サブスク契約が当たり前の時代に
最近では、月額制のクラウドサービスや年会費制の保守契約、
SaaS型ソフトウェアのライセンスなど、定額制で使い続ける「サブスクリプション型」の契約がビジネス現場でも急増しています。
一度契約すれば、期間が来ても自動で継続。
便利な反面、こんな経験はありませんか?
- 「気づいたら1年延長されていた…」
- 「もう使ってないサービスに、毎月請求が来てる…」
これらの“あるあるトラブル”の多くは、契約書の中にひっそり書かれた「自動更新条項」が原因です。
自動更新条項とは?
契約書の中に、こんな条文を見かけたことはないでしょうか?
「本契約の有効期間は1年間とし、期間満了の1ヶ月前までに書面による解約の申し出がない限り、さらに1年間自動的に更新されるものとする。」
これは「自動更新条項」と呼ばれ、解約しない限り契約が自動的に延長される仕組みです。
特に何も言わなければ継続という、一見便利なしくみですが——
内容をよく確認していないと、思わぬ不利益を被ることになります。
自動更新条項に潜む4つの落とし穴
1.通知期限を過ぎると契約が勝手に続く
契約書によっては「契約満了の30日前までに通知がなければ更新」と定められていることがあります。
この期限を1日でも過ぎると、自動的に契約が延長され、解約ができなくなることも。
更新タイミングをうっかり忘れていたせいで、
「使っていないのに費用だけ払う」状態が1年続いてしまったという例も珍しくありません。
2.「合意更新」と思っていたら「自動更新」だった
契約書の更新条項があいまいな表現になっている場合、
「更新には再協議が必要だと思っていた」という認識と、「自動更新だった」という条文が食い違ってトラブルになることもあります。
特に、雛形をそのまま使った契約書では「意図しない自動更新」になっていることも多く、
“思い込み”でサインしてしまうと、意図しない契約延長に巻き込まれる可能性があります。
3.値上げ・内容変更に気づかないまま契約継続
更新時に提供内容が変更されたり、価格が改定されているにも関わらず、
契約自体はそのまま継続しているケースもあります。
「初回は◯◯円だったのに、気づいたら費用が倍になっていた」
「契約書はそのままだが、サービス内容が縮小されていた」
こうしたケースでは、継続利用=同意と見なされてしまい、文句を言うことができません。
契約トラブルの現場ではこんな事例も…
- 支払額が増えたことに気づかず、1年間余分なコストが発生していた
- 解約通知をメールで送ったが、相手は「書面でしか受け付けない」と主張
- 契約書をよく見たら、相手方だけが解除できる不平等な条項があった
このようなケースでは、「契約書を読んでいなかった方が悪い」という結果になることも少なくありません。

契約条項をチェックするポイント
契約書を結ぶ際には、次のような点に注意しておくとトラブルを避けられます。
□「協議更新」に変える
「期間満了時には協議のうえ、改めて契約する」など、自動ではなく合意に基づく更新に変更するだけで安心感が大きく違います。
□ 通知期限と通知方法を明記する
「解約の意思は満了30日前までに」
「書面、または電子メールで通知」など、
更新判断のタイミングと方法を明文化しておくことで、トラブルの未然防止につながります。

□ 更新条件を見直すタイミングを設ける
「契約開始から2年後に契約条件を再協議する」
「報酬条件の見直しは毎年4月」など、
継続とセットで“内容も見直す”ことを契約書に書いておくと、後から困りません。
契約書の事前チェックは専門家にお任せください
更新条項は、一見すると小さな文言のように見えて、1年単位のコスト・リスクに直結する重要なポイントです。
サブスクや業務委託契約など、継続が前提の契約では特に注意が必要です。
当事務所では、以下のようなご相談に対応しています。
- 自社に不利な更新条件が含まれていないかチェックしてほしい
- 相手方から提示された契約書をそのままサインして良いか見てほしい
- 「更新条項の交渉余地があるか」まで含めて検討したい
▶ ご相談はお気軽に:行政書士やまもと事務所
まとめ|更新条項は「沈黙の合意」を生むリスク
契約書をきちんと読み解く力があれば、
「知らないうちに更新されていた」「不利なまま続いていた」といったリスクを未然に防ぐことができます。
- 自動更新の有無を確認
- 解約通知の期限と手段を明確に
- 不利な内容は初回契約時にしっかり交渉
少しでも不安があれば、専門家のリーガルチェックを受けることをおすすめします。
契約は「結ぶとき」より「続けるとき・終わらせるとき」が大事。
更新条項を侮らず、納得できる契約関係を築いていきましょう。
行政書士やまもと事務所
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