~行政書士・司法書士・税理士の違いと、“ワンストップ事務所”って何?~
はじめに
先日 このようなご相談を頂きました。
「父が亡くなり、自宅を母と姉と自分の3人で相続することになった。でも、相続ってなにから始めたらいいのかサッパリ分からないし、そもそも誰に相談すればいいのか…」
相続って自分の身にふりかかるまではあまり考えたこともないし、突然だと戸惑いますよね。
しかもネットで調べると“司法書士”“税理士”“行政書士”、それに「相続コンサルタント」みたいな肩書きの人もいて、余計にわけが分からなくなる…。
そこで今回は、
・どんな専門家がいるのか
・どんな流れで相続の手続きをしていくのか
・どうやって「頼れる人」を探せばいいのか
・そして最近よく聞く「ワンストップ事務所」ってどんな仕組みなのか
できるだけ分かりやすく整理してみました。
同じような境遇の方の不安が、少しでも減ればうれしいです。
相続の手続き、実際にやることって?
まず、「相続」と聞くとすごく難しそうに感じますが、やること自体は大きく分けていくつかの段階に分かれています。
- お父さんが亡くなったことを市役所などに届ける(死亡届の提出)
- 年金や健康保険の手続き
- 家族や財産がどれだけあるか、しっかり確認する
- 「誰がどれくらい相続するか」を家族で話し合う(遺産分けの話し合い)
- 不動産(自宅など)の名義変更、車の名義変更・売却
- 必要なら税金の手続きや、銀行・証券会社での手続き
実は、これだけのことを順番にこなしていく必要があります。
しかも、役所の書類、銀行、法務局…とにかく色々な場所に行くことになるので、最初は「何から手をつけていいのか分からない」というのが当たり前です。

どんな専門家がいる?ざっくり違い
「困ったら専門家に頼もう!」と思っても、どこに相談したらいいのか迷いますよね。
大まかに、こんな専門家がいます。
- 司法書士
→ 家や土地など「不動産の名義変更(相続登記)」のプロ。
法律上、登記の手続きは司法書士だけができる仕事です。
「このままにしておくと登記の義務があるって聞いたけど、どうしよう?」となったら司法書士さん。 - 税理士
→ 相続税の申告や税金の計算が必要なときの頼れる人。
財産が多いご家庭や、「税金で損したくない」という時におすすめです。 - 行政書士
→ 相続に必要な書類(遺産分割協議書など)や、役所への提出書類を作成するプロ。
「とりあえず必要な書類を全部まとめてほしい」という時に頼れる存在です。
この3つが「相続でよく出てくる専門家」です。
他にも、弁護士さんが相続でもめごとになったときに間に入ってくれることもありますが、「手続き」中心なら、上の3つの誰かが関わるケースがほとんどです。
一人で全部お願いできるの?
ここがとても大事なポイントです。
たとえば「行政書士に全部お願いしたら最後までやってくれるの?」とよく聞かれますが、実はこれ、できません。
どうしてかと言うと、司法書士・税理士・行政書士、それぞれ「できる仕事」が法律でしっかり決まっているからです。
たとえば、
- 登記の手続きは司法書士
- 税金の申告は税理士
- 書類作成は行政書士
というように、仕事の範囲が分かれていて、一人の専門家だけで全部終わらせることはできません。
「ワンストップ事務所」って何?どうしてできるの?
最近よく「ワンストップ事務所」という言葉を聞くことが増えましたが、
「ワンストップ」ってどういう意味?と疑問に思う方も多いと思います。
簡単に言うと、
「いろんな分野の専門家がタッグを組んで、チームとして相談から手続きまで全部まとめてサポートしてくれる窓口」のことです。
たとえば、
・行政書士は書類作成や役所手続きを担当
・司法書士は不動産の登記を担当
・税理士は税金や申告を担当
というふうに、それぞれのプロが役割分担して連携し、「お客さん(=相続する家族)」は窓口ひとつで全部任せられる
――これが「ワンストップ事務所」です。
つまり、一人の士業が全部やるのではなく、「チーム」でそれぞれの資格や分野を活かして助け合いながら進めてくれる、という仕組みなんですね。

ですから、「行政書士に相談したのに登記の手続きまでやってくれた!」という場合も、
実際はその行政書士が司法書士と組んで、
しっかり登記の部分は司法書士の資格を持った専門家が担当している、というわけです。
ワンストップのいいところ
- いろんな手続きをバラバラに頼むより、窓口ひとつで全部進めてくれるのでラク
- 専門家同士が連携してくれるので、ミスやモレも少なくなる
- 進行状況や書類の準備なども、全部まとめて把握しやすい
- 必要に応じて「相続以外の手続き(遺言や生前贈与など)」も相談できる
「とにかく全部まるごと任せたい!」という方には、こうしたワンストップ型の事務所やチームが本当に心強い存在です。
逆に、一部だけお願いしたいときは?
一方で、「全部は必要ない、困っている部分だけプロに頼みたい」という方も多いと思います。
たとえば
- 不動産の名義変更だけしてほしい→ご近所の司法書士さんへ
- 税金の相談だけしたい→税理士さんへ
- 書類の作成だけ手伝ってほしい→行政書士さんへ
というふうに、「ピンポイント」で専門家に相談するのも全然アリです。
その場合は、まず「自分が今どこで困っているのか」を整理して、その分野を専門としている地元の士業を探してみてください。
直接会って話せる専門家を選ぼう
相続の手続きは、どうしても家族やお金に関わる繊細な話が多いです。
ネットや電話だけで進めることもできますが、やっぱり直接会って話ができる地元の専門家に頼む方が安心です。
- 困ったことをその場で相談できる
- 途中で「やっぱり違う相談がしたい」と思ったときにもスムーズ
- 書類の受け渡しなども手間が少ない
というメリットがあります。
まずは「お近くの士業(行政書士・司法書士・税理士)」で検索してみたり、市役所の無料相談会などを利用してみるのもおすすめです。
これだけの手続きを家族だけでやるのは大変
もう一度、相続が発生したあとにやることをざっと挙げてみます。
- 死亡届の提出
- 年金や健康保険の手続き
- 戸籍や住民票などの書類集め
- 財産や相続人の調査
- 相続放棄や限定承認(希望があれば)
- 準確定申告(亡くなった方の税金の手続き)
- 遺産分割協議書の作成と署名
- 不動産の名義変更(相続登記)
- 預金・証券・車などの名義変更や解約
- 相続税の申告・納税
ひとつひとつは「できそう」でも、全部を期限内に、しかも書類のミスなくやるのは…想像以上に大変です。
書類が一つ足りないだけで手続きがやり直しになったり、相続人が一人でもサインし忘れていたりすると、大きく遅れることも。
まとめ
相続手続きは、一人の専門家だけで全部終わらせることはできません。
「全部まるごとお任せしたい」場合は、行政書士・司法書士・税理士などがタッグを組んで“チーム”で動いてくれる“ワンストップ型”の事務所や窓口を選ぶと安心。
「この部分だけやってほしい!」という時は、それぞれ専門分野の士業にピンポイントで相談するのもOKです。
そして、家族関係や資産内容は本当に人それぞれ。
まずは、直接会って話せる近くの専門家を探してみるのがおすすめです。
どこに相談していいか迷ったら、「これでいいのかな?」と気軽に専門家に聞いてみてください。
当事務所は契約書作成や補助金申請のサポートを主な業務としていますが、
今回のように「どこに相談すれば良いのかわからない」といった相続のご相談にも対応しています。
倉敷市や近隣の方、お気軽にご相談ください。
行政書士やまもと事務所
🏠 岡山県倉敷市
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