みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
今回は 屋外広告士について解説します。
先日、屋外広告業を始めたいというご相談をいただき、屋外広告業について調べていると、「業務主任者を置かなければならない」という要件が出てきました。
そして、その業務主任者になれる資格の一つとして書かれていたのが、「屋外広告士」という資格でした。

行政書士、司法書士、建築士などは聞いたことがありますが、正直なところ、私も今回のご相談を受けるまで「屋外広告士」という資格を詳しく知りませんでした。
名前だけを見ると、こう思われる方もいるかもしれません。
「看板に関する士業なのかな?」
「屋外広告士がいなければ、看板を作ったり設置したりできないのかな?」
そこで今回は、屋外広告士とはどのような資格なのか?屋外広告業の業務主任者とどのような関係があるのか?そして、どうすれば屋外広告士になれるのかを、できるだけ分かりやすく解説します。
そもそも屋外広告物とは?
屋外広告士の説明に入る前に、「屋外広告物」とは何かを簡単に整理しておきましょう。
屋外広告物というと、道路沿いに立っている大きな広告塔を思い浮かべるかもしれません。
しかし、法律上の屋外広告物は、それだけではありません。
例えば、次のようなものも屋外広告物に該当する可能性があります。
- 店舗の壁面看板
- 建物から突き出した看板
- 屋上に設置された広告塔
- 道路沿いの案内看板
- 電柱広告
- のぼり旗
- ポスター
- ネオンサインや電光表示板
つまり、私たちが街中で日常的に目にしている看板の多くが、屋外広告物に当たります。

屋外広告物は、お店の場所やサービスを知らせるために欠かせないものです。
一方で、無秩序に設置されると街の景観を損ねたり、老朽化した看板が落下・倒壊したりする危険もあります。
そのため、屋外広告物法や各自治体の条例によって、設置できる場所、大きさ、表示方法などが規制されています。
屋外広告士とは?
屋外広告士は、屋外広告物の製作や施工などについて、専門的かつ総合的な知識と技術を持っていることを認定する資格です。
資格試験は、国土交通大臣の登録を受けた試験機関である一般社団法人日本屋外広告業団体連合会、通称「日広連」が実施しています。
試験に合格すると、「屋外広告士」という称号を使用できます。
屋外広告士に求められるのは、単に看板をきれいにデザインする能力だけではありません。
主に次のような分野の知識が必要です。
- 屋外広告物に関する法律や条例
- 看板の色彩やデザイン
- 景観との調和
- 看板の構造設計
- 材料や施工方法
- 設置後の安全管理
- 老朽化した看板の点検
つまり、屋外広告士は、「看板の法律・デザイン・構造・施工・安全を幅広く理解した専門家」と考えると分かりやすいでしょう。

屋外広告士は行政書士のような「士業」なの?
「屋外広告士」という名前には「士」が付いています。
そのため、弁護士や司法書士、税理士、そして我々行政書士のように、資格を持っていなければできない仕事があると思われるかもしれません。
しかし、屋外広告士は、一般的にいう業務独占型の士業とは少し性質が異なります。
例えば、屋外広告士だからと言って以下というわけではありません。
- 屋外広告士でなければ看板を製作できない
- 屋外広告士でなければ看板を設置できない
- 屋外広告士でなければ屋外広告業を経営できない
屋外広告士は、屋外広告業界における専門的な技術資格という位置づけです。
ただし、単なる民間の肩書きというわけでもありません。
屋外広告士試験は屋外広告物法に基づく登録試験機関によって行われており、その合格者は、屋外広告業の登録で必要となる業務主任者になることができます。
屋外広告業の「業務主任者」とは?
事業者が屋外広告業を行う場合、営業する地域の自治体で、屋外広告業の登録や届出が必要になることがあります。
そして、屋外広告業者は、原則として営業所ごとに一定の資格を持つ業務主任者を置かなければなりません。
岡山県では、県内で営業する営業所ごとに業務主任者を設置し、次のような業務を総括させることとされています。
- 法令の規定を守るための管理
- 看板設置工事の適正な施工
- 看板の安全性の確保
- 屋外広告業に関する帳簿の管理
- その他、屋外広告業務の適正な運営
つまり、業務主任者は、現場で一番偉い人という意味ではありません。
屋外広告物の法令や安全に関する知識を持ち、営業所で行われる屋外広告業務を適正に管理する人です。

屋外広告士でなければ業務主任者になれないの?
ここは誤解されやすいところです。
屋外広告士は業務主任者になれる資格の一つですが、屋外広告士だけが業務主任者になれるわけではありません。
岡山県では、主に次のような人が業務主任者になることができます。
- 屋外広告士試験の合格者
- 自治体が実施する屋外広告物講習会の修了者
- 広告美術仕上げに関する職業訓練指導員、技能検定合格者、職業訓練修了者
- 知事が同等以上の知識を持つと認定した人
したがって、「屋外広告業を始めるためには、必ず屋外広告士試験に合格しなければならない」ということではありません。
すぐに屋外広告業を始めたいなら講習会という方法もある
屋外広告業を始めるために、まず業務主任者を確保したいのであれば、自治体などが実施する屋外広告物講習会を受講する方法があります。
講習会では、屋外広告物に関する法令、表示方法、施工、安全管理などの基礎知識を学びます。
講習会を修了すれば、原則として業務主任者になるための資格要件を満たすことができます。
屋外広告士試験には実務経験が必要で、試験も毎年いつでも受けられるわけではありません。
そのため、これから屋外広告業へ参入する会社では、以下の進め方が現実的です。
- まず屋外広告物講習会を受講する
- 修了者を業務主任者として選任する
- 屋外広告業の登録や届出を行う
- 実務経験を積み、将来的に屋外広告士を目指す

屋外広告士になるにはどうすればいい?
屋外広告士になるためには、日広連が実施する屋外広告士試験に合格する必要があります。
ただし、誰でもすぐに受験できるわけではありません。
受験には実務経験が必要
屋外広告士試験を受験するには、原則として、満18歳以上になってから屋外広告業などに関する3年以上の実務経験が必要です。
申込みの際には、勤務先、役職、実務経験の期間などを申告します。
そのため、屋外広告業に全く携わったことがない人が、勉強だけをしてすぐ受験できる資格ではありません。
看板の製作、施工、設計、デザインなど、屋外広告業に関する実務経験を積むことが前提になります。
試験では何が出るの?
屋外広告士試験は、大きく分けて学科試験と実技試験があります。
学科試験
学科試験では、主に次の分野が出題されます。
1.関係法規
屋外広告物法や自治体の屋外広告物条例など、看板に関係する法律やルールについて問われます。
看板は、好きな場所に好きな大きさで設置できるわけではありません。
設置禁止地域、許可が必要な広告物、大きさや高さの制限などを理解する必要があります。
2.広告デザイン
色彩、文字、レイアウト、周囲の景観との調和など、看板のデザインに関する知識が問われます。
単に目立てばよいのではなく、街並みや建物とのバランス、安全な見やすさなども大切になります。
3.設計・施工
看板の構造、材料、強度、基礎、取付方法、施工時の安全などについて問われます。
看板は雨や風にさらされます。
大型の看板であれば、落下や倒壊によって重大な事故につながる可能性もあるため、構造や施工の知識は非常に重要です。
実技試験
実技試験では、屋外広告物の設計またはデザインに関する課題が出されます。
法律の知識を覚えるだけでなく、実際の看板づくりに必要な設計力や表現力も確認される試験です。

屋外広告士を取得するメリット
屋外広告士にならなくても、屋外広告物講習会を修了すれば業務主任者になれる場合があります。
それでは、わざわざ屋外広告士を取得する意味はどこにあるのでしょうか。
専門知識を客観的に証明できる
屋外広告士試験では、法令、デザイン、構造、施工まで幅広く問われます。
そのため、合格していること自体が、屋外広告物について一定水準以上の専門知識と技術を持っていることの証明になります。
お客様からの信頼につながる
看板は、設置して終わりではありません。
長期間、雨や風、紫外線にさらされるため、腐食、ひび割れ、ボルトの緩みなどが発生することがあります。
屋外広告士がいる事業者であれば、デザインだけでなく、構造や安全まで考えて施工・管理しているという安心感につながります。
安全点検でも活躍できる
自治体によっては、一定規模以上の屋外広告物について、有資格者による安全点検を求めています。
岡山県では、広告物などの上端が地上から4メートルを超えるものについて、許可更新時に有資格者による点検報告が必要とされており、屋外広告士はその有資格者の一つに挙げられています。
屋外広告士がいれば、すべての手続きができるわけではない
屋外広告士は、看板の設計・施工・安全管理などに関する専門資格です。
しかし、屋外広告士がいるからといって、看板に関する登録や許可がすべて不要になるわけではありません。また、屋外広告士だけですべての手続きを行えるわけでもありません。
屋外広告業の開始や看板の設置に当たっては、看板の種類、設置場所、大きさ、構造などに応じて、次のような手続きが関係します。
- 屋外広告業の登録
- 営業する自治体への特例届出
- 屋外広告物の表示・設置許可
- 道路占用許可
- 道路使用許可
- 工作物の建築確認
- 電気工事業に関する登録・届出
- 電気工事士による電気工事
例えば、道路上に突き出して看板を設置する場合には、屋外広告物条例による許可だけでなく、道路占用許可や道路使用許可が必要になることがあります。
また、大型の看板では建築基準法に基づく工作物の確認申請が必要になる場合があり、照明付きの看板では電気工事に関する資格や手続きも確認しなければなりません。
このように、看板の設置には複数の法律や行政機関が関係することがあります。
屋外広告士と行政書士は役割が異なります
屋外広告士は、看板の設計、施工、点検、安全管理などを担う専門家です。
一方、屋外広告士は、他人から報酬を受けて官公署へ提出する許可申請書類を作成するための資格ではありません。
官公署に提出する許認可申請書類の作成や提出手続きは、行政書士が取り扱う専門分野です。
それぞれの役割を整理すると、次のようになります。
- 屋外広告士
看板の設計、施工、構造、安全管理、点検などの専門家 - 行政書士
屋外広告業登録や屋外広告物許可など、官公署へ提出する申請書類の作成・提出手続きの専門家
屋外広告士と行政書士が、それぞれの専門分野を生かして連携することで、法令に適合した、安全で適正な看板の設置につながります。

屋外広告業を始める場合は、まず資格の有無を確認しましょう
これから屋外広告業を始めようとする場合、まず社内に業務主任者になれる人がいるかを確認しましょう。
看板会社で働いていた経験がある人でも、必ずしも屋外広告士や講習会修了資格を持っているとは限りません。
次のような点を確認しておくとよいでしょう。
- 屋外広告士の資格を持っているか
- 屋外広告物講習会を修了しているか
- 広告美術仕上げ技能士などの資格があるか
- 過去の勤務先で講習会を受講していないか
- 看板製作・設置の実務経験が何年あるか
- 修了証や合格証を保管しているか
資格がない場合は、まず屋外広告物講習会を受講する方法を検討します。
すでに3年以上の実務経験がある場合は、屋外広告士試験への挑戦も選択肢になります。
まとめ
ということで、今回は 屋外広告士とはどのような資格なのか?屋外広告業の業務主任者とどのような関係があるのか?そして、どうすれば屋外広告士になれるのかを解説しました。
今回のお話 いかがでしたでしょうか。
屋外広告士は、屋外広告物に関する法令、デザイン、構造、施工、安全管理などについて、専門的な知識と技術を持っていることを認定する資格です。
行政書士や司法書士のような業務独占資格ではありませんが、屋外広告業の登録で必要となる業務主任者になることができます。
ただし、業務主任者になれるのは屋外広告士だけではありません。
自治体が実施する屋外広告物講習会の修了者や、広告美術仕上げに関する技能検定の合格者なども、一定の要件を満たせば業務主任者になれる場合があります。
これから屋外広告業を始める場合は、次の点を一つずつ確認することが大切です。
- 屋外広告業の登録や届出が必要か
- 社内に業務主任者になれる人がいるか
- 屋外広告物講習会の受講が必要か
- 看板ごとに表示・設置許可が必要か
- 営業する自治体への特例届出が必要か
- 電気工事、道路占用、建築確認など、別の手続きが関係しないか
「小さな看板だから大丈夫だろう」
「店舗から依頼を受けて取り付けるだけだから、特別な手続きは必要ないだろう」
と思われるかもしれません。
しかし、看板の大きさだけでなく、設置する場所、表示方法、構造、照明の有無などによって、必要な登録や許可は変わります。
知らずに営業を始めてしまうと、屋外広告業の登録だけでなく、個別の看板に必要な許可や届出が漏れてしまう可能性があります。
屋外広告業への新規参入を検討されている事業者様は、実際に営業を始める前に、必要となる登録、資格、許可を整理しておきましょう。
屋外広告業の登録・届出は当事務所へご相談ください
当事務所では、屋外広告業を始めたい事業者様からのご相談を受け付けています。
- 屋外広告業の登録申請
- 自治体への特例届出
- 業務主任者の資格要件の確認
- 個別の看板に関する屋外広告物許可
- 関係する手続きの整理
- 行政機関への事前確認
屋外広告業は、営業する自治体や看板の設置場所によって、必要な手続きが異なることがあります。
「何から確認すればよいか分からない」
「自社の社員が業務主任者になれるのか知りたい」
「屋外広告業登録と看板の設置許可の違いが分からない」
そのような段階からでもご相談いただけます。
看板の製作・設置という新しい事業を、適正な手続きでスタートできるようサポートいたします。
行政書士やまもと事務所
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