~岡山・倉敷で増えている理由と「捕まえたらお金」の本当の話~
ジョギングコースの“謎の動物”――その正体は?
最近、ジョギング中に川沿いや用水路で、丸っこい体の動物を見かけることが増えてきました。
一見すると、カピバラ? ビーバー?
…いや、ちょっと違う。
その正体は
――「ヌートリア」。
泳ぎが得意で、草を食べている様子はなんだか可愛い。
のそのそ歩いて、時には「ドボン」と水に飛び込んで逃げていく姿もユーモラスです。
岡山や倉敷では、近年ますます目撃が増えています。
実は“外来生物”――なぜ日本に?
ヌートリアは南米生まれ。
もともとは第二次世界大戦の前後、毛皮を取るために日本へ持ち込まれた動物です。

しかし時代とともに野生化し、いまや岡山・倉敷エリアを含む西日本各地にすっかり定着。
川や田んぼ、用水路で「ごく普通に」見かけるようになりました。
◼️ 特定外来生物ヌートリア
https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/files/r_nutria_shikoku.pdf
かわいいだけじゃない!ヌートリアが“有害鳥獣”な理由
そんなヌートリア。
見た目はちょっとユーモラスで可愛いけれど、
実は農家さんや地域にとって頭の痛い“有害鳥獣”です。
- 水田や畑の作物を食い荒らしてしまう
- 用水路や堤防に穴をあけて壊してしまう
- 繁殖力が強く、あっという間に増えてしまう
- 在来のカメや魚など、他の生き物のすみかも奪ってしまう
とくに農業が盛んな岡山や倉敷では、「せっかく育てたお米や野菜がやられた」なんて話も珍しくありません。
「捕まえたらお金がもらえる」って本当?
昔から、「ヌートリアを捕まえて市役所に持って行ったら、お金がもらえるらしいよ」という話を聞いたことがある方もいるのでは?
結論から言うと
――本当です!
岡山県や岡山市などでは、有害鳥獣(ヌートリア等)の捕獲に対して、1頭につき1,000円~2,000円程度の奨励金を交付する制度が今も存在しています。
でも、誰でも“気軽に捕まえて持っていけばOK”ではありません
ここが大事なポイントです!
「免許や行政の許可もなく、勝手にヌートリアを捕獲して市役所に持ち込んでも、奨励金はもらえません。」
それどころか――
狩猟免許や行政の許可を得ずに捕まえると、「鳥獣保護管理法」などの法律違反になる可能性もあります。
実際に奨励金をもらうには、
- 「わな猟」などの狩猟免許がある
- 行政の許可や委託がある
- 書類など決められた手続きを守っている
…このような条件を満たす必要があります。
地域で捕獲や申請をしているのは、猟友会など有資格者の方たちです。
私たち一般市民が気軽に「捕まえて一儲け」というわけにはいきません。

見かけたときはどうしたらいい?――“触らず・そっと見守る”が大切
ヌートリアは、基本的には人に危害を加えることはありません。
でも、かわいいからといって近づきすぎたり、餌をやったりするのは絶対にNG。
また、ヌートリアは細菌を持っている可能性もあるので、安易に触れることは避けましょう。
もし川沿いなどで見かけたら、「ここで見たよ」と市役所や地域の環境課・農政課に情報提供するのが一番です。
無理に捕まえようとせず、自然のままに“そっとしておく”のがベストです。
まとめ――身近な自然との付き合い方を考えよう
ヌートリアは、ジョギングコースのちょっとした“珍客”でありながら、
農家さんや地域の暮らしを守る立場から見ると、しっかり対策しなければならない「有害鳥獣」でもあります。
かわいいからといって気軽に手を出すことなく、
「知る・知らせる・ルールを守る」を心がけて、
岡山・倉敷の自然や暮らしをこれからも大切にしていきたいですね。
行政書士やまもと事務所
🏠 岡山県倉敷市
🌐 https://tora-no-maki.com
※本記事の情報は2025年7月時点のものです。
制度やルールは地域によって異なる場合があります。
詳しくはお住まいの自治体や行政窓口にご確認ください。


