補助金の公募要領を読んでいると、ときどき登場する言葉があります。
「収益納付(しゅうえきのうふ)」
補助金に初めて触れる方の多くが、最初にここでつまずきます。

「儲かったら返せってこと?税金みたいな話?」
と感じられるかもしれませんが、実際はもう少し落ち着いた制度です。
収益納付は「補助金で生まれた利益の調整」のこと
一言でまとめると、こうなります。
補助金をきっかけに事業が想定以上に伸び、
その結果として“利益が大きく増えた場合”、
その増えた利益の一部を返すことがある仕組み。
補助金は、事業を応援するための「投資」に近い考え方です。
補助金という後押しで事業が伸びたなら、
その伸びた分の一部を国に戻していただけると、
またほかの事業者も支援できます。
という考え方です。

例:小さなラーメン店の場合
- 小規模事業者持続化補助金で 製麺機 を導入
- 作業効率が上がり、提供できる杯数が増える
- お客様が増えて、利益が今までよりかなり増加
この増えた利益が 補助金による効果だと判断される場合、その一部を返納する可能性がある、ということです。

公式な根拠
例えば、小規模事業者や個人事業主に大人気の補助金である「小規模事業者持続化補助金」の公募要領には収益納付についてこのように書かれています。
小規模事業者持続化補助金(第18回) 参考資料より:
補助事業により収益(収入から経費を引いた額)が生じた場合、補助金交付額を限度として収益金の一部または全部を返納いただく場合があります。
(これを「収益納付」といいます。)
収益納付の考え方(一例)
収益は 売上ではなく「利益」 です。
収益(利益)=収入 − 経費
収益納付の対象となる金額 = 収益 − 控除額
(控除額:自己負担や通常の費用など)
つまり「利益が増えていたとしても、すべてが納付の対象になるわけではありません」。
実際には、「どの部分が補助金の効果による利益か?」を丁寧に切り分けて判断します。
補助金ごとに計算方法は異なります(ここが重要)
収益納付には “共通の計算式” はありません。
理由は、事業の内容や伸び方が人によって違うからです。
- 何を補助したのか
- どこが改善されたのか
- 利益がどのように増えたのか
これらは 制度ごとに評価方法が異なります。
収益納付が「ない」補助金もあります
実は、
- 創業支援系
- 地域イベント型
- 消費喚起・周知広報型
などは、収益納付を前提としていない場合があります。
補助金は “どれを選ぶか” も戦略です。
利益が大きく伸びる見込みがある事業ほど、「収益納付あり / なし」の違いは影響します。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 収益納付とは | 補助金で増えた利益の一部を調整する仕組み |
| 対象は売上ではなく | 利益(収益)ベース で考える |
| 計算方法 | 補助金ごとに異なる(共通の式はない) |
| 収益納付が無い補助金もある | 制度選択も経営戦略 |
| 安心して使うために | 申請前に相談するのが一番安全 |
補助金は、正しく理解して使えば、事業を前に進める大きな力になります。
初めて補助金活用を検討される際は、先ずは税理士さん、中小企業診断士さん、また我々行政書士などの専門家にご相談されることをおすすめします。
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