〜補助金あるある、実施期間ルールの落とし穴〜
「え?交付決定されたんだから、もう買っていいんでしょ?」
「申請通るって聞いたから、もう発注しちゃったよ」
「支払いは後だし、大丈夫じゃないの?」
…こうした声、補助金の現場では日常茶飯事です。
でも、それ、アウトです。
完全に、堂々と、潔く、アウト。
本日は、補助金あるあるの落とし穴についてお話します。
はじめに:補助金は「買ってから」じゃなくて「決まってから」動く!
行政書士として補助金サポートをしていると、結構な頻度でこの“落とし穴”にハマっている方に出会います。
その落とし穴とは、
「交付決定日前の経費は補助対象外」
という、シンプルだけど容赦ないルール。
このルールにより、「あ、もう買っちゃいました!」という発言が、補助金の世界ではまるで「チェックメイト」のように響き渡るわけです。
実話に基づく“しくじり”エピソード
これは、実際にあったお話です。
あるお客さま、とある補助金と申請し無事に交付決定が下りました。
県の担当者からも「○月○日付けで交付決定となりました」と正式に連絡が。
それをお伝えしたところ、返ってきた一言がこちら。
「あ、ありがとうございます!実はもう、その機器、買っちゃってたんです!」
……
あーーーーーーーーーーー、
やっちゃったーーーーーーーーーーー!!!
つまり、交付決定が出る前に、補助金で導入予定だった某機器を購入済みだったんです。
「申請したし、どうせ通るだろう」と安心して、少しでも早く導入したいという気持ちから先に発注してしまったとのこと。
でも、残念ながらそれ、補助金の対象にはなりません。
どんなに必要な設備だったとしても、
どんなに予算内に収まっていたとしても、
「交付決定前に発生した経費」はアウトです。

せっかく交付決定までたどり着いたのに、
その経費、対象外としてカウントされない=補助金がもらえない。
いやほんと、もったいない……。
悔しいけど、ルールは絶対なのです。
どうしてそんなルールがあるの?
「いや、買ったのがたまたまちょっと早かっただけでしょ?」
「結果的に使ったんだから、いいじゃん!」
気持ちは分かります。
めちゃくちゃ分かります。
でも、国も自治体も公金を使う以上、ルールが命なんです。
補助金は、あくまで“事業として適切かどうかを審査した上で”交付が決定されます。
つまり、「交付決定が出る前」は、まだその事業をやっていいと認められていない状態。
その段階で動いてしまうと、
・事後承認になってしまう
・公平性が担保できない
・審査プロセスの意味がなくなる
といった理由で、アウト判定となるのです。
よくある勘違いリスト
ここで、補助金初心者がやりがちな「NG行動あるある」を並べてみましょう。
【勘違い①】申請書に書いたから、発注していいと思った
→ 書類はあくまで“申請”。
採択されるまでは、まだ夢の中です。
【勘違い②】見積とったし、業者にも話し通してあるしOKでしょ?
→ 話が通っているだけで契約していなくても、「口約束」レベルでNGになるケースも。
【勘違い③】納期の関係で、先に納品してもらっただけ
→ 納品=契約履行の一部なので、対象外。
【勘違い④】補助金が採択されるって聞いていたから…
→ “噂”や“期待”で動いた結果、現実に泣くことになります。
採択決定日と交付決定日は違う!補助金界の“勘違いあるある”
補助金の申請が通ると、「採択決定通知」というものが届きます。
この時点で、事業者さんの多くはこう思います。
「おぉー!採択された!よし、買っていいんだな!」
…ちょっと待ってください!
ここで勘違いして行動してしまうと、大変なことになります。
【採択決定日とは?】
「この事業を補助金の対象として選びましたよ」という、いわば一次オーディション合格通知のようなものです。
→ まだこの段階では、経費の支出は一切認められません。
→ 採択=仮合格。
交付申請はこれから。
【交付決定日とは?】
「この内容で補助金を交付しますよ」と確定される日です。
交付決定通知が届いたその日から、契約・発注・支払いなどが補助対象になります。
【間違えやすいポイントまとめ】ここ超重要!
採択決定日:仮承認(補助対象に選定)→ 経費の対象になりません
交付決定日:正式承認(補助金交付が確定)→ ここから経費OK!
【補助金を就活に例えると…】
採択決定日=内定通知
交付決定日=雇用契約書へのサイン
補助金も「正式な契約があってこそ、スタートできる」ということです。
実際の公募要領にも明記されています!
これは「気をつけてね〜」というレベルの話ではなく、国が公式に明文化しているルールです。
以下、代表的な2つの補助金制度から抜粋します。
【ものづくり補助金(20次公募)より】
「交付決定日よりも前に発注・契約・購入を行った経費はいかなる理由があっても補助対象外となります。」
(公募要領より要旨:2.7.1 補助対象経費より)
【小規模事業者持続化補助金(第17回)より】
補助対象経費として認められない経費
交付決定前に発注・契約、購入、支払い(前払い含む)等を実施したもの。
※展示会等への出展の申込みについてのみ、交付決定前の申込みでも補助対象。(公募要領より要旨)
つまり、ルール違反は制度を利用する以前の問題。
申請が通ったとしても、手続きの順番を間違えると補助金は一円ももらえない可能性があるのです。
では、どうすればいいのか?
結論から言うと、
「交付決定通知書が届いてから、すべての行動を開始してください!」
通知書の日付が「スタートの合図」。
そこからが、補助対象期間となります。
契約、発注、納品、支払い…全部、交付決定日より後に行いましょう。
焦らないこと、
それが補助金成功のカギです。
“事前着手”という例外もあるけれど…
中には事業再構築補助金など「事前着手届」を提出して、交付決定日前に着手できる制度もあります。
ただしこれは、制度によって取り扱いが異なりますし、事前に申請し許可を得る必要があります。
「勝手にやっちゃいました」では通用しません。
あくまで正規の手続きを踏んだ場合のみの例外です。
補助金はルールを守れば、心強い味方!
補助金は、申請が通るかどうか以上に「ルールを守れるかどうか」が問われます。
「お金がもらえる制度」と考えるより、
「公的資金を活用して事業を加速する制度」と考えるのが正解です。
正しい知識と準備で申請すれば、補助金はビジネスの成長を力強く後押ししてくれます。
補助金の相談は、行政書士やまもと事務所へ!
ということで、本日は、補助金あるあるの落とし穴についてお話しました。
本日のお話 いかがでしたでしょうか。
補助金の制度は、申請すれば誰でも通るものではありませんし、手続きの流れやルールも、意外と複雑です。
初めて補助金の活用を検討している方はもちろんのこと、
「ホント何にも分かっていないんだけど、こんな相談してもいいのかな…?」と不安に感じている方でも、もちろん大丈夫です!
行政書士やまもと事務所では、申請前のご相談から申請書の作成・交付決定後の対応まで、しっかりサポートいたします。
お気軽にご相談ください。
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