みなさん、こんにちは。
岡山県倉敷市の行政書士やまもと事務所の山本です。
今回は 補助金と銀行融資の事業計画書の違いについてお話しします。
新しい事業を始めるときや、大きな設備を導入するときに、「補助金も使いたいけれど、銀行融資も受けたい」と考える経営者の方は少なくありません。
そこでよく出てくるのが、「補助金申請で作った事業計画書を、そのまま銀行に提出してもいいですか?」という質問です。

結論からいうと、そのまま提出することはあまりおすすめできません。
なぜなら、補助金と銀行融資では、そもそも審査する目的が違うからです。
補助金では「この事業に将来性があるか」「新しい取り組みか」といった点が重視されます。
一方で、銀行や信用金庫などの金融機関が特に気にするのは、「貸したお金をきちんと返してもらえるか」という点です。
同じ事業計画書でも、見る人が違えば、気になるポイントも違います。
今回は、補助金と銀行融資の違いや、融資審査で見られるポイント、金融機関向けの事業計画書を作る際の注意点について、わかりやすく解説します。
補助金と銀行融資はココが違う!審査目的の根本的な差
補助金と銀行融資は、どちらも事業に必要なお金を確保するための方法ですが、その性質は大きく異なります。
まずは審査の違いを理解しておきましょう。
補助金審査では「革新性・成長性・政策目的への合致」が重要
補助金には、それぞれ制度の目的があります。
たとえば、「中小企業の生産性を高めたい」「新しい事業への挑戦を後押ししたい」「省力化やデジタル化を進めたい」などです。
そのため補助金の事業計画書では、「この取り組みの何が新しいのか」「どのくらい売上や付加価値が伸びるのか」「補助金の目的に合った事業なのか」といった点を、しっかりアピールする必要があります。
言ってみれば、補助金の計画書は事業の魅力を伝えるプレゼン資料としての性格が強いのです。
融資審査では「確実に返済できるか」が重要
一方、銀行融資や信用金庫・信用組合からの借入では、金融機関が最も重視するのは返済可能性です。
事業内容がどれほど魅力的でも、「売上は伸びます!」「きっと成功します!」だけでは、金融機関としては少し困ってしまいます。
銀行員としては心の中で、「なるほど。で、毎月の返済は大丈夫なん?」と聞きたくなるわけです。
融資審査では、売上や利益だけでなく、現在の借入状況、資金繰り、返済原資、自己資金なども確認されます。

補助金の計画書をそのまま銀行に出すと失敗しやすい理由
補助金申請のために一生懸命作った事業計画書。
「せっかく作ったのだから、銀行にもこれを出せばいいのでは?」と思うのは自然です。
もちろん、事業内容や市場分析など、共通して使える部分はあります。
しかし、金融機関向けには追加した方がよい情報があります。
アピールばかりで「資金繰り・返済計画」が見えない
補助金の計画書では、「新商品を開発して売上を増やします」「新しい設備を導入して生産性を上げます」といった将来の成長を中心に書くことが多くなります。
ところが銀行融資では、「設備代はいくらか」「自己資金はいくら出すのか」「毎月どの程度の返済になるのか」「売上が計画より少なかった場合でも返済できるか」といった数字が非常に重要です。
つまり、補助金向けの事業計画書に加えて、資金調達計画や資金繰り表、返済計画まで見えるようにする必要があります。

補助金が入金されるまでの「つなぎ資金」に注意
また 補助金を利用する際に、特に注意したいのが資金繰りです。
多くの補助金では、採択されたからといって、すぐに補助金が振り込まれるわけではありません。
事業を実施し、設備代や工事代などを支払い、その後に実績報告や審査を経て補助金が支給される、いわゆる精算払い・事後支給の仕組みが一般的です。
たとえば1,000万円の設備投資を行い、後から500万円の補助金が入る予定だとしても、設備業者への支払い時点では1,000万円を準備しなければならないケースがあります。
この期間を乗り切るための資金が、いわゆるつなぎ資金です。
「補助金が500万円出るから大丈夫です」だけではなく、「補助金が入金されるまで、どのように資金を回すのか」まで説明できることが重要です。

融資審査を意識した事業計画書づくり3つのポイント
では、金融機関向けの事業計画書では、具体的に何を意識すればよいのでしょうか。
融資審査を意識した3つのポイントをご紹介します。
①所要資金と調達方法のバランスを明確にする
まず整理したいのが、「いくら必要で、そのお金をどう準備するのか」という点。
たとえば、以下のような形で所要資金と調達方法を整理します。
- 総事業費 1,500万円
- 自己資金 300万円
- 補助金 500万円
- 銀行融資 700万円
金融機関から見ると、必要資金の根拠が明確で、自己資金や補助金、借入のバランスが取れている方が計画を理解しやすくなります。
②返済原資となるキャッシュフローを確認する
融資では「利益が出るか」だけでなく、実際に返済に回せるお金があるかが重要です。
簡易的な考え方として、税引後利益+減価償却費を返済原資の目安として見る方法があります。
たとえば税引後利益が年間300万円、減価償却費が200万円なら、簡易的なキャッシュフローは年間500万円です。
ここから既存借入と新規融資の返済額を考え、無理なく返済できるかを確認します。
③債務償還年数と据置期間も考える
債務償還年数とは、簡単にいえば、「今ある借入を、現在の返済原資で何年程度で返せるか」を見る指標です。
また、新店舗や新規事業では、事業を始めた瞬間から売上が満額になるとは限りません。
オープン直後は売上が安定しない場合もあります。
そのため、必要に応じて元金返済を一定期間待ってもらう据置期間について金融機関と相談することもあります。
最初から無理のない返済計画を組むことが大切です。

倉敷で地銀や信用金庫へ融資相談する際のポイント
倉敷市で事業をされている方の場合、地方銀行や信用金庫、信用組合など地域密着型の金融機関へ相談するケースも多いと思います。
地域金融機関では、決算書の数字だけでなく、「どのような会社なのか」「経営者がどのような考えを持っているのか」「地域でどのような事業を行っていくのか」といった部分も含めて相談を進めていくことがあります。
大切なのは、単に「お金を貸してください」とお願いするのではなく、事業計画・必要資金・返済計画をセットで説明できる状態にしておくことです。

当事務所でも、補助金申請のサポートと並行して、金融機関への説明を意識した5か年の資金収支シミュレーションや返済原資の計算資料などを作成し、融資相談を進めやすい形に整理するお手伝いをしています。
補助金の計画書と金融機関向けの資料をバラバラに考えるのではなく、一つの資金計画としてつなげて考えることが重要です。
まとめ:補助金と銀行融資、両方の視点を持った事業計画書を
ということで、今回は、補助金と銀行融資の違いや、融資審査で見られるポイント、金融機関向けの事業計画書を作る際の注意点について、解説しました。
今回のお話 いかがでしたでしょうか。
補助金と銀行融資は、同じ事業計画をもとに審査されますが、重視されるポイントは異なります。
補助金では、新規性・成長性・制度目的との合致が重要です。
一方、銀行融資では、返済原資・資金繰り・返済可能性が重視されます。
そのため、補助金申請用の事業計画書をそのまま金融機関へ提出するのではなく、以下の点まで整理しておくことが、スムーズな資金調達につながります。
「必要資金はいくらか」
「自己資金・補助金・借入をどう組み合わせるか」
「補助金が入金されるまで資金繰りは大丈夫か」
「借入金を何年で返済できるか」
補助金は採択されたのに、いざ設備代を払おうとしたら「お金が足りない!」では、せっかくの計画も冷や汗ものです。
補助金と融資は、別々に考えるのではなく、最初から一つの資金調達計画として設計することをおすすめします。
倉敷市周辺で、補助金と銀行融資を組み合わせた設備投資、新規事業、新店舗開業などをご検討の方で、「金融機関に提出する事業計画書をどう作ればよいかわからない」「補助金が入るまでの資金繰りが不安」「5年間の収支計画や返済計画を整理したい」という場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。
補助金申請だけでなく、その先にある資金調達まで見据えながら、事業計画の整理をお手伝いいたしますよ。
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