「相続」というと、遺産分割や手続きが思い浮かぶかもしれません。
しかし実際には、戸籍の確認や財産の把握だけでなく、親戚との人間関係にも大きく影響を及ぼします。
先日、会社の同僚からこんな話を聞きました。
実父が亡くなったと突然知らされ、数十年ぶりに「相続の案内」が届いたそうです。
幼い頃に親が離婚して以来、まったく会っていなかった父親。
驚きつつも相続について確認しようとしたところ、現れたのは見知らぬ年配の男性。
ところがその人は開口一番、
「お前に相続する権利はない!」
と言い放ったのです。

結局、面倒を避けるために相続放棄をしましたが、後から分かったのは、その男性は実父の兄弟。
つまり、相続人ではなかったのです。
「相続人でもない人が、なぜあんなに強く口を出してきたのか…?」
同僚はとてもモヤモヤしたそうです。
今回はこの事例をもとに、相続人の範囲の基本ルール、無関係な人が口を出す理由、相続放棄の意味、そして遺言書の重要性についてやさしく解説します。
相続人になれるのは誰?
民法で決められている「相続人の順番」は次のとおりです。
- 子ども(直系卑属)
- 父母(直系尊属) ※子どもがいない場合
- 兄弟姉妹 ※子どもも父母もいない場合
そして、配偶者は常に相続人 です。
必ず上記の誰かと一緒に相続する立場になります。
今回のケースでは「亡くなった実父に子ども(同僚の奥さん)がいた」ので、相続人は 配偶者(もし存命なら後妻など)+子ども。
したがって、実父の兄弟は 相続人にはなりません。
つまり、相続財産を直接受け取る立場にはないのです。

相続に関係ない人が口を出す理由
現実には、相続人でもない人が強く意見することはよくあります。
考えられる理由は――
- 感情的な思い込み:「自分が面倒を見てきたのだから当然」
- 財産への期待:「兄弟が相続すれば将来自分に回ってくるかも」
- 知識不足:法定相続人の仕組みを理解していない
法律上の相続権がなくても、こうした人たちが介入することで本来の相続人が混乱してしまうのです。
相続放棄という選択肢
相続を受けるかどうかは相続人自身が選べます。
その一つが 相続放棄 です。
- 手続きは家庭裁判所への申述
- 原則「相続を知ったときから3か月以内」に行う必要あり
- 放棄すると「最初から相続人でなかったこと」になる
今回の同僚の奥さんは
「疎遠だった父の財産に関わりたくない」
「見知らぬ親戚に振り回されたくない」
という理由で相続放棄を選択しました。
これは現実的な判断の一つです。
モヤモヤしないための対応策
トラブルに巻き込まれないためには、次のポイントを押さえることが大切です。
- 誰が相続人かを戸籍で確認する
出生から死亡までの戸籍をたどれば、相続人が確定します。 - 相続人以外の発言は法的には無視して良い
法律上の相続人でなければ、口を出す権利はありません。 - 専門家に相談する
戸籍収集や相続放棄の申述など、専門家に任せればストレスを減らせます。
そして何よりも大切なのは、遺言書の有無 です。
遺言書があれば、財産の分け方が明確に定まるため「誰が相続人か」で揉める可能性は大きく減ります。
逆に、遺言書がないと相続人同士で話し合いが必要となり、無関係な親戚が口を出して混乱を招くケースが少なくありません。
まとめ
ということで、今回は 相続人の範囲の基本ルール、無関係な人が口を出す理由、相続放棄の意味、そして遺言書の重要性についてしました。
相続は「血のつながり」に基づく権利であり、配偶者と子どもが最優先されます。
兄弟姉妹は、子も父母もいない場合に初めて相続人になります。
今回のように「相続人でもない人」が介入することは珍しくありませんが、戸籍で確認すれば誰が相続人かは明確です。
また、不要なトラブルを避けるために「相続放棄」を選ぶことも可能ですし、遺言書を残しておくことが最も有効な予防策になります。
行政書士は相続トラブルそのものに関与することはできませんが、不要なトラブルを避けるためのアドバイスや、戸籍収集・相続放棄の申述サポートなどの書類作成支援 は可能です。

当事務所では、
- 相続人の調査(戸籍収集)
- 相続放棄の申述サポート
- 遺言書作成のご相談
などを承っております。
相続にまつわる「モヤモヤ」を抱えたままにせず、どうぞお気軽にご相談ください。
行政書士やまもと事務所
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