補助金を調べている中で、ちょくちょく出てくる“定額補助”って用語。
「補助金は“何割補助”ってよく聞くけど、“定額補助”って何のこと?」
こう感じたことはありませんか?

補助金には「定率補助(◯%補助)」と「定額補助(◯万円まで支給)」という2つの支給方式があります。
今回は、中小企業や個人事業主の方が知っておきたい“定額補助”の仕組みと注意点を、行政書士の立場からわかりやすく整理していきます。
そもそも「定額補助」とは?
定額補助とは、経費の実際の金額に関係なく、あらかじめ決まった一定額を支給する補助方式です。
たとえば「上限10万円」「1件あたり5万円」などが代表例です。
つまり、「かかった経費に対して補助率を掛ける(例:3分の2補助)」のではなく、決まった金額をポンと交付する仕組みです。
この「定額補助」は、次のような補助金に多く見られます。
- 商工会や自治体が行う小規模事業者向けの販売促進支援
- 起業・創業支援の一時金
- デジタル化支援など、対象事業が明確な小規模事業向け助成
たとえば「商店街のキャッシュレス導入支援」などで「1店舗あたり上限5万円支給」といった設計になっている場合、それが“定額補助”です。
定率補助との違い
一方、よく聞く「補助率○○%」というのは定率補助です。
こちらは、対象経費に一定の割合を掛けて算出します。
| 項目 | 定額補助 | 定率補助 |
|---|---|---|
| 仕組み | 一律の金額を支給 | 経費×補助率で算定 |
| 計算方法 | 「上限5万円」など固定額 | 「経費の2/3補助」など |
| 対象 | 小規模・簡易型補助金に多い | 国の中規模以上の制度で多い |
| 特徴 | 使いやすく手続きが簡単 | 実績報告が厳密になる傾向 |
たとえば「IT導入補助金」は典型的な定率補助(例:補助率1/2や3/4)ですが、「商店街プレミアム商品券発行支援」などは定額補助です。
定額補助のメリット
そんな定額補助で気になるのがメリット。
定額補助にはメリットが沢山あります。

(1)自己負担が少ない
定額補助は補助率10/10(=全額補助)で設計されていることも多く、自己負担が発生しないケースもあります。
「まず補助金を試してみたい」方には取り組みやすい制度です。
(2)金額が明確で分かりやすい
経費の計算や書類確認がシンプルなため、事前の見通しが立てやすいのもメリット。
補助金初心者にとっては心理的ハードルが低い制度と言えるでしょう。
(3)審査・事務負担が軽い
補助額が一定なので、採択後の「交付申請」「実績報告」も比較的簡略化されているケースが多く、スピーディーに交付されやすい傾向があります。
定額補助の注意点(落とし穴)
メリットもあればデメリットもある訳で、ここでは定額補助の注意点を3点挙げてみます。
(1)「定額=自由に使える」ではない
定額といっても、補助対象経費の範囲は明確に定められています。
たとえば「チラシ作成費のみ」「商店街内の改装費のみ」といったように、目的が限定されています。
対象外の支出に使うと、後で「返還」を求められることもあるので注意が必要です。
(2)経費が多くかかる事業では不足しがち
定額補助は金額が固定されているため、大規模な事業には不向きです。
たとえば「設備導入費100万円」に対して「定額10万円補助」では、残り90万円は自己負担になります。
(3)前払いではなく後払いが多い
補助金全般に言えることですが、支給は「実績報告後」になるのが通常です。
つまり、補助金は全て支払いが終わった後から補助されるのが通常です。
先に支払って後で補助される仕組みなので、キャッシュフローの確保が大切です。
「定額補助」が向いている人・事業
以下のような方には特におすすめです。
- これまで補助金を使ったことがない事業者
- 広告・チラシ・小規模改装などの軽めの取り組み
- 「まずは試してみたい」「補助金の流れを学びたい」方
- 商工会議所・市役所から案内が来たときに即行動したい方
倉敷市や岡山市などでも、商店街支援・創業支援などに定額補助が多く採用されています。
地域密着の取り組みでは「1事業者あたり◯万円」「1イベントにつき◯万円」などが主流です。

行政書士がサポートできるポイント
「定額補助だから簡単」と思われがちですが、実際には次のような落とし穴もあります。
- 交付要綱を読み違えて申請書が不備になる
- 対象経費の領収書や支払証拠を正しく揃えられない
- 実績報告で修正を求められ、支給が遅れる
行政書士は、これらの事務的・法的な確認を行い、申請者のリスクを最小限に抑えることができます。
特に複数の補助金を併用したい場合(例:持続化補助金+定額補助)には、対象経費の重複チェックが重要です。
申請前に相談することで、後のトラブルを防ぐことができます。
まとめ|「定額補助」は補助金の“入口”として最適
定額補助は、
- 手続きが簡単
- 補助金額が明確
- 使い勝手が良い
という点で、中小企業・個人事業主にとって非常に活用しやすい制度です。
一方で、対象経費の範囲や報告義務を誤解すると、せっかくの補助金が受け取れないこともあります。
「どんな補助金があるのか知りたい」
「どの制度が自社に合うのか相談したい」
そんな時は、行政書士に相談してみてください。
補助金を「もらうため」ではなく、「事業を成長させるため」にどう使うか――
そこまで見据えたアドバイスを受けることで、補助金が“単なる支援金”から“経営戦略の一部”に変わります。
行政書士やまもと事務所
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