「合意書」と「契約書」はどう違う?|農家さんにも分かるやさしい書面の話

和解書・合意書・覚書・示談書

先日、とある農家さんからこんなご相談を頂きました。

「近隣の農業法人さんに農業の指導をしてもらうことになり、うちの農園を使うんだけど相手方と結ぶ契約書を作ってくれませんか?」

内容を詳しくお聞きし、ご依頼の通り契約書を作成してみたのですが、よくよく考えていると「これは契約書ではなく、合意書の方が合っているのでは?」と思ったんです。

そこで、契約書と合意書の両パターンを作ってご覧いただいたところ、「合意書の方がしっくりきますね」とのこと。

意外と知らない合意書と契約書の違い。
本日はこの2つの違いについて、わかりやすく解説します。

合意書とは?:信頼関係を残すための“約束メモ”

合意書とは、お互いが話し合って決めた内容を整理して残すための書面です。
例えばこんなときに役立ちます。

  • 一緒に作業や販売を行う際の役割分担を整理しておきたいとき
  • 契約の途中で条件を変更する、または終了することを確認したいとき
  • トラブルが起きたあと、再発防止や今後の対応を話し合った結果をまとめたいとき

つまり、合意書は「お互いの信頼を保ちつつ、話し合いの内容を形に残す」ための書面です。
契約書ほど堅苦しくはなく、口約束を整理する“やわらかい約束メモ”のような存在といえます。

契約書とは?:お金や責任が絡む“しっかりした約束”

一方、契約書はお互いの権利や義務をはっきりさせるための書面です。
特に次のような内容が含まれるときには、契約書でしっかり決めておくことが大切です。

  • 代金の支払い、納期、数量などお金が関わる取引
  • 約束を守らなかった場合に、どのような責任を負うかを明確にしておきたい場合
  • 長期間にわたる継続的な取引や、将来的にトラブルが想定される内容

契約書は、「約束を守らなかったときの対処法」まで含めた書面です。
お金や納期といった具体的な約束がある場合は、合意書よりも契約書の方が適しています。

合意書と契約書の違いを整理してみましょう

項目合意書契約書
主な目的話し合った内容を整理・確認する約束を法的に守らせる
トーンやわらかい・協力的かため・責任重視
向いている場面話し合い・信頼確認・再発防止お金・納期・責任が関わる取引
印紙不要なことが多い内容によって必要
法的拘束力内容次第(明確なら同等)原則として強い

合意書も契約書も、どちらが正しいというより「目的が違う」というのがポイントです。

どっちを使えばいい?

契約書と合意書、どちらを使うか迷うときは、次のような考え方を一つの目安としてみてはいかがでしょうか。

お金や責任が発生する内容なら → 契約書を検討
お金が絡まない確認や話し合いの整理なら → 合意書が向く場合も

例えば農業の現場で考えると、

  • 出荷数量や販売価格など、金銭のやり取りがあるなら 契約書
  • 品質管理のルールや作業分担など、信頼ベースの取り決めなら 合意書

という使い分けがしやすいでしょう。
状況や関係性に応じて、柔軟に選ぶのがおすすめです。

合意書・契約書それぞれのメリット・デメリット

書面メリットデメリット
合意書言った言わないを防げる
・信頼関係を保ちながら整理できる
・印紙不要なことが多い
・法的拘束力が弱め
・内容が曖昧だと効力が落ちる
契約書法的に強い拘束力がある
・責任範囲を明確にできる
・トラブル時の証拠になる
・内容が難しくなりやすい
・印紙が必要な場合もある

このように、それぞれに長所と短所があります。
大切なのは、「どちらを選ぶか」よりも、相手との関係性や目的に合った書面を作ることです。

行政書士としてのアドバイス

契約書も合意書も、どちらも「相手を縛るため」ではなく「お互いを守るため」に作るものです。

特に農業や地域ビジネスのように、顔が見える関係で取引が行われる場合、
「信頼を形にして残す」ことがトラブル防止につながります。

書面を作っておけば、「言った・言わない」や「そんなつもりじゃなかった」という行き違いを防げます。
そして、結果的にお互いが気持ちよく協力を続けられる関係を守ることができます。

まとめ:信頼を形にする一歩としての書面づくり

  • 合意書=信頼関係を保つための確認書
  • 契約書=責任を明確にするための約束書
  • どちらも「安心して付き合うためのツール」

お金が関わるなら契約書、そうでないなら合意書。
難しく考えず、「信頼を見える形にする」と思って作ってみてください。
その一枚が、将来のトラブルを防ぎ、信頼を守る力になります。

当事務所のご紹介

当事務所では、お客様のお話を丁寧に伺いながら、内容に合わせて契約書・合意書などの適切な書類を作成いたします。

岡山県内の方には、直接お会いしてじっくりお話を伺うことも可能です。
また、県外のお客様の場合でも、ZoomやLINEなどを使ってオンラインでご相談いただけます。

「どんな書面を作ればいいか分からない」
「口約束のままにしておくのは不安」
という方も、まずはお気軽にご相談ください。
一つひとつの取引や協力関係を、安心して続けられるようサポートいたします。

行政書士やまもと事務所
🏠 岡山県倉敷市
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