最近よく見かけるようになった「無人販売店」。
冷凍餃子やスイーツ、古着や雑貨など、人を置かずに営業できるお店が次々と登場しています。
「人件費をかけずにお店ができるなら、私もやってみたい!」
「無人だから自由に開業できるのでは?」
そんな声もよく聞きます。
しかし、実際には無人販売店でも商品によって許認可や届出が必要になります。
今回は これから無人販売店を始めようと考えている方に向けて、必要な手続きや注意点をやさしく解説します。
無人販売店とは?
無人販売店とは、従業員を常駐させず、冷凍庫や陳列棚に商品を置き、購入者が自由に持ち帰る形式のお店のことです。
料金はレジではなく「料金箱」や「キャッシュレス決済」で受け付けるスタイルが一般的です。
有名な例としては「無人餃子販売店」。
24時間営業で気軽に買えるため、全国に広がっています。
また、最近では「無人古着屋」「無人スイーツ店」「無人お菓子屋」なども増えてきました。

「無人だから自由に営業できる」は誤解です
「人を置かない=規制がない」と考える方も多いのですが、それは誤解です。
実際には、販売する商品の種類ごとに法律で定められたルールがあり、無人であっても遵守しなければならないのです。
特に注意が必要なのは以下の3つです:
- 食品販売(冷凍餃子・スイーツなど)
- 古着・中古品販売(古物商に該当)
- 新品商品販売(酒・たばこ・医薬品などは要許可)
それぞれ順番に解説していきます。
食品を扱う無人販売店の場合
飲食店営業許可は不要
その場で調理や加工をしない場合、通常の「飲食店営業許可」は不要です。
例えば 冷凍餃子や冷凍ケーキを仕入れて販売するだけなら、飲食店のような許可はいりません。
営業届出が必要(食品衛生法)
ただし、2021年6月に改正された食品衛生法によって、すべての食品販売事業者は「保健所への営業届出」が義務化されました。
無人販売店も例外ではありません。
営業開始前に保健所へ届け出を出す必要があります。
食品表示のルール(食品表示法)
さらに、販売する食品には次の表示が必要です。
- 名称(商品名)
- 原材料名(アレルギー表示含む)
- 内容量
- 賞味期限
- 保存方法
- 製造者・販売者の氏名・住所
これらを表示しないと、食品表示法違反として指導・改善命令を受けることもあります。
ポイント
- 営業届出を忘れない
- ラベル表示は必ず整備する
- 冷凍庫の温度管理・衛生管理も重要
古着・中古品を扱う無人販売店の場合
古物商許可が必要
中古の洋服・雑貨などを販売する場合は、古物営業法に基づいて「古物商許可」が必要です。
これは警察署(公安委員会)が窓口になります。

許可が下りるまで営業はできない
古物商許可は書類を受理されてから標準で40日間程度の審査期間がかかります。
このため「早めに申請しておかないと開業が遅れてしまう」という点に注意が必要です。
しかも、許可が下りる前に営業を始めることは法律違反となりますので、必ず許可取得後に営業を開始しましょう。
管理者は必要
「無人販売店」だからといって、完全に誰も責任を持たないわけにはいきません。
古物商許可の申請では「管理者」を定めて登録する必要があります。
ポイント
- 古着や中古品は「無人」でも必ず許可が必要
- 許可申請から許可が下りるまで数週間〜1か月かかることもある
- 販売前に余裕を持って準備しておくことが大切
新品商品を扱う無人販売店の場合
新品の商品を仕入れて販売するだけであれば、基本的に許可は不要です。
ただし、販売する商品によっては次のような個別の規制があります。
- 酒類 → 酒類販売業免許(国税庁)
- たばこ → 小売販売業の許可(財務局)
- 医薬品・化粧品 → 薬機法に基づく許可(厚生労働省管轄)
つまり「新品なら全部自由」ではなく、品目によってしっかり確認が必要です。
無人でもすぐに営業できるわけではありません
無人販売店は「無人だからすぐに始められる」と思われがちですが、実際には以下の点に注意が必要です。
- 営業届出や許可申請に時間がかかる
→ 食品販売の届出、古物商許可の取得などは、数日〜数週間必要になることがあります。 - 設備を整える必要がある
→ 冷凍庫の衛生基準、防犯カメラの設置など、法律上や実務上の要件を満たさなければなりません。 - 責任者を定める必要がある
→ 無人店舗でも、トラブル対応や行政への窓口となる責任者を必ず置く必要があります。

まとめ
無人販売店は便利で新しいビジネスモデルですが、決して「無許可で自由に始められる」わけではありません。
- 食品 → 保健所への営業届出+食品表示が必要
- 古着や中古品 → 古物商許可が必要
- 新品商品 → 原則自由だが、酒・たばこ・医薬品などは要許可
無人販売店を成功させるには、開業前にしっかりとルールを確認して準備を進めることが大切です。
行政書士やまもと事務所のサポート
行政書士やまもと事務所では、無人販売店の開業に必要な手続きをサポートしています。
- 食品販売に必要な営業届出
- 古物商許可申請の書類作成・手続き代行
- 各種許認可に関するご相談
「無人だから大丈夫だろう」と思って始めたあとに、行政からの指導や営業停止になるケースもあります。
そうなる前に、準備段階から専門家に相談しておくことをおすすめします。
無人販売店の開設を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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