みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
今回は 倉敷美観地区で取得がとても厳しい許可3選をご紹介します。
倉敷美観地区でお店や宿泊施設を始めたい方へ。
美観地区では、民泊、のぼり・看板、ドローン撮影などについて、一般的な地域とは少し違ったルールがあります。
「せっかく物件を借りたのに、やりたかったことができない……」

そんなことにならないためにも、開業前に確認しておきたいポイントがあります。
今回は、倉敷美観地区に走って10分の場所に住む行政書士の立場から、倉敷美観地区で特に注意したい「許可・手続きのハードルが高い3つのこと」を分かりやすくご紹介します。
倉敷美観地区で開業するなら、まず知っておきたいこと
「倉敷美観地区でお店を始めたいんです!」
いいですね。
白壁の町並みに倉敷川、柳並木、その横をゆっくり進む川舟。
国内外から多くの観光客が訪れる倉敷美観地区は、「ここで商売ができたら素敵だな」と思わせてくれる場所です。

ただし、美観地区での開業には注意点があります。
物件を借りて、内装を整えて、看板を発注して、「さあ、営業開始!」
……となったところで、「それ、できません」と言われると、なかなかのダメージです。
実は、倉敷美観地区で事業を始める場合には、一般的な地域とは異なるさまざまなルールや制約があります。
そして、こうしたルールは、開業してから知るよりも、開業前に知っておくことがとても大切です。
「せっかく準備したのに、予定していたことができない……」
そんな事態を避けるためにも、事前に確認しておきたいポイントを順番に見ていきましょう。
その1|倉敷美観地区で「民泊」を始める
住宅宿泊事業法による民泊は年間を通じて制限
「観光客がたくさん来るなら、町家を借りて民泊にしたら人気が出るのでは?」
これは、かなり自然な発想です。
古い町家に泊まりながら倉敷の雰囲気を楽しめるとなれば、観光客にも喜ばれそうですよね。
ところが、ここには大きな注意点があります。
住宅宿泊事業法、いわゆる「民泊新法」による民泊は、通常であれば一定の要件を満たして届出をすることで、年間180日を上限として営業できます。
しかし、倉敷市美観地区については、倉敷市の条例により、住宅宿泊事業の実施が年間を通じて制限されています。
つまり、「180日の範囲なら営業できるでしょう」という話ではありません。
美観地区については、その180日のカレンダーを開く前に話が終わってしまう、ということです。
「宿泊施設が全部ダメ」という意味ではありません
ここはとても重要です。
倉敷美観地区では宿泊業そのものが禁止されている、という意味ではありません。
住宅宿泊事業法による民泊とは別に、旅館業法に基づく旅館・ホテル営業や簡易宿所営業という方法があります。
ただし、美観地区では建物の外観や改修についても独自のルールが関係してくる場合があります。
さらに、宿泊施設を営業するためには、旅館業だけでなく、建築、消防、景観など複数の制度を確認しなければならないこともあります。
そのため、「古民家を買いました。あとは布団を置けば宿になりますよね」とは、なかなかいきません。
倉敷美観地区で宿泊施設を検討する場合は、物件を購入・賃借する前に、営業できる可能性があるか確認しておくことが大切です。

その2|のぼり旗や派手な看板を設置する
倉敷美観地区では看板にもルールがあります
「お店を出すなら、まず店頭にのぼりを!」
飲食店などでは定番ですよね。
赤や黄色ののぼりが元気よく並んでいると、なんとなく、「ここ、営業しています!」という気持ちが伝わってきます。
のぼりは飲食店の正装……と言ってしまうと少し言い過ぎですが、それくらいよく見かけます。
ただ、倉敷美観地区では少し事情が違います。
倉敷市では屋外広告物について条例による規制があり、広告物の表示や設置について、許可や基準の確認が必要になる場合があります。
さらに、美観地区では町並みを守るため、看板の大きさや色、デザイン、設置場所などについても景観への配慮が求められます。
そのため、「とにかく目立てばOK!」という広告戦略は、美観地区とは少々相性がよくありません。
美観地区では「目立つ」より「なじむ」
美観地区を歩いてみると分かりますが、白壁や格子、木製の看板、暖簾などが町並みによく似合います。
逆に、ものすごく明るい電飾看板が突然登場すると、時代劇の背景に巨大なLED看板が映り込んだような状態になってしまいます。
なかなかの違和感です。

美観地区では、そうならないように広告物についても景観への配慮が求められています。
ただし、「看板は一切設置できない」わけではありません。大きさや色、素材、デザインなどを基準に合わせることで、設置できる可能性があります。
むしろ、木製の看板や落ち着いた暖簾など、美観地区になじむデザインにすることで、お店そのものの雰囲気が良くなることもあります。
規制があるから何もできないのではなく、「美観地区らしい見せ方を考える」というのがポイントです。
その3|倉敷美観地区をドローンで空撮する
ドローンは「国交省の許可さえ取ればOK」ではありません
「せっかく美観地区にお店を出すなら、ドローンで格好いいPR動画を撮りたい!」
気持ちはよく分かります。
倉敷川の上空から白壁の町並みを撮影できたら、かなり映えそうです。
SNSの再生回数が伸びる音まで聞こえてきそうです。
ただし、ドローンについては特に慎重な確認が必要です。
航空法では、100g以上の無人航空機について、人口集中地区の上空など一定の空域を飛行する場合、国土交通大臣の許可が必要となる場合があります。
また、飛行する場所だけではなく、人や物件との距離、目視外飛行、夜間飛行、第三者の立入管理など、飛行方法についてもルールがあります。
さらに、航空法上の手続きとは別に、土地や施設の管理者との調整が必要になる場合もあります。
観光客の多い場所では安全確保も大きな課題
そして、美観地区で特に難しいのが、「人が多い」という点です。
当然ですが、観光地なので観光客がいます。
平日でも人が歩いていますし、休日になればさらに増えます。
ドローンを安全に飛ばすためには、飛行場所や飛行方法に応じて、第三者が飛行エリアに入らないよう管理するなどの安全対策が必要になることがあります。
美観地区で、「すみませーん。撮影しますので、この辺には誰も入らないでくださーい」と簡単にできるかというと、なかなか難しいでしょう。
美観地区から観光客を一時的にいなくするのは、たこ焼きからタコだけきれいに抜くくらい難しそうです。

文化財や歴史的な町並みへの配慮も必要
倉敷美観地区には、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されているエリアもあります。
そのため、美観地区でのドローン撮影は、「飛ばせる機体を持っています」「国土交通省への手続きをしました」だけで判断できる話ではありません。
飛行場所、飛行方法、周辺の人の状況、土地や施設の管理関係などを個別に確認する必要があります。
宣伝動画を撮影したい場合には、ドローンにこだわらず、ジンバルを使った地上撮影や、利用条件を確認したうえで既存の映像素材を利用する方法も検討できます。
そしてもちろん、必要な許可や承認を確認せずに飛ばすのは避けましょう。
歴史ある建物にドローンを落としてしまったら、「すみませんでした」だけでは済まない可能性があります。
倉敷美観地区で開業するときは「物件契約の前」の確認が大切
ここまで、倉敷美観地区で注意したい3つのポイントをご紹介しました。
整理すると、次のとおりです。
民泊
住宅宿泊事業法による民泊は、倉敷美観地区では年間を通じて実施が制限されています。
宿泊施設を検討する場合には、旅館業法による営業が可能かどうかを含め、建築や消防、景観などについても確認する必要があります。
のぼり・看板
屋外広告物や景観に関するルールがあります。
大きさ、色、デザイン、設置場所などを事前に確認することが大切です。
ドローン
航空法だけでなく、飛行場所や飛行方法、安全管理、土地・施設管理者との調整など、複数の点を確認する必要があります。

こうして並べると、「美観地区って規制が多いな……」と思われるかもしれません。
確かに、一般的な地域と比べれば注意しなければならないことは多くあります。
しかし、考えてみれば、こうしたルールがあるからこそ、倉敷美観地区の町並みが守られているともいえます。
白壁の横に巨大なLED看板が並び、頭上をドローンが次々と飛び交い、あちこちに原色ののぼりが立っていたら……。
それはもう、私たちが知っている「倉敷美観地区」とは少し違う場所になってしまいます。
規制は、商売を邪魔するためだけにあるものではありません。
美観地区という場所そのものの価値を守るためのルールでもあるのです。
まとめ|「美観地区でこれ、できますか?」は開業前に確認しましょう
ということで、今回は 倉敷美観地区で特に注意したい「許可・手続きのハードルが高い3つのこと」をご紹介しました。
今回のお話 いかがでしたでしょうか。
倉敷美観地区で事業を始める場合、「やりたいことを決める」 → 「物件を契約する」 → 「後から許可を調べる」という順番にしてしまうと、「物件は借りた。でも予定していた営業ができない」という事態になる可能性があります。
おすすめなのは、その逆です。
まず、「この場所で、こんな商売をしたい」という段階で、必要となる許可や規制を確認しておくことです。
特に倉敷美観地区のように、旅館業、民泊、屋外広告物、景観、建築、消防など複数の制度が関係しやすい場所では、事前確認が非常に重要になります。

当事務所では、倉敷市で事業を始める方からの許認可に関するご相談をお受けしています。
「美観地区でお店をやりたいけれど、何から確認すればいい?」
「この物件で宿泊施設はできる?」
「この看板は設置できそう?」
そんな、「まだ何も決まっていないんですが……」という段階からでも もちろんOK!
物件を契約してハンコを押してから悩むより、ハンコを押す前に一度確認しておきましょう。
倉敷美観地区での開業・許認可について気になることがありましたら、お気軽にご相談くださいね。
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