岡山県倉敷市で行政書士をしている山本です。
今日は私自身も最近気にかけている「墓じまい」についてお話したいと思います。
私は高知県の出身で、今は岡山県で暮らしています。
高知の実家には両親が健在ですが、私を含めて子どもたちは皆県外で家庭を持っています。
私は長男ということもあり、いつかは「墓じまい」を考えなければならない——
そんな思いが頭をよぎることがあります。
実はこれは、私だけの問題ではありません。
地方に実家があり、親世代が高齢になりつつある中で、「お墓をどうするか」という悩みは、多くの日本人が抱えるテーマになっています。

戦後から平成にかけては、「先祖代々のお墓を守る=家の責任」という価値観が当たり前でした。
しかし令和のいま、
- 地方の実家を離れて暮らす子世代
- 宗派や檀家制度との関係が薄れつつある社会
- 永代供養や散骨など“新しい供養の形”の登場
こうした時代の変化によって、お墓の承継が現実的に難しくなっている家庭が増えています。
まさに「墓じまい」は、“誰か”の問題ではなく、“いつかの自分”の問題なのです。
墓じまいとは何か?改葬許可という法的手続
「墓じまい」という言葉はよく聞くようになりましたが、実は法律上は「改葬(かいそう)」という手続にあたります。
つまり、お墓から遺骨を取り出し、別の場所に移すこと。
この改葬を行うには、市区町村長の許可が必要になります。
根拠となるのは「墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)」第5条で、
墓地以外の区域に埋葬、又は埋蔵されている焼骨を改葬しようとする者は、あらかじめ市町村長の許可を受けなければならない。
と定められています。
つまり、「墓石を撤去したい」「遺骨を永代供養墓に移したい」と思っても、新しい納骨先が決まっていないと申請できません。
役所が発行する「改葬許可証」は、移転先の受け入れが確定して初めて交付される仕組みです。

改葬許可申請に必要な書類
役所によって細部は異なりますが、主な書類は次のとおりです。
| 書類名 | 発行者・入手先 | 目的 |
|---|---|---|
| 改葬許可申請書 | 改葬先の市区町村役場 | 改葬の正式な申請書 |
| 受入証明書 | 新しい墓地・納骨堂の管理者 | 移転先が確定している証明 |
| 埋葬証明書 | 現在の墓地管理者(寺院・霊園など) | 遺骨が確かに埋葬されている証明 |
| 同意書(必要に応じて) | 親族や墓地使用権者 | トラブル防止のための同意書 |
これらの書類を整え、役所で申請を行うことで「改葬許可証」が発行されます。
この許可証をもって、石材店が遺骨の取り出しや墓石の撤去を進める流れとなります。
家族や寺院との合意が何よりも大切
手続そのものはシンプルに見えますが、
実際に墓じまいを進めると、もっとも難しいのが人間関係の調整です。
家族・親族の合意
墓じまいは、先祖供養の形を変える重大な決断です。
名義人ひとりの判断で進めてしまうと、「なぜ相談もなく墓を移したのか」と親族間のトラブルになることもあります。
そのため、行政書士としても家族全員の同意書や署名を取っておくことを強くおすすめします。
形式よりも「皆で納得して進めること」が何より重要です。
寺院墓地の注意点
特に寺院墓地の場合、管理者(住職)への説明が欠かせません。
檀家として長年関係を築いてきた場合、墓じまい=離檀(檀家離脱)を意味します。
そのため、次のような点に注意が必要です。
- 事前に住職へ丁寧に説明する
- 閉眼供養(魂抜き)の実施と日程調整
- 永代供養料や離檀料の確認
- 石材店が寺の指定業者かどうかの確認

中には「撤去は指定の石材店に限る」と定めている寺院もあり、無断で進めるとトラブルに発展することがあります。
昭和の風習と令和の現実
墓じまいをめぐる世界には、いまもなお昭和の慣習が色濃く残っています。
たとえば——
- 「墓は長男が守るもの」
- 「寺を離れるのはご先祖に背くこと」
- 「指定業者以外に頼むのは失礼」
こうした考え方は、戦後の家制度や地域社会の名残でもあります。
しかし現実には、親を想う気持ちはあっても距離や生活環境が違うという家庭が増えています。
まさに「信仰」と「現実」のバランスをどう取るかが問われている時代です。

行政書士ができるサポート
行政書士は「改葬許可申請」という法的手続の専門家として、次のようなサポートが可能です。
- 改葬許可申請書の作成・提出代行
- 親族同意書や離檀届の作成支援
- 永代供養・納骨堂契約の書面チェック
- 墓地使用権や名義確認のアドバイス
- 閉眼供養・撤去工事に関する行政手続の確認
特に地方では、役所・寺院・業者の窓口がそれぞれ異なり、慣れない方にとってはどこから手をつけていいか分かりにくいものです。
行政書士が関わることで、手続をスムーズに進め、精神的な負担を軽減できます。
まとめ:ご先祖を想いながら、現実に寄り添う選択を
私自身も、いつか高知の実家のお墓について考える日が来ると思います。
お墓は「心のよりどころ」である一方で、遠方に暮らす家族にとっては「現実的な負担」でもあります。
だからこそ大切なのは、ご先祖を敬う気持ちを大切にしつつ、現代の暮らしに合った形を選ぶこと。
「墓じまい」という言葉は冷たく聞こえるかもしれませんが、本質は“ご先祖を次の世代につなぐための整理”です。
行政書士として、そして一人の家族として、そうした想いに寄り添いながら、安心して手続を進められるようサポートしていきたいと思います。
行政書士やまもと事務所について
「墓じまい」や「改葬手続き」は、家族や宗教、法的な要素が複雑に絡み合う手続です。
岡山県倉敷市にある行政書士やまもと事務所では、こうしたご相談に寄り添いながら、必要書類の作成や役所への申請サポートを行っています。
- 改葬許可申請書の作成・提出代行
- 寺院・霊園管理者との調整文書の作成支援
- 永代供養墓・納骨堂との契約書チェック
- 家族間での合意書作成(トラブル防止のため)
ご先祖を想う気持ちを大切にしながら、現代の生活スタイルに合わせた“安心の整理”をサポートいたします。
行政書士やまもと事務所
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