し、夫婦で合意した内容を文書にしていきます。

ただし、すでに夫婦間で争いがあり、相手方との交渉や法的紛争への対応が必要な場合には、弁護士へ相談することが適切なケースがあります。
夫婦間で揉めている場合には、行政書士は関われない可能性が高いですので、ご注意ください。

まとめ|離婚後の「言った・言わない」を防ぐために

ということで、今回は 離婚協議書作成前に決めておきたい内容について、解説しました。
今回のお話 いかがでしたでしょうか。

離婚協議書で大切なのは、難しい法律用語をたくさん並べることではありません。
夫婦で決めた内容を、後から読んでも意味が分かるよう具体的に残しておくことです。

離婚するときには、「できるだけ早く手続きを終わらせたい」と思うこともあるでしょう。
しかし、養育費は何年も続くことがありますし、住宅や財産分与は離婚後の生活に大きく関係します。

だからこそ、離婚届を提出する前に一度、「離婚した翌日からの生活は、具体的にどうなるだろう?」と考えてみることが大切です。

そこで出てきた「決めておくべきこと」を整理し、夫婦の合意として書面に残すのが離婚協議書です。

当事務所では、夫婦間で合意された内容をお伺いしたうえで、離婚協議書の作成や、公正証書にする場合の手続についてサポートしています。

「何を決めればよいのか分からない」
「自分たちで話し合った内容を整理してほしい」
「離婚協議書と公正証書のどちらがよいか迷っている」

という段階でも、お気軽にご相談くださいね。

行政書士やまもと事務所
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