みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
今回は これから示談書を作成しようと考えている方に向けて、作成のポイントをご紹介します。
トラブルについて当事者同士で話し合い、解決することになった場合、その合意内容を残すために作成するのが示談書です。

示談書というと、「相手が謝罪する」「示談金を支払う」といった内容を書けばよいと思われがちです。
しかし、実際には金額だけを書いても十分とは限りません。
支払期限はいつなのか、分割払いが遅れた場合はどうするのか、今後同じ行為をしないという約束をどこまで具体的に書くのかなど、トラブルの内容に応じてさまざまな事項を整理する必要があります。
示談書は、感情をそのまま書く手紙ではありません。
当事者間で合意した内容を明確にし、「言った・言わない」という新たな争いを防ぐための書類です。
今回は、示談書に盛り込むべき主な事項について解説します。
示談書を作成する目的
示談書を作成する目的、それは当事者間の合意内容を書面に残すことです。
口頭で話し合いがまとまったとしても、時間が経つと、「そのような約束はしていないよ」とか、「そこまで支払うとは言っていない」「今回の示談には別の損害は含まれていない」など、双方の認識に違いが生じる可能性があります。

示談書を作成することで、誰と誰が、どのトラブルについて、どのような条件で解決したのかを確認できるようになります。
示談書は、単なる謝罪文ではなく、当事者間の合意を証明する契約書の一種と考えると分かりやすいでしょう。
当事者を明確にする
まず必要なのは、示談を行う当事者の特定です。
個人同士であれば、住所と氏名を記載します。
法人が当事者となる場合は、法人の所在地、法人名、代表者名などを記載します。
誰と誰の間で成立した示談なのかが分からなければ、示談書として十分な役割を果たせません。
特に、代理人や家族が話し合いに参加している場合でも、実際に権利義務を負う本人が誰なのかを明確にする必要があります。
示談の対象となる出来事を特定する
次に、何について示談するのかを記載します。
例えば、交通事故、暴行、金銭トラブル、不貞行為、インターネット上への写真や動画の無断掲載、SNSでの誹謗中傷などです。
できる限り、発生した日時、場所、行為の内容などを整理します。
示談の対象が曖昧なままだと、後になって「この示談は別の問題には関係がない」と主張される可能性があります。
ただし、感情的な表現や、当事者間で認識が一致していない事実を一方的に断定するのは避けた方がよいでしょう。
示談書では、相手を責める文章を書くことよりも、合意の対象を正確に特定することが重要です。

示談金の金額と支払条件
金銭を支払う場合は、示談金や解決金の金額を明確に記載します。
しかし、金額だけでは足りません。
次のような内容も整理する必要があります。
- 支払期限
- 一括払いか分割払いか
- 銀行振込か現金払いか
- 振込先口座
- 振込手数料を誰が負担するか
- すでに支払われた金額があるか
「できるだけ早く支払う」「速やかに支払う」といった表現では、具体的な期限が分かりません。
原則として、年月日まで明確に記載した方がよいでしょう。
分割払いの場合はより具体的に定める
示談金を分割で支払う場合は、一括払いよりも細かい取り決めが必要です。
毎月の支払額、支払日、支払回数、最終支払日などを記載します。
また、支払いが遅れた場合の対応も重要です。
例えば、一定回数の支払いを怠った場合には、残額を一括で請求できるとする期限の利益喪失条項を設けることがあります。

遅延損害金を定める場合は、利率や発生時期も明確にします。
分割払いは、合意した時点では支払う意思があっても、途中で支払いが止まる可能性があります。
そのため、「支払うこと」だけでなく、「支払われなかった場合にどうするか」まで決めておく必要があります。
謝罪や再発防止に関する事項
トラブルの内容によっては、金銭の支払いだけでなく、謝罪や再発防止も重要になります。
例えば、次のような内容です。
- 謝罪文を提出する
- 今後は連絡しない
- 自宅や職場に近づかない
- 電話、メール、SNSで接触しない
このとき、「二度と迷惑をかけない」「誠意をもって謝罪する」といった抽象的な表現だけでは、何をすれば約束を守ったことになるのか分かりません。
禁止する行為や行うべき対応を、できるだけ具体的に記載することが大切です。

写真・動画・投稿データの削除
インターネット上のトラブルでは、写真や動画、投稿データの削除について定めることがあります。
単に「動画を削除する」と書くだけでは不十分な場合があります。
掲載されているサイトやアカウントだけでなく、スマートフォン、パソコン、クラウドサービス、外部記録媒体などに保存されている複製データの取扱いも検討する必要があります。
また、第三者に送信していた場合にどう対応するか、削除が完了したことをどのように報告するかも整理しておくとよいでしょう。
一度インターネット上に掲載された情報は、完全な回収が難しいこともあります。
だからこそ、削除対象や再掲載の禁止を具体的に定めることが重要です。
守秘義務や口外禁止
示談内容やトラブルについて、第三者に話さないことを定める場合があります。
いわゆる守秘義務条項や口外禁止条項です。
ただし、何でも一切話してはならないとすると、弁護士や税理士などの専門家への相談や、警察、裁判所などへの申告まで制限してしまう可能性があります。
必要に応じて、専門家への相談や法令に基づく開示などは例外とすることも検討します。
口外禁止条項は、入れればよいというものではなく、どの情報を誰に伝えてはいけないのかを整理する必要があります。
清算条項
示談書では、清算条項が設けられることがあります。
清算条項とは、今回のトラブルについて、示談書に記載したもの以外には、お互いに請求するものがないことを確認する条項です。
簡単にいえば、「今回の問題は、この示談で最終的に解決します」という意味です。

ただし、清算条項を入れれば何でも解決するわけではありません。
前提として、何について示談したのか、示談金にどの損害が含まれているのかを明確にしておく必要があります。
示談の対象が曖昧なまま清算条項を設けると、かえって後日の争いにつながる可能性があります。
公正証書にすることも検討する
示談金が高額な場合や、長期間の分割払いとなる場合には、公正証書の作成を検討することがあります。
強制執行認諾文言を付けた公正証書を作成しておけば、支払いが行われなかった場合に、裁判を経ずに強制執行を申し立てられる可能性があります。
示談書はトラブルに合わせて作成する
示談書に盛り込むべき内容は、トラブルの種類によって異なります。
交通事故の示談書と、金銭トラブルの示談書、写真や動画の無断掲載に関する示談書では、必要な条項は同じではありません。
インターネット上にあるひな形を利用することもできますが、本来必要な条項が抜けていたり、今回のケースには不要な条項が入っていたりすることがあります。
大切なのは、形式的に項目を並べることではありません。
今回の問題を終わらせるために、誰が、何を、いつまでに行い、約束が守られなかった場合にどうするのかを具体的に整理することです。
示談書を作成する際は、将来起こり得る問題まで想定しながら内容を検討する必要があります。

示談書の作成・チェックは行政書士やまもと事務所へ
ということで、今回は 示談書に盛り込むべき主な事項について解説しました。
今回のお話 いかがでしたでしょうか。
当事務所では、当事者間ですでに話し合いがまとまっている案件について、示談書の作成やリーガルチェックに対応しています。
- 示談の対象となる事実
- 示談金の金額や支払方法
- 分割払いが滞った場合の取扱い
- 謝罪や再発防止の内容
- 接触禁止や口外禁止
- 写真、動画、投稿データの削除
- 清算条項
- 公正証書化の検討
ご相談内容を確認しながら合意内容が分かりやすく伝わる文書を作成します。
また、ご自身で作成した示談書について、「この内容で問題がないか確認してほしい」というご相談にも対応しています。
ただし、行政書士は、当事者の代理人として相手方と交渉することや、紛争性の高い案件について法律上の交渉を行うことはできません。
相手方と金額や責任について争いがある場合や、相手方との交渉を依頼したい場合は、弁護士への相談が必要となります。
当事務所では、ご相談内容を確認したうえで、行政書士が対応できる案件か、弁護士への相談が適切な案件かを整理してご案内します。
示談書は、トラブルが解決した後に作る単なる記録ではありません。
今後、同じ問題を繰り返さないための重要な書類です。
示談内容を書面に残したい方や、ご自身で作成した示談書に不安がある方は、当事務所までご相談ください。
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