役所に申請をする際には、「許可」が必要な手続きと、「届出」で済む手続きの2つがあります。
この違い、分かりますか?
行政書士や行政書士受験生であればスッと答えられるかもしれませんが、一般の方にとっては なんとなく聞いたことはあるけれど、はっきり説明するのは難しい ものだと思います。
心の中で、
「許可って厳しそう…」
「届出って軽いやつ…?」
「いや、そもそも何が違うの???」
と モヤモヤ した経験のある方も多いはずです。

今回は、そんなモヤモヤをスッキリ解消するために、「許可」と「届出」の違いを、やさしく・分かりやすく解説します。
実はこの違いを分かりやすく説明できる手続きがあります
それが 農地 です。
一見すると 「自分の土地なんだから自由に使っていいでしょ?」と思いがちな農地ですが、
- 相続する場合は「届出」
- 他人に売る場合は「許可」
と、手続きの重さがまったく違います。
なぜ同じ「農地」なのに、相続と売買で必要な手続きが変わるのでしょうか?
理由は、法律が守りたいものが違うからです。
そもそも「許可」と「届出」って何?
| 手続きの種類 | 一言で言うと | 行政の役割 |
|---|---|---|
| 許可 | 原則ダメな行為を、例外的にOKにしてもらうこと | 「審査してよければ認めます」 |
| 届出 | やってもいい行為を、行政に知らせておくこと | 「内容を確認して把握しておきます」 |
つまり、
「許可」=コントロールが必要な行為
「届出」=情報を共有しておきたい行為
という違いです。
農地を例にすると違いがよく分かる
相続のときは「届出」
農地を相続で取得するのは、あくまで家族の間で財産が引き継がれるだけ。
誰に迷惑をかける行為でもなく、社会的な影響もほとんどありません。
つまり 行政としては、「誰が新しい所有者になったのか」だけを把握しておけば十分。
だから 届出 でOKなんですね。
売買のときは「許可」
一方で、農地を他人に売る・貸すとなると話は別です。
買い手が農業をやめて宅地に変えてしまえば、地域の農地がどんどん減ってしまいます。
日本の法律(農地法)は、「農地は農業のために守る」 という考え方に基づいています。
そのため行政は、
「この人に売って本当に大丈夫か?」
「農業を続ける意思はあるか?」
といった点を審査して確認する必要があります。
これが 許可 です。

もっと直感的に解説してみる(例え話)
もっと身近な例えば話として、車や引っ越しの例で考えてみましょう。
車を運転するには「免許(=許可)」が必要
車の運転は便利ですが、使い方を誤ると人の命に関わる行為です。
だから国は「誰でも自由に運転していい」とはしていません。
一定の条件を満たした人だけが運転できるようにしています。
これが 許可 です。
もし運転免許が届出制だったら…?
想像するだけで、交通事情がメチャクチャになりますよね。
引っ越しは「転入届・転出届(=届出)」でOK
一方、住む場所を変えること自体は自由です。
行政は「誰がどこに住んでいるか」を確認したいだけ。
だから引っ越しは届出で済みます。
もしこれが許可制だったら…?
「引っ越していいか役所に審査される」
なんて世界、カオスですよね。
つまり、
- 社会的リスクが大きい行為 → 許可
- 行政が情報を把握しておきたい行為 → 届出
ということなんです。
まとめ|「許可」と「届出」は行政の関わり方の違い
ここまでの内容をまとめると、
- 許可=原則ダメをOKにするもの
- 届出=自由にできるけど報告が必要なもの
そして農地の場合は、相続は「財産の承継」で自由にしていいけれど、売買は「社会的影響がある」から行政の審査が必要。
だから手続きが違う、というわけです。
行政書士があなたをサポートします
運転免許(許可)や転入届・転出届はみなさんご自身でできる手続きだと思います。
でも――
- 飲食店を開業したい
- 建設業の許可を取りたい
- 産業廃棄物の許可を申請したい
そんな 事業に関わる手続き になると、役所への申請書類は一気に複雑になります。
そんな時に助けてくれるのが 行政書士 です。
行政書士は名前の通り、「行政(役所)に提出する書類の専門家」。

警察署、県庁、市役所など、さまざまな行政機関に対して行う 許可や届出の手続き をあなたの代わりに行うことができる国家資格 です。
「これって許可なの?届出なの?」
「どんな書類を出せばいいの?」
「申請のタイミングはいつ?」
そんな疑問が出たときには、ぜひ一度、行政書士にご相談ください。
あなたの状況に合わせて、最適な手続きの方法 を一緒に考えます。
行政書士やまもと事務所
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