みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
今回は 2026年10月1日に施行されるハラスメント対策法改正についてお話します。
先日、ある事業者さんとお話ししていた際、今回の法改正が話題になりました。
「10月からハラスメント対策が変わるみたいだけど、うちは接客業じゃないから、カスハラ対策は関係ないですよね?」

いえいえ、実はそうではありません。
接客業でなくても、カスハラ対策は関係があります。
2026年10月1日から、カスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」を防止するための措置が、すべての事業主に義務付けられます。
さらに同じ日から、就職活動中の学生やインターン生などに対する「求職者等へのセクシュアルハラスメント」、いわゆる就活セクハラ対策も義務化されます。
「10月になってから考えればいいか」と思っていると、夏休みの宿題を8月31日に開く小学生のような状況になりかねません。
そこで今回は、2026年10月のハラスメント対策法改正について、中小企業が今から準備しておきたいポイントをわかりやすく整理します。
2026年10月1日から何が変わる?
今回の改正の大きなポイントは、次の2つです。
- カスタマーハラスメント防止措置の義務化
- 求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止措置の義務化
実は今回の法改正は突然やってくるわけではありません。
事業主に求められる具体的な対策については、厚生労働省から2026年2月26日にすでに指針が告示されています。
つまり、「そのうち詳しい内容が決まる」という段階ではありません。
会社として何を準備すべきかは、すでにかなり具体的に示されています。
そのため、10月の施行を待ってから対応を始めるのではなく、今のうちに社内規程や相談窓口、対応体制などを確認しておくことが大切です。

カスハラ対策は接客業だけの話ではありません
カスハラに該当する3つの要素
職場におけるカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」は、次の3つの要素をすべて満たすものとされています。
- 顧客、取引先、施設利用者などからの言動である
- 業務の性質などに照らして、社会通念上許容される範囲を超えている
- その言動によって労働者の就業環境が害される
ここで特に注目したいのが、対象となるのは「顧客」だけでなく、取引先の担当者なども含まれるという点。
そのため、カスハラ対策は接客業だけの問題ではありません。
たとえばBtoB企業でも、「今日中に何とかしろ」「契約外だけど無料で対応して」「担当者を今すぐ家まで謝りに来させろ」といった社会通念上許容される範囲を超える要求を受ける可能性があります。
つまり、製造業や建設業、運送業、士業、IT企業などでも、「うちは一般のお客様を相手にする仕事ではないから関係ない」とはいえないわけです。

一方で、ここは少し注意が必要です。
顧客や取引先からの苦情・クレームが、すべてカスハラになるわけではありません。
たとえば、商品やサービスに実際に問題があり、その改善や説明を社会通念上相当な範囲で求めることは、正当な申入れと考えられます。
ですから、カスハラ対策を始めたからといって、「クレームは全部カスハラです。受け付けません!」としてしまうのは、さすがに少々乱暴です。
大切なのは、正当な苦情や要望と、従業員の就業環境を害するような過度な要求・言動とを、会社として適切に区別できるようにしておくことです。
会社に求められるカスハラ対策とは
2026年10月以降、事業主にはカスタマーハラスメントを防止するための体制整備が求められます。
具体的には、以下が重要になります。
- カスハラを許容しないという会社方針の明確化・周知
- 従業員が相談できる窓口の整備
- 相談があった場合の迅速な事実確認
- 被害を受けた従業員への配慮
- 再発防止策の実施
- 相談者などのプライバシー保護
- 相談したことを理由とする不利益な取扱いの禁止
特に確認しておきたいのが、ハラスメント防止規程や就業規則などの社内ルールです。
すでにパワハラ・セクハラ防止規程がある会社であれば、そこへカスハラに関する内容を追加する方法も考えられます。
ただし、一文追加して終了というより、相談窓口や対応手順まで含めて「実際に事件が起きたときに動ける状態」にしておくことが大切です。

就活セクハラ対策も2026年10月から義務化
もう一つ忘れてはいけないのが、求職者等に対するセクハラ対策です。
対象になるのは、求人への応募者だけではありません。
採用活動やインターンシップなどに参加する学生等も対象となります。
たとえば、以下の場面は注意が必要です。
- 「OB訪問だから」と社員と学生を二人きりにする
- 採用担当者が個人のSNSで応募者に連絡する
- 面接後に個人的な食事へ誘う
もちろん、食事に誘っただけで直ちにセクハラという話ではありません。
しかし、採用する側と応募する側には立場の差があります。
「社員個人に任せています」ではなく、会社として採用活動のルールを決めておくことが重要です。

中小企業にも猶予期間はある?
ここで気になるのが、中小企業にも猶予期間があるのかという点です。
法改正によっては、まず大企業から適用され、その後に中小企業へ広げられるケースもありますよね。
そのため、「うちは従業員が数人の会社だから、対応はもう少し先でいいですよね?」と思われる事業者さんもいらっしゃるかもしれません。
しかし、ここは注意が必要です。
今回のカスハラ対策と求職者等へのセクハラ対策については、中小企業だけ施行時期を遅らせる猶予期間は設けられていません。
2026年10月1日から、企業規模にかかわらず、すべての事業主が義務の対象となります。
つまり、「まずは大企業だけ」「中小企業は来年から」という話ではありません。
従業員数が少ない会社であっても、10月1日の施行に向けて、社内規程や相談窓口、対応体制などを確認しておく必要があります。
「うちは小さい会社だから、まだ大丈夫」と思っていると、気づいたときには施行直前……なんてことにもなりかねません。
今回の改正については、会社の規模ではなく、事業主である以上は対応が必要と考えて、早めに準備を進めておくことが大切です。

まずはハラスメント防止規程の棚卸しを
では、会社は何から始めればよいのでしょうか。
まずおすすめしたいのが、現在のハラスメント防止規程や社内ルールの棚卸しです。
確認したいポイントは次の3つです。
- カスハラと求職者等へのセクハラについて規定があるか
- 相談窓口や相談後の対応手順が決められているか
- 管理職・現場担当者・採用担当者にルールが周知されているか
規程を作って社内のファイルに保存し、「これで完璧」と安心してしまうのはおすすめできません。
規程はお守りではありませんので、机の引き出しに入れているだけでは効力を発揮してくれません。
実際に相談があったとき、誰が話を聞き、誰が判断し、どのように従業員を守るのか。
そこまで考えて初めて、実効性のあるハラスメント対策になります。

まとめ|2026年10月までに社内規程を確認しましょう
ということで、今回は、2026年10月施行のハラスメント対策法改正について、中小企業が今から準備しておきたいポイントを整理しました。
今回のお話 いかがでしたでしょうか。
2026年10月1日から、カスハラ対策と就活セクハラ対策が事業主の義務になります。
接客業だけではなく、取引先と関わるBtoB企業も対象です。
また、採用活動を行っている会社では、応募者やインターン生などへのセクハラ防止についてもルールを整備する必要があります。
まずは現在のハラスメント防止規程や就業規則を確認し、「カスハラについて何も書いていない」「相談窓口はあるけれど、誰が対応するか決まっていない」「採用担当者向けのルールを作っていない」という場合は、施行前に見直しておくと安心です。
当事務所では、ハラスメント防止規程の作成・見直しや、社内規程への反映についてご相談を承っています。
「うちの規程で2026年10月の改正に対応できているか、一度確認してほしい」という段階でも構いません。
施行直前に慌てて規程とにらめっこすることにならないよう、早めに準備を進めておきましょう。
ハラスメント防止規程の見直しについては、お気軽にお問い合わせください。
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