みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
今回は、学習塾での出来事をきっかけに、契約・サービス提供・説明責任について考えたことを書いてみたいと思います。
先日、家族と学習塾について話をする機会がありました。
きっかけは、こんな一言です。
「塾を変えた方がいいんじゃない?」
最初は、先生との相性や授業の雰囲気の話かなと思っていました。
しかし、よくよく聞いてみると、どうやら単なる「合う・合わない」の問題ではなさそうでした。

今回のお話しは、行政書士としても、そして一人の利用者側の立場としても、なかなか考えさせられる出来事。
笑いごとではないのですが、ちょっとだけ笑いを入れないと、法律の話は眠気との契約が成立してしまいますので……。
少々小難しい話もありますが、最後までお付き合い下さい。
入塾時の説明と実際のサービスが違っていた
冒頭でも書いたとおり、我が家では現在、子供が通っている学習塾を変えようかと検討しています。
その理由は、入塾時に受けた説明と、現在提供されているサービス内容が違っているからです。
入塾前の説明では、次のような内容だったそうです。
- 自習室は毎日利用できる
- 利用時間は午後3時から夜まで
- 自習中も先生に質問できる
学校が終わったら、そのまま塾へ行く。
自習室で勉強しながら、分からないところは先生に質問できる。
これは、保護者にとっても本人にとっても、とても魅力的な環境です。
「家ではなかなか集中できない」
「分からないところをすぐ聞ける環境がほしい」
「学習習慣をつけたい」
こうした理由で塾を選ぶご家庭も多いと思います。
ところが、数か月後。
塾長やスタッフの退職が影響したのか、自習室の開始時間が午後3時から夕方へ変更されました。
しかも、当初は「一時的な対応」と説明されていたにもかかわらず、数か月経っても元に戻らない。
さらに、質問できる先生もほとんどいない。
結果として、実質的には「自習室を借りているだけ」のような状態になってしまったそうです。
毎月高い授業料を支払っている立場からすると、「話が違うじゃないか」と感じるのも無理はありません。
自習室のつもりで入ったのに、気づけば「静かな部屋レンタル」になっていた。
これでは、保護者としてもモヤモヤします。

学習塾の契約は「結果」ではなく「サービス提供」が中心
ここで少し、法律的な視点から考えてみます。
学習塾は、通常、「必ず成績を上げます」「必ず志望校に合格させます」という契約ではありません。
もちろん、塾としては成績向上や合格を目指して指導するわけですが、契約の中心は「結果の保証」ではなく、次のような役務提供です。
学習塾が提供する主なサービス
- 授業を行うこと
- 自習室などの学習環境を提供すること
- 質問対応を行うこと
- 学習相談や進路相談を行うこと
つまり、学習塾の契約は、継続的にサービスを提供する契約と考えることができます。

そのため、入塾時に説明されていた内容と実際のサービスが大きく異なる場合、「当初約束していたサービスが提供されていないのではないか」という問題が出てきます。
もちろん、人員不足や退職など、塾側にも事情はあるでしょう。
中小企業や個人事業でも、人の入れ替わりは避けられないことがあります。
しかし、それによって契約の重要な内容が変わるのであれば、利用者への十分な説明が必要です。
「一時的です」と言われたまま数か月。
これは、利用者からすると「一時的とは?」と辞書を引きたくなる状況です。
契約で大切なのは「説明」と「納得」
契約というと、どうしても難しく聞こえます。
「民法がどうの」
「債務不履行がどうの」
「契約解除がどうの」
このあたりの言葉が出てくると、急に法律の授業感が出ます。
学生時代なら、そろそろ机におでこが近づく時間です。
ただ、契約の本質はとてもシンプルです。
約束したことを、きちんと提供する。
これに尽きます。
そして、事情が変わった場合には、「きちんと説明して、相手に理解してもらう努力をする。」
これも大切です。
たとえば、塾側が次のように説明していれば、受け止め方は少し違ったかもしれません。
利用者に伝えるべき内容
- なぜ自習室の利用時間が変わったのか
- いつ頃元に戻る見込みなのか
- 質問対応は今後どうなるのか
- 代わりにどのようなサポートを行うのか
- 授業料や契約内容に変更はあるのか
利用者が不満を感じる原因は、サービス内容の変更そのものだけではありません。
「説明がない」
「いつまで続くのか分からない」
「こちらの不利益が放置されている」
こうした点が、不信感につながります。
これは行政書士の仕事にも当てはまる
この話を聞きながら、私はこう思いました。
「これは自分の仕事にも当てはまるな」
私は行政書士として、補助金に関する顧問契約をいただくことがあります。
当然ですが、「必ず補助金が採択されます」という契約ではありません。
補助金には審査があります。
どれだけ準備しても、必ず採択されるとは限りません。
私がお約束しているのは、結果の保証ではなく、次のようなサービスです。
補助金顧問契約で提供する主な内容
- 補助金情報を継続的に提供すること
- 活用できそうな制度を調査すること
- 申請に向けた準備をサポートすること
- 事業計画づくりの相談に対応すること
- 制度改正や今後の動向をお伝えすること
つまり、補助金顧問契約も、継続的なサービス提供が大切になります。
ここで、もし私が、「今月は使えそうな補助金がありませんでした。以上です。」で終わってしまったらどうでしょうか。
お客様からすると、「顧問契約をしている意味がないのでは?」と思われても仕方ありません。
補助金がある月もあれば、ない月もあります。
しかし、だからといって何も価値を提供しなくてよいわけではありません。
補助金情報だけでなく、制度改正、今後の公募予定、事業計画の見直し、資金繰りの考え方など、お客様の事業に役立つ情報を継続的にお伝えすることが大切だと考えています。

「契約書に書いてあるから」だけでは足りない
契約書はとても大切です。
特に、事業者同士の契約や継続的なサービス契約では、契約書を作成しておくことでトラブルを防ぎやすくなります。
しかし、契約書に書いてあるからそれで十分、というわけではありません。
大切なのは、「お客様が何を期待して契約したのか」をきちんと理解することです。
たとえば学習塾であれば、保護者は単に「授業時間」だけにお金を払っているわけではありません。
- 自習できる環境
- 質問できる安心感
- 学習習慣の定着
- 進路への不安を相談できること
こうした価値にも期待しています。
行政書士の業務でも同じです。
お客様は単に「書類作成」だけを求めているのではなく、以下のような価値を求めているのだと思います。
- 何から始めればよいか分からない不安を解消したい
- 手続きの見通しを知りたい
- 事業に使える制度を知りたい
- 専門家に相談できる安心感がほしい
事業者がサービス内容を変更するときに気をつけたいこと
事業をしていると、事情が変わることはあります。
人員不足、制度変更、経営環境の変化、想定外のトラブル。
どれも現実に起こり得ます。
しかし、提供するサービスの内容を変更する場合には、次の点に注意が必要です。
変更理由をきちんと説明する
なぜサービス内容を変更するのか。
まずは理由を説明することが大切です。
理由が分からないまま変更されると、利用者は不安になります。
いつまで続くのかを伝える
「一時的です」と伝える場合には、できるだけ期間の目安も伝えた方がよいでしょう。
一時的と言われて半年続くと、利用者としては「それはもう準レギュラーでは?」と思ってしまいます。
代替案を示す
元のサービスを提供できない場合、代わりに何ができるのかを考えることも大切です。
たとえば、質問対応が難しいのであれば、質問できる曜日を決める、オンライン対応を行う、別のサポートを用意するなどの方法が考えられます。
契約内容との関係を確認する
サービス内容の変更が契約の重要な部分に関わる場合には、契約内容との関係も確認する必要があります。
場合によっては、契約条件の見直しや、解約・返金などの話になることもあります。

まとめ:契約とは「約束した価値」を届け続けること
今回の出来事は、我が家で起きているちょっとした学習塾でのトラブルに関する話でした。
しかし、これは学習塾だけの問題ではありません。
行政書士業務、補助金顧問契約、各種サービス業、コンサルティング、継続サポート契約など、あらゆる仕事に共通する話だと思います。
契約で大切なのは、難しい言葉ではなく、以下の3つです。
約束したことを、きちんと提供すること。
事情が変わったときは、きちんと説明すること。
お客様が期待している価値を考え続けること。
私自身も、今回の話をきっかけに、自分の仕事を見直す良い機会になりました。
これからも「契約書に書いてあるから」だけではなく、「お客様が本当に期待している価値は何か」を考えながら、丁寧に業務に取り組んでいきたいと思います。
倉敷市周辺で、契約書の作成、補助金申請、顧問契約に関するご相談がありましたら、お気軽にご相談ください。
トラブルになる前の確認が、いちばん安心です。契約書も健康診断も、早めが大事です。
行政書士やまもと事務所
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