先日、「その言葉、証拠につき3:内容証明郵便を唯一の武器にする行政書士の内容証明ファンタジー」という本を読んでいたところ、内容証明郵便で“絶縁状”を送るというシーンがありました。
「ちくちょー!あいつとは絶縁!!絶縁状おくったるわ!!」
そんな気持ち、実は誰しも一度は抱いたことがあるのではないでしょうか?
本日は、「絶縁状」を内容証明郵便で送るという選択肢について、行政書士の視点から詳しくお話ししてみたいと思います。
そもそも絶縁状とは?
Wikipediaによると、人間関係における「絶縁(ぜつえん)」とは、交友関係や師弟関係などの付き合いを絶つことをいい、親子関係においては「勘当」とも呼ばれます。
つまり、家族や友人などの人間関係を断つときに、その意思を文書で明確に伝えるのが「絶縁状」です。
複雑な家族関係もあって「親と縁を切りたい!」と感じたことがある方。
また長年の金銭的トラブルやモラハラ・パワハラなどで精神的に追い詰められている方。
状況はさまざまですが、「これ以上関係を続けるのは限界」と思ったときに、自分を守るための手段として検討される方が増えています。
絶縁状を内容証明郵便で送るメリットとは?
この絶縁状、ただ紙に書いて渡すだけでは証拠になりません。
そのため、郵便局が発行する内容証明郵便を利用することで、「誰が・誰に・いつ・どんな内容の手紙を送ったか」という事実を公的に証明できるのです。


内容証明郵便に法的拘束力はあるの?
ここでひとつ誤解されやすいのですが、内容証明郵便そのものに法的拘束力はありません。
あくまで、「こちらがどのような通知を、いつ、誰に送ったのか」を証拠として残せるツールです。
しかし、法的拘束力がないからこそ、たとえば相手が
「トラブルだと思っていない」
「事の重大さに気づいていない」
といったケースでは、気づかせるきっかけとして非常に効果的な手段です。
また、専門家である行政書士が作成・送付することで、文章の内容に説得力が増し、受け取った側にも“ただ事ではない”という印象を与えます。
日常生活における“内容証明の威力”とは?
たとえば、こんな日常的な場面で「言った・言わない」が起こることはありませんか?
✅ 事例①:貸したお金の返済をお願いしたら「そんな約束してない」と言われた
→ 内容証明で返済請求を送れば、請求した事実を明確に残すことができます。
✅ 事例②:退去後も大家さんから敷金が返ってこない
→ 敷金返還請求を内容証明で送ることで、無視されることなく対応を促せます。
✅ 事例③:近隣トラブルで「注意した覚えはない」と言われた
→ 騒音などの苦情を内容証明で通知することで、記録として残り、後の証拠にもなります。
このように、「普通の手紙では軽視される」「話しても伝わらない」と感じたときにこそ、内容証明郵便は“言葉に重みを持たせる”ための有効な手段なのです。
【文例】親との関係を断つ「絶縁通知書」
さて本題の絶縁状について、絶縁通知書の文例を作成してみましたので以下にご紹介します。
(※状況に応じて個別に調整が必要です)。
イメージとしては、長年金銭的に援助を求めてくる両親に対し絶縁状を送る想定にしてます。
絶縁通知書
拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、私〇〇〇〇は、これまで長きにわたり、生活費その他の金銭的援助を求められるたびに、できる限りの支援を行ってまいりました。親子である以上、助け合うことも必要だという思いから、たびたび経済的に無理をしてまでも応じてきた次第です。
しかしながら、私もすでに〇〇歳となり、自身の生活基盤を確立し、将来への備えを講じていかなくてはならない立場です。実際、日々の生活費や仕事、心身の健康の維持など、私自身を守ることに多大なエネルギーを要しており、これ以上の金銭的援助を継続することは極めて困難な状況にあります。
加えて、援助の要求が繰り返される中で、精神的な疲弊も深まっており、このまま関係を続けることが、私の心身の健康に重大な影響を及ぼすと判断いたしました。
つきましては、今後は、経済的援助はもちろんのこと、私の意思に反する一方的な連絡や訪問、接触行為についても、一切お断りいたします。
これ以上、私の生活や心の平穏を乱すような関わりは望んでおらず、これが私自身の人生を守るための最終的な決断であることをご理解ください。
本書をもちまして、親子関係としての一切の関わりを断たせていただく意思を、明確にここに表明いたします。
今後、私の意思に反して何らかの接触や金銭的要求等が継続する場合には、やむを得ず法的措置も検討せざるを得ないことをご承知おきください。
以上
敬具
令和〇年〇月〇日
〇〇〇〇(署名)
このような絶縁状を作成する際は、以下の3点を冷静に書くことが大切です。
- 絶縁の意思を明確に示す
- 絶縁に至った理由を具体的に述べる
- 今後一切の接触を拒否する旨を伝える
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あなたの気持ちを、法的に「確実に伝える」ための一通。
それが、内容証明郵便です。