現場を守るカスハラ対策――法改正前に済ませておきたい5つの準備

業務日誌

クリーニング店で気づいた「張り紙」の存在感

先日、スーツをクリーニングに出しに行ったときのこと。
受付の脇に掲げられた一枚の張り紙が目に入りました。

「カスタマーハラスメントに関する当店の方針」
・威圧的・侮辱的な言動は禁止します
・過剰な要求には対応を中止します

ごく簡潔な内容ながら、スタッフを守る“意思表示”としてしっかりと機能しているように感じました。

少し前までは「お客様は神様」と言われた時代もありましたが、いまや“神様”を勘違いしてしまうお客様も増えています。
人手不足が深刻な中、企業にとってはむしろ社員の方こそ“守るべき存在”なのかもしれません。

法改正で義務化へ――カスハラ対策は“待ったなし”

2025年6月、国会で改正労働施策総合推進法(通称「カスハラ対策法」)が可決・成立しました。

これにより、従業員を1人でも雇うすべての企業に対して、 カスタマーハラスメント防止のための措置を講じることが法律上の義務となります。

  • 施行時期は「公布から1年6か月以内」→ 早ければ2026年10月頃
  • 対応が不十分な企業に対しては、厚労省による報告徴求・助言・指導・勧告・社名公表といった措置も予定されています

これまでは「できれば取り組んでください」という“努力義務”でしたが、これからは「取り組まなければならない」という“法律で定められた義務(法的義務)”に変わります。
つまり、対応を怠ると行政指導社名公表といった措置を受ける可能性がある、ということです。

現場を支える企業が今すぐ取り組みたい5つの備え

カスハラ対策は、大規模な制度設計から始める必要はありません。
ここでは、 まず最初の一歩として実施しやすい5つの取り組みをご紹介します。

1.方針の明文化と掲示

企業として「カスハラには毅然と対応する」というスタンス言葉で示すことが、すべての出発点です。

A4一枚の掲示で十分です。
受付や休憩室など、目に留まりやすい場所に掲示しましょう。

2.相談窓口の整備

「誰に相談すればいいか分からない」状況を防ぐことが重要です。

担当窓口やメールアドレスを社内で明示し、必要に応じて外部窓口の導入も検討しましょう。

3.従業員向け研修・啓発

研修といっても、必ずしも時間をかけた大規模なものにする必要はありません。

朝礼での共有、10分ほどの動画視聴、対応フレーズ集の配布など、日常の延長線上でできる工夫が効果的です。

4.対応マニュアルと記録の仕組み

対応の流れをあらかじめ定めておくことで、現場の混乱を防げます。加えて、事案ごとの記録保存は再発防止にもつながります。

社内フォルダにテンプレートを用意し、いつでも書き込める状態にしておきましょう。

5.定期的な見直し

制度や張り紙は作って終わりではありません。

半年に一度程度は、運用状況を振り返りながら、掲示物やマニュアルが現状に即しているかをチェックしましょう。

無料テンプレートあります

行政書士やまもと事務所では、すぐに使えるWord形式の「カスタマーハラスメント対策掲示テンプレート」を無料で配布しています。
内容は、カスハラの定義や具体例、お客様へのお願い文、企業としての対応方針がA4一枚にまとまっており、そのまま掲示できる形式になっています。

  • カスハラの定義と具体例
  • お客様へのお願い
  • 当社の対応方針

が1枚にまとまっており、店舗名・責任者名・掲示日を記入するだけでそのまま使えます。

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おわりに——「守るべきもの」を守れる会社であるために

総務・人事の皆さまにとって、カスハラ対策は“新たな業務”に思えるかもしれません。
ですが、現場で働く従業員を守る備えは、結果的に会社を守ることにつながります。

義務化されるからやる、ではなく、現場と向き合う企業として誠実に対応する
その積み重ねが、働きやすい職場をつくると信じています。

行政書士やまもと事務所では、
契約書補助金申請などのご相談を承っております。
初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください。

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